「喜春姐さん」で有名な、中村喜春さんの書かれた、
日本語への愛情たっぷりの本です。

中村喜春さんは、大正2年に銀座で生まれ、芸事好き
が高じて16歳で新橋の芸者になった方で、英語の話せる
芸者として活躍後、渡米して、2004年にニューヨークで
お亡くなりになりました。

この本には、喜春姐さんが選んだ、洒落た言葉がたくさん
出てきます。

江戸言葉や、花柳界の言葉、歌舞伎の言葉など、今では
あまり使われなくなってしまったけれど、粋で美しい言葉が
ずらりと並んでいます

いきな言葉 野暮な言葉  中村喜春 著
1992 株式会社 草思社

私、最近の若い女性の言葉遣いに非常に違和感を
感じています

特に、女子高生同士が話しているのを聞いていると、
「男が喧嘩しているのではないか」と思えるような
乱暴な話しぶりです。

「美しい日本語はどこへ行ってしまったのかしら」と
嘆いている今日このごろです

しかも、私と同年代の女性たちまでも、まるで若者の
言葉を使わないと「おばさん扱い」されると思っているのか、
ひどい口のききかたです

親の世代からしてこれですから、日本語の将来は
危ういと思っています

そんな時に、古本屋さんでこの本を見つけました。

20年以上前の本ですが、その時点ですでに、
喜春姐さんは日本語の崩壊を憂いていらっ
しゃったのです。

男女の仲を表現するのに、最近は本当に直接的で
嫌になることがありますね

その点、この本にある表現を借りればこうなります。

「あなたがあの人と、ねんごろになるとは思わなかったわ」
「彼とは、一度だけわけがあったの」
「彼女と、のっぴきならない仲になっちゃってさあ」

意味が全くわからないかたは、ぜひこの本をどこかで
手に入れてお勉強して下さい

私は、着物が大好きで、食事会や展覧会などには
着物で出かけることがあります。

この本で、「伊達衿」の本当の起源を教えて頂き、
目からうろこでした。

それから、「社員旅行に自分用の浴衣を持って行こう
運動をやって欲しい」と書いてあるのも同感です

今時、社員旅行自体があまりないかもしれませんが、
彼と二人の温泉旅行で、彼とお揃いの(旅館の
お仕着せの)旅館の名前の入ったようなゴワゴワの
浴衣なんか着ていては、女の値打ちが下がりますよ

私は、いつも自分用の浴衣を持参しています。
もちろん、かわいい半幅帯もお忘れなく

言葉の解説だけじゃなくて、昔の女性の生き方や、
花柳界のしきたり、アメリカでの生活のお話など、
多方面のお話が出てきてとても面白いですよ。