これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の片っ端向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ
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弍拾之巻
金妖帝飛の声を合図に、妖狐兵士達は一斉に五人の妖術師達へと攻撃を仕掛けて行った。未だ宴会の名残が残る大広間にパッと散った五人の妖術師達の、額にある宝玉が心眼となって見開かれ、強い輝きを放ち始める。
始めに飛び出したのは松本白虎之守潤だ。「ナウマク・サンマンダ!バサラ・ダン・カン!」呪文と共に勢い良く抜刀された潤の斬魔刀が白い光を放った。刀身に浮かび上がるのは魔除けの梵字である。
潤は斬魔刀の一閃で数人の下級妖狐達をなぎ倒すと、返す身体で甲冑ごと重臣の一人を叩き斬った。妖狐魔殿では尾の数によってその階級が決められているが、例え重臣級であっても潤の斬魔刀の威力には適わぬらしい。
襲い来る妖狐兵士達を、疾風の如く速さでバッタバッタと斬り捨てるその凄まじい剣気は、はためく白銀の包衣と相まってまさに神獣白虎そのものであった。紫色に発光する双眸は額にある第三の心眼と同じ輝きを放っている。
一方、円卓の付近は炎の応酬が熱く展開されていた。何故なら妖狐が得意とするのは火を使った妖術だからである。従って階級が上に行く程その魔力は強くなり、重臣ともなると火炎放射の様な大技も使える様になるのだ。だが、同じ火の能力を発動する櫻井朱雀之守翔の妖術はそんな大技をも遥かに凌駕していた。
翔は袂から狩猟杖を取り出し、襲い来る妖狐兵士達を一瞬で静止させると、「陽光炎弾!!」と片手を突き出し、動きを止めた妖狐達を片っ端から炎の砲弾で討ち取って行くのだ。その威力はまさに炎の大砲である。
数名の妖狐兵士達を食卓諸共一度に吹き飛ばす翔の炎弾の破壊力は赤く輝く心眼と双眸同様、紛れもなく神獣朱雀の化身であった。燃え上がるように浮遊する紅の着物の裳裾がまるで赤い翼の様に見える。
「雅紀さん!行きますよ!」「よし来た!任せろ!!」互いに声を掛け合いながら大広間の壁際で奮闘しているのが二宮麒麟之守和也と、相葉緑龍之守雅紀だ。
広間の内側で重臣妖狐らを中心に戦う潤と翔になるだけ負担を掛けぬ様、壁に沿って駆け抜けながら、数の多い下級妖狐達を次々と仕留めるのが和也と雅紀の役目である。誰が命じた訳でも無く、大広間の状況を鑑みて五人五様に自然と役割分担をした結果だった。
同じ妖狐兵士でも下級妖狐だと未だ妖力も未熟なので、破壊力の強い潤や翔の術よりも、広範囲の浄化能力に長けた和也や雅紀の術の方が効果がある。
潤が作った黄金の太刀を左手で巧みに操りつつ、和也は右手の平から細かく砕かれた黄水晶の粉粒(ふんりゅう)を勢い良く放ち、宮殿内の渡り廊下を使って広間に集まって来る下級妖狐の兵士達を軒並み撃退した。
金色に輝く心眼と双眸が、撒き散らされる宝玉の粒子と共に和也の周辺を美しく煌めかせている。たなびく着物も黄金色で、まさに神獣麒麟そのものであった。
宝玉の粒子を浴び、黄金の太刀でなぎ倒された下級妖狐達はたちまちその妖力を失い、ただの野狐と化すと、怯えた鳴き声を上げながら山の方角へと逃げ帰って行く。いつの間にやら宮殿内の渡り廊下はギャンギャン鳴いて逃げて行く野狐の大群でいっぱいになっていた。
そんな和也が討ち漏らした下級妖狐兵士達を快刀乱麻の勢いで仕留めているのが雅紀だ。妖狐らの間を縫うように駆け抜ける雅紀の全身には無数の蛍火の如く緑の光が取り囲み、残像となって彼の背後に光の帯を長く伸ばしている。
それはさながら長い胴体を畝らせて飛ぶ神獣緑龍の如く風雅な勇壮さがあり、雅紀が駆け抜けた先には甲冑だけを床に残した野狐が桃の葉の首輪を巻いた状態で、無心に小ぶりな桃の実を食べていた。
「どうだ!これぞ緑龍妖術!桃環龍珠(とうかんりゅうしゅ)!人が喰うと絶倫多産になり、悪しき獣が喰うと魔力を失いただの獣となる!二度と妖狐には戻れんぞ!」
アヒャヒャヒャヒャ!♪と高笑いをしながら右手から桃の葉を放ち、左手から龍珠をばら撒いている雅紀の心眼と双眸は翠色に輝き、はためく着物はまるで孔雀のそれである。
龍珠はえも言われぬ甘い香りを発し、下級妖狐達はその誘惑に勝てずについ食べてしまうのだ。龍族ならではの必殺技である。何せ龍珠の浄化能力は凄まじい。下級妖狐達はたちまち魔力を失い、野狐に戻ってしまう。
慌てて逃げ出す野狐達は和也に浄化された連中と合流して、我先にと大広間から逃亡して行った。「絶倫多産って元気になっちゃってるじゃないですか~!♭そんなのばら蒔いて大丈夫なんですか?!♭」
和也の心配は尤もである。雅紀が撒いた龍珠の匂いは重臣妖狐達も誘引するのか、たまに潤や翔と戦っている妖狐の足元にも転がる事があり、つい食べてしまう重臣妖狐もいた。下級妖狐達と違い、重臣妖狐達は魔力が強いので、今より強くなってはたまらないと言う訳である。
確かに重臣ともなると、龍珠を食べたからと言って野狐に戻ったりする事はない。せいぜい完全な人の姿から尻尾が生えたり、耳が生えたりする程度である。
が、しかし、人間に尻尾や耳が生えたりする現象こそが重臣妖狐らの力が低下している何よりの証明であり、おかげで潤や翔が強い重臣妖狐達を倒す手助けにもなっているのであった。
だが、次から次へと襲い来る妖狐兵士達にかまけている間、本命である金妖帝飛が足音も気配も立てず、いつの間にか姿を消していた事には未だ誰も気付いていなかったのである。
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本当に遅くて申し訳ございません今回は文章よりもむしろ挿し絵に時間が掛かってしまいました~💦文章自体は戦う五行魔道士達のイラストを挿入したかった関係もあり、いつもよりもいささか短めでございますが、挿し絵にはかなりの時間を掛けて作成致しました
拙いながらも文中にあるそれぞれの着物をなるだけ正確に再現するべく、フリーイラストの画像と、キャラの顔だけは私が描いたオリジナルイラストを合成して制作致しましたゞカッコイイ戦闘場面をそれなりに具現化出来ていれば嬉しいです
今回智君だけが登場していませんが、姿を消した金妖帝飛が狙うのは一体誰なのか?てな訳で智君には次回かなりな見せ場をご用意する予定ですので(そこはやはりサトシックなもので💦タハハ😋ゞ)どうぞ想像力を逞しくしてお楽しみ下さいましたら幸いでございます