さて、前回は、相続人の中に行方不明の人が
いたらどうなるかというお話でした

香織さんのお兄さんが行方不明だったなんて、
びっくりしましたね

でも、昔のように盆正月には、親戚一同集まって
みんなでお墓参りに行くような風習が廃れてしまった
今、親子でも親戚でもいったい今は何をしているのか
分からないなんてこともよくあります。

私自身も、東日本大震災の時に考えました。

何かあった時に連絡したい相手、連絡しないといけない
相手の事が、きちんとリストアップしてなかったのです

それから急いで一覧表を作って、自分が倒れた時でも
わかるようにと冷蔵庫に貼ったり、家族に持たせたり

ですから、イザという時、行方不明だったなんてことも、
決して他人事ではありませんね。

では、相続人が行方不明だった時はどうするのか

相続が発生した後では、ドラマにもあった通り、
「不在者財産管理人」を立てるしかありません。

家庭裁判所や弁護士さんに相談に行って下さい。

では、相続が発生する前にわかっていたなら、
どうするのが良いか

それは遺言書を書いておくことです。遺言があれば、
遺産分割協議をする必要がありません。

ということは、たとえ行方不明の人がいても、遺言に
したがって相続手続きに入ることが出来るわけです

でも、この場合、行方不明の人には財産を遺すことは
出来ないのでしょうか

方法としては2つあります。

一つは、今回のドラマの場合、香織さんに財産を
多めに相続させて、もし、お兄さんが戻ってきたら、
その遺産の中から、お兄さんにいくらかを渡すようにと
条件を付ける方法です

必ず実行されるか不安な場合は、遺言執行者を
指定して、見守ってもらうようにしましょう。

もう一つは、遺言の中で、お兄さんの遺産を管理する人を
指定する方法です

例えば、弁護士さんに管理人になってもらい、お兄さんが
見つかったら、その管理していた遺産を渡してもらう方法です。

この方法は、「不在者財産管理人」と似ていると思うかも
しれませんが、遺す財産が変わります

遺言の場合は、お兄さんに遺す財産を指定することが
できますが、「不在者財産管理人」の場合は、遺産分割
協議で、お兄さんの法定相続分をしっかり主張します。

世話をしてくれた香織には多めに遺産をのこして、
ただやっぱり可愛い息子が心配だから、少しは
残しておいてやりたい

そんな親心をきちんと遺言に書いておけば、香織さんも
苦労しないで済んだと思いますよ。