帰国をする日。
一番お世話になった隊次だったので、
初めて空港まで見送りに行った。
その中の1人、アブランクーの先輩隊員 (職種・助産師) とは
1年3ヶ月間同じ任地で過ごし、
何から何まで本当にお世話になった。
赴任したとき買い物に1日つきあってくれたり、
はしかになった時は豆腐を作って持ってきてくれたり、
時々ご飯を作ってご馳走をしてくれたりした。
家が離れているし職場も違うので、
たまにしか会わないのだけれど
いざ困ったときに本当に頼りにさせてもらった。
おかげで順調に生活が整ったし、
今の私の活動と生活があるのは
その先輩隊員のおかげである。
同い年でとってもかわいいその先輩隊員は、
他の隊員から 「天使」

私が今まで出会った中で一番 「ピュア」

彼女の家にはよく人が訪れ、
ただそばにいるだけでみんなが幸せな気持ちになり、
みんなから愛されていた。
彼女を通して見る世界は、いつもきらきら輝いていて
ベナンという国がこれ以上に無いすばらしい国に見えてくるから
不思議なのである。
そういえば、私がエジプトの研修に行くことが決まったとき、
ほとんどの人が 「いいなぁ。」 と反応する中、
(それが普通だと思う。私でもそうすると思う)
その先輩だけは 「本当!?よかったね~!おめでとう!!」
と、逆にこっちがびっくりするくらい、
まるで自分のことのように驚いて喜んでくれたことがあった。

私は将来の夢もあって、
ベナンでは 「活動の成果」 を一番優先し、
それを一番に求めてきたのだけれど、
その先輩隊員からは成果、能力、知識、目標よりも大切なものを
教えてもらった気がする。
私は立派な人間じゃないから、
人と自分を比べたり、人をうらやむ気持ちがあると思う。
だけどそんな心を持たずに、
純粋に人の幸せを喜んだり、応援したり、
純粋に人のために何かをすることは、
こんなに難しくこんなにすばらしいんだ、ということを教えてもらった。
私が目指したい人、憧れの人。
ベナンのアブランクーという小さな町で、
ものすごい偶然と確率で
彼女と同じ任地になれたことに、
心から感謝したいと思う。
空港で手を振って見送ったとき、
心に少しぽっかりと穴が開いたみたいだった。