お釈迦さんは林の樹の下で、ちょっと草をあてて座禅を組んでいました。
ある時、そこに五十九人の若い男女がやって来て、ガヤガヤガサガサと周りを歩き、騒がしくしていました。
お釈迦さんは、座禅をやめて、立って、
「あなたがたは、いったい何をしているのですか」
一人の青年が、
「実は三十組の夫婦で森に遊びに来たのです」
「所が、三十組の内、一人だけ独身の男がいるのですが、遊女に頼んで、一日、お金を出して付き合ってもらい、野原でダンスなどをしていた所、この遊女は皆が一生懸命歌ったり踊ったりしている時に、隙を見て、他の人が置いていた荷物の中から、財布や宝石を取り出して逃げてしまったのです。それで、今こうして探しています」
つづく