昔々、インドのえらいお坊さんの所に弟子入りした人がいました。
生まれついての怠け者で、いつも居眠りばかりしていました。
そんなある日、彼は川で、あやまっておぼれ死んだのです。
ところが、いつも居眠りばかりしていたので、眠る時には眼をつぶらない魚に生まれかわってしまいました。
そんなある日、お師匠さんが舟で河を渡っていると、その魚が出てきて、『お師匠さま、お師匠さま、どうか他の弟子たちが怠けて、こんな姿にならないよう、私の形を作って、皆をいましめてください。』
といいました。
かわいそうに思ったお師匠さんは、『よしよしわかった。そうすればお前の罪も消えるだろう。』
といってお寺に帰るとさっそく、木で魚の形をつくり、時間を知らせる時や、お経を読む時に使いました。
ほかの弟子たちは、そのいましめによって、怠け心をふせぎ、やがてその魚も安心することができたそうです。
私自身も、お経をあげていて眠くなることもあります。
ポクポクという木魚の音を聞くたびに、自分の怠け心をいましめましょう。
よく本堂に龍の姿をした木魚がありますが、一生懸命に修行に励めばいつかは、魚から龍に生まれ変われるという言い伝えから、なぞられています。