前回、資産の多い人は、もし遺言がなくても深刻な
争いになりにくいというお話をしました。

では、資産の少ない人や自宅しかないような人は、
遺言はいらないのでしょうか

前回お話したように、遺言がない場合、相続人全員で
遺産分割協議をします。

遺産分割協議の時に、何に基づいて話し合うのかといえば、
「法定相続分」です。

例えば、お父さんが亡くなって、相続人が兄弟2人だったと
します。

兄弟の相続分は均等ですから、2分の1ずつです。

お父さんの遺産が、預貯金や株券など現金化や分配が
しやすいものばかりなら、そんなにもめることはありません

でも、自宅の土地建物しかなかったらどうしますか?
しかも、兄のほうがその自宅に住んでいたらどうなるでしょうか?

「そんなの、住んでるんだから兄がもらえるに決まってるでしょう
と思うのは、シロウト考えです。

長年住んでいようが、関係ありません。

「俺にも2分の1の権利があるからな
と弟から請求されれば、2分の1にあたる資産を渡す必要が
あります。

じゃあ、どうやって

兄に、2分の1に当たる現金があれば、その現金で支払うことも
可能です。でも、世の中、そんなケースはマレですよね。

そもそも、遺産分割協議は話し合いですから、兄弟で話し合って
決まれば、2分の1ではなくても構いません。

すぐに払えなければ、分割払いも可能ですし、銀行で借入するから
待ってくれ!という事もできます。

「兄貴!俺いま事業に失敗して借金で大変なんだよな。すぐに
遺産貰わないと困るんだよな。この家、売るなり何なりして、さっさと
分けてくれよ」

そうです。最悪の場合、自宅の土地建物を処分してでも、遺産分割
しなければならない可能性が出てくるのです。

「そんなの、仲の悪い家族だからでしょう・・・」

家庭裁判所に相談される遺産分割案件は、年間1万件以上あります。
そのもめている遺産の総額は、5千万円以下が70%、1億円以下が
90%です。

我が家の遺産相続、ちょっと真剣に考えてみませんか