『マイケル・ジャクソンの思い出』 | HERO

HERO

私の尊敬するMichael Jackson、Audrey Hepburn、イチロー選手、中田英寿氏について熱~く綴っていきます。

 
 坂崎ニーナ眞由美さん著書の『マイケルジャクソンの思い出』を読みました。


                 $HERO-MJ BOOK


 著者である坂崎さんは、JSMコンサルティング㈱の経営者であり、30年に亘るライセンスビジネスの中でマイケル・ジャクソンと仕事をした1986年から約10年間の出来事と、マイケルと交流した人々が語る思い出話が綴られた本です。

 数多くの“マイケル追悼本”が発売されておりますが、この本の印税はカンボジアを支援を目的とした『ハート・オブ・ゴールド』と、日本で暮らす外国人の為のカウンセリングや支援を目的とした『TOKYO ENGLISH LIFE LINE』の二つの非営利団体に寄付されるとのことで、数少ない“マイケルの遺志を継いだ追悼本”でもあります。



 マイケルとの交流のなか起こった微笑ましく素敵なエピソードの数々、マイケルの仕事に対するひたむきな姿勢、旺盛な好奇心と創造力の素晴らしさ、それらを追求するための行動力と研究熱心な姿を垣間見る事ができ、あまりの面白さと内容の濃さに時間を忘れ一気に読んでしまいました。

 
 “営業センスがあり、実行力があり、何事も迅速”と絶賛されるほどビジネスセンスがあったマイケルは、来日の際もその手腕を発揮していました。その中でも驚いたエピソードがあります。それは報道される事のなかった、マイケルの長崎ハウステンボスに対する思いでした。マイケルはハウステンボスに対し『ヨーロッパに行けばどこでも見ることができる、ありふれた街並みを観るために、何故来園者が料金を払わなくてはいけないのか』と疑問に思っていたそうです。テーマパークとして来園者が楽しく遊べるエンタテイメントをもっと取り入れるべきだと考えたマイケルは、テーマパークプロデュースとしてユニバーサルスタジオなどを手がける会社を紹介し、提携を図ろうと提案書を作り、アメリカのあらゆるテーマパークを視察させたりと奮闘したそうです。

 また、マイケルが無償で楽曲提供を数多くしている話は有名ですが、ゲームメーカーであるセガの企画にも携わり、ノーギャラでゲームに出演し楽曲を提供していたというエピソードにも驚きました。
 これらの無償の行為は『人々を楽しませること』を信念としたエンターテイナーであるマイケルならではですよね。
 
 
 マイケルにとって父親的存在でもあり、セキュリティチーフとして長年傍で支え続けたビル・ブレイ氏との微笑ましいエピソードも満載です。メディアからは伝わらない本当のマイケルの姿や言葉の数々を知ることができ、とても読み応えのある一冊でした。
 


 楽天ブックスのHPに著者である坂崎さんのインタビュー記事がありましたのでご紹介します。


            ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


<リンク元>http://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/pickup/interview/sakazaki-n-m/ 


この本が発売と同時に大きな反響を呼んでいますね。

坂崎さん『みなさんに好意的に受け入れて頂くことができて、本当にうれしいですね。しかも読んで下さった方の感想が、どれもマイケルへの思いに溢れていて。マイケルが好きな方たちは、彼と同様にとても優しい気がします。』


ご自身は1986年から10年間、公私にわたりマイケルと交流されたそうですが、最初はこうした本を書くつもりはなかったそうですね。

坂崎さん『マイケルとの思い出は心の中にしまっておくつもりでした。マイケルはインタビューが嫌いで、プライベートを公表するのを好まない人でしたので。来日の際にはいろいろな場所にお連れしましたが、マイケルのセキュリティ・チーフだったビル・ブレイさんからも、その間のエピソードは一切外に漏らさないようにと言われていました。』


興味深いことに、そのビルさんが今回、本を書く決意をした理由の一つでもあるそうですね。

坂崎さん『そうですね。最終的に本を書こうと決めたのは、マイケルに対してはもちろんですが、マイケルと仕事をするチャンスをくれたビルさんへの感謝の気持ちからです。ビルさんはマイケルが11歳の時から父親代わりを務め、どんな時も彼を守り続けてきた唯一の人物でした。しょっちゅうふざけ合いながらもお互いを思いやる、二人の関係はまるで親子のようであり、その絆はとても深いものでした。ところがマイケルに関するどの本を読んでも、ビルさんはほとんど出てこないのです。マネージャーや弁護士と違って本当に影の存在でしたから、仕方ないことなのかもしれませんが。でも、私にとってはビルさんが信頼して下さったからこそ、マイケルが快く仕事を引き受けてくれた。その感謝の気持ちも含めて、マイケルにはこんな大切な人がいたと伝えたかったのです。ビルさんは2006年に亡くなられましたが、彼を失ったことは、マイケルにとって大きな痛手だったと思いますね。』


正直、マイケルが亡くなるまでの数年間は、その奇行ばかりがメディアに取り上げられ、「マイケルってこんな人だったの?」と疑問を抱くことばかりでした。

坂崎さん『ビルさんが高齢になり一線を退いて以後、マイケルを守り、またスーパースターである彼にきちんと意見できる人が現れなかったことが、ああした不本意な報道につながったのではないかと思います。決して饒舌ではないマイケルは、そのためにいつも誤解をされてしまうのです。一方で彼自身が、一生懸命インタビューに応えても、メディアは自分の意思とは違うように書き立てる。だから何も言わなくていいと思っているところもありました。
でも映画「THIS IS IT」が公開されて、世界中の人たちのマイケルを見る目がまた変わりましたよね。あの映画と同様に、この本を通してより多く方が本当のマイケルを知って下さったらと思っています。』



この本を読んで、仕事熱心で努力家で、物静かで誰よりも優しいマイケルの人柄を感じました。それに加えて、セガとのゲーム制作の過程をはじめ、マイケルの好奇心旺盛なビジネスマンとしての一面も描かれていて、とても新鮮でした。

坂崎さん『たとえばこんなエピソードがあるんですよ。マイケルはセガのゲーム制作現場を訪れるのが大好きだったのですが、セガの最新ゲームを試した直後に、「このゲームをより楽しんでもらうにはナビゲーションがあったほうがいい。僕がやるよ」と申し出たのです。でも、あれほどのスーパースターですから、企業としてはギャラが気になるでしょう? ところがマイケルはギャラはいらないと。その代わりに、このゲームが一台売れるごとにロイヤリティが払い込まれるようにして欲しいと提案したのです。ビジネスマンとして非常に優れた選択ですよね。しかも、そうして得たお金は、すべて子どもたちのために寄付していたそうです。
マイケルはいつも何か新しいものを生み出したいと思っていました。最大の夢はテーマパークを作ることで、セガのエンジニアやプログラマーの方たちと話をしていたこともありました。もし実現していたら、きっと素晴らしいものになっていたはずです。またスーパースターであるがゆえに籠の中の鳥のような生活を送っていた彼にとって、ゲームは一番の息抜きでもありました。子供たちを励ましたいと思っていたマイケルは、子供たちへの影響を考えて、たばこもお酒も一切のみませんでしたから。あと、息抜きといえば子供っぽいいたずらですね。私も初めてお会いした時、ペットのタランチュラを上着の襟に置かれましたよ(笑)。』



あのエピソードはとても印象深いですね。逆にマイケルと仕事をする上で、難しさを感じたことはありますか?

坂崎さん『マイケルは絶対に怒らない人でしたから、怖いということはありませんでした。けれどものすごく悲しい顔をする時があるのです。こちらが何か失敗したりすると下を向いて、本当に悲しそうになるので、そうさせないように頑張るのですが。ただ自分が裏切られたり、利用されたと思うと、もうそこで終わりなんです。そうした厳しさはありましたが、マイケルに対して嫌な気持ちを抱くことはありませんでした。なぜなら、こちらの提案に対して「全然ダメだ」と頭ごなしに否定せずに、いつも優しい口調で「もっとこうすれば?」「もう少し良くなるはずだ」と励ましてくれるからなんですね。』


それにしても、来日の際にホテルのワンフロアを改装したエピソードなど、それぞれの分野のプロたちが、マイケルに関わることで不可能を可能してしまうのが、本当にすごいですね。

坂崎さん『マイケル自身が最高のパフォーマンスを見せるために、自分が納得するまで聞いたり、調べたりと、努力を惜しまない人でしたから、自然に周囲の人間もそうなるのでしょうね。
この本を書くにあたり、来日時に宿泊したホテルの担当者の方をはじめ、日本でマイケルに関わった方たちにお会いして当時のお話を伺ったのですが、みなさんマイケルの言葉や行動に感動したとおっしゃるんですね。一度しか会っていない相手でも必ず覚えていて「彼はどうしていますか?」と気遣うことを忘れない。お世辞も言わないし、言葉は少ないけれど、相手を尊敬し、自分に感謝してくれている気持がきちんと伝わってくるので、みんなマイケルと仕事をするのが楽しくなるんです。』



感謝といえば、来日公演を終えて帰国する際、マイケルがいきなり坂崎さんをハグして、「Thank You for everything」と言うエピソードには、思わずジーンとしてしまいました。

坂崎さん『私のようなスタッフだけでなく、彼は日本のファンの方たちにも心から感謝していました。自分が行く先々で待ってくれているファンの方たちに手を振りながら、いつも口にしていたのが「Thank you」の言葉です。マイケルは常に「どうすればファンにもっと喜んでもらえるのか」と考えていました。この本を書いたもう一つの理由に、そんなマイケルの気持ち……彼にとって、日本のファンの方たちがどれほど大切だったか、それをお伝えしたかったというのがあります。ホテルに届いたプレゼントは全部、マイケルは持ち帰っていたんですよ。だから「みんな元気でね、ありがとう」ってね、マイケルは確かに、みなさんに言っていましたよと、どうしてもお伝えしたかったのです。』


この本の出版にあたり、表紙のマイケルのスケッチもご自身で描かれたそうですね。

坂崎さん『私が、絵が好きで描いているのを知った編集担当の方が勧めて下さったのですが。このスケッチを描いている間にも、マイケルの思い出がよみがえってきて、とても楽しかったですね。』


最後に、坂崎さんご自身がマイケルから得たこととは?

坂崎さん『人に優しく……それが彼にとって一番大切なことであり、私が彼から学んだことです。私は以前、『子どもが育つ魔法の言葉』という本に携わりましたが、子どもたちを育てる上でもマイケルの生き方が1つのアドバイスになる気がします。彼の優しさをこれから、もっと真似していきたいですね。』


坂崎さんのあたたかな文章から、マイケル、そしてマイケルに関わるたくさんの方たちの人や仕事に対する愛を感じて、大いに励まされました。本日はありがとうございました。


            ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 

  既に2回読みましたが、また繰り返し何度も読みたくなるような一冊です。お勧めですよ♪