
電話がかかってきて、
「今日の約束無理になった」 と言われた。
約束の時間の3時間前だった。
とってもびっくりして、
奇跡かと思ってしまった。

ワン切りじゃなかったし、
約束の3時間も前に断ってくれるなんて。
おかげでその日の予定を立て直しやすかった。
たいていは3時過ぎてから言われる。
下手したらこっちから電話しないといけないことも。
それだけで幸せな気分になったのだ。

最初こそ付き合いが大変だったけれど、
「話、聞いてるよ、何?」
「今日みんなで話し合わなきゃいけないこと、何かある?」
と言われるようになっただけで、おっ!と思う。
「荷物を持ってあげる」 と言われたときなんか、
頭をどこか打ったんじゃないか、と思ったほどだ。

「お金くれって言わなかった、なんていい子なんだ」
と思ってしまう。
などなど。
腹の立つことはまだまだあるけれど、
そういう意味で幸せな気分になることの方が
断然多い気がする。
日本のいいところと比べてしまうと、
ベナンでの生活は決して楽しくないと思う。
そういう姿勢では、世界のどこに行っても楽しくないだろう。
基準は下げた者勝ち。
結局減点方式ではなく、加点方式が
どこに行っても幸せに生きるコツなのだと
あらためて感じた。
