目の前のベナン人に向けられた。
(※前回の記事の続きです、よかったら下の記事から読んでくださいね)
悲しい結論が出た議論の数時間後、
タイムリーに次の質問をされた。
「あと4ヶ月半で日本に帰っちゃうなんて・・
もしベナンで仕事が見つかったら、
ベナンにずっと残りたいと思う?」
いつもなら
「そうだね、たぶん。」
なんて適当に流すとこだけど、
そういう気分ではなかった。
つい、
「・・・本当のことを言うと、
私にとってそれは難しい。」
と答えてしまった。
当然、なんでだ、と聞かれ
さっき議論で話したことを
本当にそのまま直接伝えた。
ベナンでは愛情と尊敬する気持ちが
他の国に比べて十分感じられない、と。
すると・・・
「何を言うんだ!!
アフリカ人やベナン人から
距離を置いているのは日本人や中国人の方だろう。
ベナン人はみんな日本人が好きだよ。
子供たちだって恐れず興味を持って
君に話しかけてくるだろう??」
「う~ん、なんていうか表面的なんだよ。
みんな親切だし、日本人が好きっていうのも伝わるけど
それが表面的で心からの愛情が
なぜか他の国に比べて薄い印象を受ける。
本物の愛情っていうか・・。
それに日本人に対してだけじゃない、
ベナン人同士だってそうだよ。
だったらどうしてグリグリ (アフリカ独特の呪い) が存在し
みんなそれをかけあいまくるの?
そこに愛と尊敬があれば、焼きもちなんて焼かないし
グリグリなんてかけられないはずでしょう??」
そして、ずっと気になっていたことを言った。
それはフランス人女性と結婚したベナン人の友達が、
誰にも言わずこっそりとフランスに旅立ったときのこと。
グリグリ (アフリカ独特の呪い) を恐れ、
友達を信用できずに内緒で1人で去っていった。
あの時からず~っと感じていた。
周りの人を信用できない文化、
人の幸せを心から喜べない文化って
なんて寂しいんだろうって。
「もしそこに愛があれば、彼に心から
『おめでとう』 って言ってあげられるはず。
日本のように送別会を開いて、お祝いをして、
空港にみんなで見送りに行くはず。 違う??」
「・・あるんだよ。ベナンにだって、本物の愛情はあるんだよ。
・・・でも、確かに君の言うことは一理ある。
それは本当のことだ。」
近くで聞いていたベナン人女性の友達が
「ベナンってそういう国なの。
ごめんね・・。」
と悲しげにつぶやいた。
その時私は何て失礼なことをしてしまったのだろうと思った。
日本に住んでいる外国人が
「日本人は愛情と尊敬する心が足りないから、
私はこれ以上日本には住めません」
と言ってきたら、私は何と感じるか。
悲しい気持ちが一層悲しくなっただけだった。
責めたかったわけでも、
傷つけたかったわけでもないのに・・。

帰り道、沈んだ気持ちのまま歩いていると、
さっきの言葉がふと私の中でこだました。
『あるんだよ、ベナンにだって本物の愛情ってものが・・。』
もし、もし本当にベナンにも
本当の愛があるのだとしたら・・・
それは残り4ヶ月半で見つけることができるのだろうか。