僕とEx妻の別居が始まった年の夏から、それまで家族そろってできなかったことを色々とやるようになったのね。 例えば子連れでテーマパークに行く、みんなでリンゴ狩りに行く、みんなでパンプキンパッチに行く、そう言うことをね、楽しみながらやろうよって言うことで、僕と子供達だけで行くようになった。

 

それ以前はなかったのかって、例えばリンゴ狩りに行くとEx妻が自分が使う品種だけ集めろって指令を出して、背いたら切れられて大騒ぎをされたり、パンプキンパッチに行っても子供達に好きなの選びな~、じゃなくて形のいい奴だけ母親が指令して集めさせるとか、何をやるにしてもタスクにされちゃって楽しくもなんともなかったんだ。

 

テーマーパークなんか午前10時に到着したとすると昼頃になるとそろそろ帰ろうが始まる。 自分に興味がないからとっとと帰って自分が好きな庭いじりをしたり、テレビでメロドラマを見たい、だから2時までに帰るとか。 全てがその調子でね、じゃあ僕が一人で子供達を連れて行くから家で好きにしてていいよと言うと、家族のイベントに自分が参加しないのはあり得ない・・・ってなるの。 ついてこなければ楽しいのにってのは僕だけが思っていたことじゃないと思う。

 

だから、別居後に僕と子供達で言った色々なイベントはあの子たちの記憶にはっきりと残っているし、今でもあれは楽しかったねって話題に出るくらい。 それ以前のはあの子たちも記憶にないんだよ。

 

子供達が中学生くらいになるころからスポーツが始まって週末はリンゴ狩りじゃなくてトーナメントや試合の日だったから、そうだなあざっと12年位リンゴ狩りもパンプキンパッチも行かなかったの。

 

5年くらい前からかな、次女が大学を卒業して僕もスポーツパパから卒業して、そうなってからまたリンゴ狩りやパンプキンパッチに行くようになったんだ。

 

その好例のリンゴ狩りにね、今日行ってきたんだよ。 去年も10月の後半に行ったんだけど、去年は寒くてジャケットを着て行った。 今年は暖かくて途中で汗だくになったな。

 

お目当てはシズカって言うりんごだったんだけど、ほぼ木から落ちてて探すのが大変だった。 しかもね、美味しく熟したのは多分地面に落ちちゃってて、甘味があまり強くなかったなあ。

 

 

黄色いのがシズカ、赤いのがマコーン。 マコーンってちょっと酸っぱくて焼くと美味しくなる品種ね。

 

 

今日はね、長女の夫が初めて参加。 彼自身生まれて初めてのリンゴ狩りだって言ってたよ。

 

アメリカに引っ越してきて、これからこの国で生活していくことを心に決めたころから、将来の家でこうしたいという考えがあったんだ。

 

アメリカはバカでかい家が多いけど、自分の目の届く小さい家で、夫婦子供そして犬と一緒に暮らす家、そう言う家にしたかった。

 

アメリカに来てから5年後、ようやく家を買うことができたんだ。 比較的小さい平屋で、裏庭もあってフェンスもあって、夫婦と子供それに犬を加えて生活するのには十分な大きさの家。

 

家の購入手続きを終えて、鍵をもらってそのまま新居に行ったんだよ。

 

夫婦で家の中を歩き回って、ここにあれを置いて、ここをこうして・・・っていう話までよかったのね。

 

話の続きに僕が、「これで犬を迎えたら完成だね」って言った時に、Ex妻が今まで言わなかったけど犬は大嫌いなの、だから私が生きている間は私たちの家で犬を飼うなんてありえないって言ったんだよ。

 

結婚して7年、アメリカに来て5年、新婚さんじゃないからさ、この告白がショックで、犬が大嫌いだったなんて知らなかった。 何で今まで言ってくれなかったんだ?って訊いたんだけど、言いたくないことを言わなくても嘘にはならないでしょ・・・だって。

 

僕の犬好きはこの人と付き合い始めた頃からこの人は知っていたことなんだよ。 日本で付き合っていた頃も、歩いていて見かける犬を見て可愛いねーって言っている僕にそうねーって返事をしていた人。 僕の実家に行けば実家の犬と遊んでいるのを微笑んでみていた人。 大嫌いなんて知らなかった。

 

結婚前の付き合っている時期ってさ、お互いを知るために正直でいるべきだと僕は思うんだよ。 その時についた嘘は一生つかないといけないし、その間に言ったことは守るべきだよね。 付き合っているころは大嫌いなものも美味しいって言って食べていたけど、結婚したらもうそんなことを言う必要はない・・・ってことじゃないと思うんだよ。

 

言わないことや言えないことが一つか二つあるのはしょうがないと思うけどね、結婚前に作られた人物像が180度変わってしまうのはダメだと思わない?

 

この人は、付き合ってた頃は僕が納豆を食べても平気な顔をしていたけど、結婚した途端家で納豆は食べないでほしいって言った人。 結婚前は料理もしていたのに、結婚した後ほとんど料理をしなくなった人。 

 

だから、まだ隠していることがあっても、そうだよな…って思うくらいだったけど、犬が大嫌いだったって犬好きには生活に関わってくることだからさ。

 

僕は相手が嫌いなら自分が我慢すればいい、でも自分の好き嫌いのために相手を変えようと思わないタイプなんだけど、Ex妻は自分の好き嫌いを相手に強制して好き嫌いにさせようとする人。 合うわけなかったよね。

 

この人は犬がいる友人の家に遊びに行くときに、友人の犬を地下室から出さないでねって言える人。 普通は言えないでしょ。 でもそこまで嫌いなら、犬好きの男と付き合っているときに言うべきだよね。

 

今の僕は家に犬が二頭、空き時間にこの子たちと戯れている時間が至高の時間なんだよ。 そうなるために20年近く待ったから、今の犬がいる生活が楽しくて仕方ないんだ。 今は色々な意味で幸せが多いよ。

 

 

三週間前に医者からスウィーツ禁止令を出されたときに、毎日の運動を課題として出されたのね。 確かに毎日運動するって言う事を守って来なかった自分も悪いんだけど、スウィーツ禁止と毎日の運動を続けて二か月後にもう一度健診するって言われたの。

 

仕事が終わってからの運動は頭の疲労から毎日するのは自信が無いって言ったら、朝仕事前にしなさいって。 

 

それをずっと守って朝一で同じコースを早いペースで毎週徐々に距離を伸ばしながら歩いてるのね。 走るとばてるのが早いし、ジムに通うのは時間ももったいないしで、とりあえず基本から。

 

毎朝暗いうちに歩くんだけど、朝に雨が降っているときはその日の天気がいい時間に仕事を抜けて歩くようにしてるんだよ。

 

そうするとね、朝は真っ暗で景色なんか見ないで歩いているんだけど、明るい中を歩くと色々な発見があるんだよ。

 

例えばね、隠れた危険を見つけた日。

 

 

多分、蜂は棲んでいないと思うんだけど、いたら怖いよね。

 

この隠れた危険を抜けた後、出てくるのが大都会の郊外なのに田舎道。

 

こんな感じ。

 

 

そして、このやや登りになる似非田舎道を抜けると、鉄道の線路の上にかかった橋に出るの。 その橋を歩いていると次に出てくるのがこの光景。

 

 

今の家に住んで今年で9年になるんだけど、9年間こういう光景すら見ないで生きてきたなあ。

 

そう思うとね、生きているうちに実は損していることが案外多いんじゃないかなと言う事。

 

人生も半分をはるかに過ぎて、これからはできるだけこういう「損」をしないで生きていきたいなと思った。

 

ただ、それだけの話だよ。