品川の東海寺の沢庵和尚のところに、おいらんの絵を持ってきた人がいました。
沢庵は1573年~1645年にご在命の方ですから、いまから500年ぐらい前の禅僧で、沢庵漬けをつくった人でもあります。
品川には当時は遊郭がたくさんあって、そこの一番きれいなおいらんを描いた絵を持ってきて、このおいらんの絵に讃、詩文を何か書いてくれと、いささか沢庵さんをからかい半分に頼みました。
沢庵は、ほいさといって、そのおいらんの生生しい絵に、
「仏祖師は仏を売り、
末世の僧は祖師を売る。
汝、五尺の体を売って一切衆生の煩悩を安んず。
色即是空・空即是色 柳は緑 花は紅」
と書きました。
深いですね。
このおいらんは5尺の体で、自分の肉体を売って、男たちの煩悩を救っています。
祖師や僧侶と同じ仕事をしています。
大衆に楽しみを与えて、かつ苦しみを抜いています。
これが沢庵和尚の禅の世界ではないかと。けっして、ピンセットでつままない。
優劣のない世界ですね。
私たちの内部にある平常心が基だから、変わらない、外からもらったものは、変わるけれど、内部の宇宙の大生命だから、変わらないのではないでしょうか。