11月…

しゃもじを連れての通院はせず、

代わりに、点滴道具一式と翼状針、ラプロス、制吐剤(セレニア)を、私達だけで病院まで購入しに行った。

片道40分もかけて、衰弱しているしゃもじを診せに行くのは可哀想だった。

先生には、もう点滴と給仕以外はなにも出来ることがないと言われていたし。

相変わらず体重は増えなかったけど、

給仕をすることで、最低限の体力は維持出来てたのか？少し活力も出てきたようにも感じた。

珍しく、先生も、「給仕はいいことだね」と言ってくれていた。

11月30日の早朝、

しゃもじがいつものように鳴かないので、不思議に思い、2階の寝室を出ると、階段の踊り場でうずくまっていた。

まだ外は日の出前で薄暗かったので、しゃもじの顔がよく見えなかった。

「しゃーくん、お腹減ったの？ご飯食べよっか！」と、シリンジに流動食を詰め込んで、いつものようにしゃもじを抱き上げてギョッとした💦

口が血まみれだった。

吐血していた。

血餅らしきものが次々と口から出てきて、すごく気持ち悪そうに口を動かして吐こうとしていた。

私はもう言葉もなく、どうしていいのか分からなくなり、寝ていた主人を起こした。

病院に電話しようにも朝6時ではどうにもならないから、開院するまで待つ事にした。

もちろん給仕などできる訳もなく、しゃもじを安静にさせ、様子を見るしかなかった。

朝9時に開院だが、待てなくて、8時半頃病院に電話をかけたら、先生の携帯に繋がった。

事情を話したけど、「想定内のことです。心配なら連れてきてください」と。

もう為す術がない、ともいわれた。

とりあえず、家で点滴して様子を見ていたが、吐血が治まる様子がないので、仕方なく病院に連れていった。

もう水も飲まなくなってしまった。

「口内炎などの口腔内の問題ではなく、尿毒症による消化器官の潰瘍だと思う。吐き気止めの注射しておくか？根本解決にはならんが。」と言われた。

もうこれ以上、しゃもじに無理させるのは酷だと思った。

私のエゴだと思った。

いつまでも現実を受け止めれない私のために、しゃもじは辛い身体で十分頑張ってくれた。。

泣きながらなにもしてやれないのが辛いと先生に言うと、

「今、しゃもじくんが生きてることが全てだろ。あなた達はよくやったよ、もう十分だ。」と。

涙が止まらなかった。

先生は

「点滴はできる限りしてあげたらいいが、給仕はもう無理にしない方がいい。

一切飲み食いしなくても、猫って一週間は生きてるもんだ。猫って強いよ」と。

どうしても苦しそうなのを見てるのが辛ければ電話してきて、と。

安楽死のことだとすぐ分かった。

それだけは絶対ないです、とその場でお断りした。

一緒に来ていた主人も同じ考えだった。

もう通院は最後になると確信したので、先生とスタッフの方に、深々とお礼して帰路に着いた。

私も主人も、車中では言葉少なだった。

この時に覚悟が決まったのだと思う。

しゃもじは辛そうだったが、家が近づいて来るにつれ、いつものように、にゃーにゃー言い出した。

家に着いて、ゲージから出すと、また口が血まみれだった。