「今日 すごいことがあってん」
夕食時にお小言を言い過ぎたにも関わらず
長男が私の横に座った
「どないしたん?」
「林間学校のしおりのイラストを
描くのに、僕が選ばれてん。」
「凄いやん!」
「でもな、その後がショックやねん」
「?」
「僕が選ばれたのに、皆がじゃんけんして、
違う子になった」
「なんで?」
「僕はな、もう選ばれてるから じゃんけんせんで
いいと思って参加しなかったら、
先生が『君はじゃんけんに参加しなかったから』って」
「ほんで、どうなったん?」
「めちゃくちゃ 泣きたいくらい悲しかった。
でもな、仲のいい OとYが選とばれたから ええねん。
ほんで、Yが二人の人間を描いてんけど
それは、Yと僕やったから、嬉しかってん。
だから、選ばれへんかったけど、ええねん。」
「そうなんや~」
私はそう語る長男に向かって
泣きそうになるのを我慢して
微笑んだ
彼はそのイラストの内容をジェスチャー入りで
説明してくれた
私がその場から立って台所に行っても
くっついてきていた
「ええねん」と言いながらも
相当、辛かったに違いない
だって、絵は彼が
最も得意とする分野だから。
先生がなぜ、長男を選んだにも関わらず
急にメンバーをじゃんけんで選ぶことに
切り替えたのか?
それなら、最初から そうすれば
良かったのではないか?
ぬか喜びほど 辛いものはない
私も悔しいような、辛かった
でも、長男が自分の中に
納得する理由、解決を見つけたことが
嬉しかった
言葉で表現するより
絵で表現するのが得意な子だ
悔しかっただろうに、と思う気持ちと
成長の喜びで
久しぶりに抱きしめた
昨晩は次男が
「しんどくて寝られへん」と
起きてきたから
背中をマッサージしてあげた
「昨日はありがとう」と
言ってくれたので
今度は二人の背中を
さすった
「今日は お母さんは
また、どなっちゃったね。
ちょっと、疲れてたわ。
ごめんね。」
「僕たちが大きくなったら
助けるよ」と長男
「土曜日か日曜日に僕らが
マッサージしてあげるよ」と次男
しんどいこともつらいことも多いけど
ホンマにありがとう
こんな 静かな時間が
ええねん