さて、兄妹の遺産分割の言い争いの中で、
皆さんが納得してしまう部分が二つあると
思います

一つは、兄の言い分で、
「お前の家を建てる時に援助してもらっただろう」や
妹の言い分で、
「お兄ちゃんは、東京の四大に行かせてもらった」
などです。

これって、どこの家庭でも「あるある」って思う
話ですよね。

そして、もう一つは、兄の言い分で、
「俺がずっと面倒見てきた」です。

実際に、親御さんと同居している家族にしてみれば、
絶対に言いたくなるセリフですよね

この二つについては、ただの愚痴の言い合いでは無くて、
法律的に意味があります

一つ目の方を「特別受益」二つ目の方を「寄与分」と
言います。

そこで、今回は「特別受益」のお話をしましょう。

「特別受益」は、平ったく言うと、生前贈与を受けた分を
法定相続分から差し引くような考え方です。

あんたは先にたくさんもらったから、相続の時は
遠慮してよねっていう感じでしょうか

実際の計算方法は複雑なので省きますが、興味の
ある方は調べて下さいね。

これは、例えば、土地をもらった、家を建ててもらった、
事業資金を出してもらった、格別な高等教育を受けた、
海外留学した、などなど、いろいろな場合があります。

これが問題なのは、「いつ行われたのか関係ない」
という点

90代の父親が亡くなって、60代から70代の子供たちが、

「あんたは女学校に行かせてもらったじゃないの」
「あんたは商売始める時にお金出してもらったよね」
「お姉さんは、嫁入りの時に、豪勢なお支度をしてもらった」

などなど、50年以上も前の話を持ちだして言い争い、
収拾がつかなくなって結局裁判にもつれ込んだという
事例もあるそうです

確かに、特別受益というのは、法律的に認められている
考え方ですから、遺産分割協議の時に持ち出すことは
よくあります。

ただ、お互いによく話し合って譲り合わないと、結局
傷つけあう事になります

実際に、家庭裁判所では、領収書や計算書など、数字の
根拠となる証拠を提示しなければならないようです。

では、二つ目の「寄与分」については、また次回、
ゆっくりお話しましょう