これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し


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八之巻


魔道への道筋は驚く程に簡単な物であった。一体何処からが魔道の入り口であったのか、まるで分からないままに、孟極はその背中に五人の妖術師達を乗せ、人界とさほど変わらぬ景色の中をぐんぐんと疾走すると、やがて何やら賑やかな市中の通りにゆっくりと舞い降りたのである。


「どうやら到着したらしい」朱雀之守翔が呟き、五人は先頭の緑龍之守雅紀から順番に孟極の背中を降りた。


「ここが魔道ですか?♭何か思っていたよりもだいぶ普通ですねぇ~♭私はもっと恐ろしげな場所かと思いましたよ~♭」麒麟之守和也が周囲の様子を眺めやりながら、意外そうな声を上げる。五人が背中を降りたのを確認したのか、孟極は一声「モンチーーーー!」と鳴いて通りの向こうに走り去って行った。


和也が拍子抜けするのも無理は無い。そこは何の変哲もない街の通りの様な場所であった。強いて言うなら大和とは違う店構えの屋台やら、派手な飾り提灯がぶら下がる、唐国風な通りだと言う所であろう。


唐服を着た人々が賑わい、立ち並ぶ屋台からは饅頭やら串焼きやらが実に美味しそうな匂いを漂わせていた。「何だか腹が減って来たなぁ~♪麒麟和也殿、ひとつ饅頭でも買って来てくれぬか?お主なら砂金とか出せるだろう?」


厚かましい事を言う雅紀に和也は「嫌ですよ~♭第一ここ唐の魔道でしょ?♭砂金と交換してくれるんですか?」と、迷惑そうな顔をする。


「饅頭なら俺が買ってやるぞ。金銀なら何時でも懐にある。天竺では金も銀も有効だったし、唐でも買い物は出来るだろう」白虎之守潤が気前良く包衣の懐から小さな金塊を取り出した。「さすがは白虎潤殿だ♪何処かの吝嗇(りんしょく)とは違って気前がいいなぁ~♪」


「人に奢って貰おうとする誰かさんよりは吝嗇じゃないでしょうよ?♭」不満げに口を尖らせる和也と、潤に手を伸ばす雅紀に向かって翔がクスクスと微笑う。「確かに金銀なら唐でも使えるだろうが、もし私の見識が確かならここに売っている食い物は恐らくミミズやムカデのゲテモノだぞ」


「えぇ?!♭」慌てて手を引っ込める雅紀に翔が説明を始めた。「ここが誠、唐国の魔道であればこの街は多分鬼市(きし)だ雅紀殿。唐では人死にがあると家族の者達があの世で飢えぬ様にと、大量の紙銭を燃やすらしい。


だからここに集っているのは皆唐の亡者達であろう。冥界に行く亡者達が集い、その金で買い物をする場所が鬼市なのだ。詰まりこの場所を人界に置き換えるとここは墓場。亡者には美味い食い物でも我らの様な生者にはそれは食い物にあらず。大抵は墓場に巣食うミミズやムカデらしいぞ」


「朱雀翔殿♭それを早く言ってくれ♭危うく腹を壊す所だった♭♭」潤から受け取った小粒の金塊を返す雅紀に、和也が「やっぱり魔道は魔道なんですねぇ~♭♭」と、鬼市に集う人々を見回した。


「ここは瘴気を感じぬのぅ。ここに集う亡者共は皆まともに成仏した仏に違いあるまい。成仏した霊魂は人を襲ったりせぬし、何より彼らには儂らの姿も見えておらぬようじゃ」


玄武之守智が1人の唐服を着た者に近寄り、その肩を叩いてみる。だがその者は、まるで何事も無かったかの様に普通に屋台の前に佇んでおり、まるでこちらが見えていない様子だった。


「成る程。成仏した仏は生者の気配なんて感じないんですね♭良かった♭」安堵する和也に智が「唐も大和も人に害を成すのは妖か成仏出来ぬ悪霊ばかりだのぅ」と微笑う。その時、やにわに潤の持つ斬魔刀がチャリーンと鍔鳴りし、一同は瞬時に身構えた。「瘴気?!♭♭」


すると行き交う亡者達の間を縫うように一匹の黒い仔豚がヒョコヒョコと身体を斜めにする様な妙ちくりんな歩き方で五人に近づいて来る。どうしてそんな変な歩き方をしているのかと思いきやこの仔豚、前と後ろの両方に頭がくっついていた。


この奇妙な仔豚はクゥクゥと愛嬌のある声で鳴きながら、二つの頭を持ち上げて人懐っこそうに五人を見上げている。「おおっ珍妙な仔豚がやって来たぞ御一同♪愛くるしい奴だ♪」


すかさず獣好きの雅紀がこの仔豚を抱き上げようとするが、どうやら先程の瘴気の主はこいつだと見えて、翔に「やめておけ雅紀殿。この仔豚は見た目は可愛いが毒気を発しているようだ。恐らく并封(へいほう)なる魔物であろう」と、注意された。


「并封ですか?翔さんは何でも良くご存知ですねぇ~。でもこいつ可愛いですか?♭頭が二つありますよ~♭♭」気味悪そうに仔豚を眺める和也だったが、よく見るとこの仔豚、片方の頭の口に巻物を咥えている。「おや?こいつ巻物を咥えてますよ?」


和也は着物の袂で口元を抑え、毒気を吸い込まぬように仔豚の片方の頭を覗き込んだ。「成る程のぅ。この巻物自体に瘴気がまとわりついておるわ。だから毒気を持つこの仔豚に運ばせたんじゃろう。さきほどの孟極の様な獣では巻物の瘴気に負けてしまうからのぅ」


智が以もらしい理由を述べる。并封はプルプルと片方の頭を振って、咥えていた巻物を地面に落とし、クゥクゥと鳴きながら再びヒョコヒョコと斜め歩きで去って行った。「この巻物も妲己が寄越した判じ物なのか?どうも試されているみたいで気に入らんな」潤が抜刀し、斬魔刀の峰で巻物を叩いて瘴気を消す。


それを手に取った翔が巻物を開きながら「潤殿の推測は正しいかも知れんな。妲己はどうやら我らの実力の程を巻物を使って試しているのかも知れん」と、書かれてある内容をみんなに見せた。


并封のイラスト(拾い画)に古代中国の街並み(こちらも拾い画)のイラストをパソコンで合成して加工しました☆分かりづらいかもですがちゃんと巻物も合成して咥えさせております😅

昔の豚は猪と似ていたらしいので、(薄ピンクの豚さんは家畜用に品種改良した比較的新しい種類のものだそうです♪)毛の色も黒かったんでしょうね😉因みにふたつの頭の豚さんは時々産まれてしまう奇形だそうで、昔の人々はそんな奇形の豚さんを妖怪的なイメージで捉えていたのかも知れませんね🤓


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【毒吐ク双頭の魔喰ラヒシ図面ニ導カレルハ此レ冥府魔道之宴也 , 百之兵 , 力ヲ以ッテ制スル事成セバ見ユル光明モ , 成サネバ只死ニ絶ヘル物也】


并封が残した巻物にはこんな文言と共に簡単な地図らしきものが描かれていた。「毒を吐く双頭の魔と言うのが先程の并封だとするなら図面は紛れもなくこの巻物であろう。恐らくこの地図に従って行った先に百の敵がいて、それを制する事が出来れば先はあるが、制する事が出来なければ死ぬと、この巻物は言っている。


先ずは孟極を迎える為に必要な我らの言語の才を、次に百の敵を制する為の我らの力を、それがどれ程の物なのかをこうして妲己は確認しようとしているのだ。嘉子様が囚われた妖狐魔殿に至るまでの間、妲己はこんな事を続けるつもりなのではないか?まさしくあやつは我らの実力を試しているのだ」


翔の説明に「俺達に挑戦か…。随分舐めた真似してくれるじゃないか…」と、潤が凛々しく眉をそびやかせる。智が宥める様にその肩に手を置いた。


「何せ古狐だからのぅ。儂らをたかが若造がと侮っておるのじゃろう。だが敵を侮れば何処かに油断が生じるものじゃ。儂らはあまり意固地にならずに目の前にある課題を着実にこなして行けば良い」


「お坊さんらしい堅実なご意見ですが、妲己の性格なんかよりも、もっと気にしなきゃいけない課題があるじゃないですか?♭敵が百ですよ?♭少なく見積もっても一人で二十はやんなきゃならないのに、たった五人でどうにかなるんですか?♭


そんな悪狐の挑戦なんか後回しにして女皇帝様が仰ってたお爺さんを探しましょうよ♭ほら、何とか仙人って言う人♭確か妖狐魔殿に行く途中にあるんですよね?そのお爺さんのお寺が♭先にそのお爺さんに会って協力して貰った方が良くないですか?♭何だか強そうだし♭♭」


どうやら和也は葛葉貴妃から聞いた尸解仙人(しかいせんにん)なる老人に会う事を主張したいらしい。百の敵を相手にする前に少しでも多くの味方が欲しいのだ。魔道に居ながら仙人をやっているくらいだから相当な腕前だと踏んでの意見である。


「和也殿が申しているのは尸解仙人の事であろう。確かに女皇帝様は妖狐魔殿へと向かう道筋に尸解仙人の住む尸解道院寺(しかいどういんじ)があると仰ったが…。この巻物を見るとどうも百の敵はその尸解道院寺に集まっているらしいのだ…♭」


巻物にある地図を何度も確認しながら首を傾げる翔に和也ががっくりと項垂れる。「それって仙人のお爺さんはもう魔物にやられちゃってるって感じですか?♭そんなぁ~♭♭」


「いや、尸解道院寺は亡者を悪鬼にせぬ為に正しく導く唐の魔道唯一の聖域だ♭常に強力な結界が張ってあり、例え妲己と言えど足を踏み入れる事は出来ぬ筈なんだ♭そんな場所が魔物に乗っ取られるとは思えぬが…♭♭」


考え込む翔に智がある助言をする。「それはもしや魔物ではなく亡者かも知れん。ほら、潤。儂らが初めて出会った時のあの湖を覚えておろう?あの時に成敗した大蝦蟇(おおがま)じゃ。あの時は大蝦蟇に喰われて無念の内に命を落とした民の怨念が凝っておった」


「そうか、清浄な場を凝らせるのは何も魔物ばかりでは無い。尸解道院寺は亡者を導く場所だ。魔物は入れずとも亡者であれば立ち入れるだろう。妲己はそこに目を付けたんだ。確か成仏出来ぬ亡者は鬼になると言うのが唐国の理(ことわり)だったな?


女皇帝様は嘉子姫も三日で鬼と化すと仰ったんだろう?なら鬼になる前の亡者は、善き者も、悪しき者も、一旦は尸解道院寺に集う筈だ。妲己は尸解道院寺に集う予定の亡者を唆し、本来ありもせぬ様な深い怨念を植え付けて山ほど尸解道院寺に向かわせたのではないか?」


智の助言を素早く汲み取った潤が、理にかなった分かり易い説明をした。さすがは天門の相方同士である。阿吽の呼吸とはまさにこの二人の事であろう。何を考え、どんな行動をすればいいのか、潤と智は完全に分かりあっているらしい。


翔は「潤殿は智殿の気持ちが何でも理解できるのだなぁ~」と、少し羨ましげに感嘆した。「だがその理屈であれば納得出来る。人の心につけ込むのは妖狐の得意技だからな。本来正しく成仏出来る筈の亡者にまで怨念を植え付ければ、尸解道院寺は怨念を持つ悪しき亡者だらけで一杯になってしまう。


妲己はそうやって尸解仙人の手を煩わせ、寺を荒れさせておいてから塞がれていた唐の魔道を大和の魔道の入り口へと繋げたのだ。だとすれば尸解道院寺に集う百の敵は恐らく怨念を持つ亡者達…。


巻物にある力を以って制すると言うのは魔物成敗ではなく鬼になりかけている悪霊化した亡者達の浄化だ。みんな、元が人なら戦いようはあるぞ。多分尸解道院寺に集う百の敵は僵屍(きょうし)だ…」


断言する翔に一同は目を丸くして「キョンシー?!♭♭」と叫んだ。


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さあ、いよいよ5人の魔道でのバトルが始まります💪😤今回の魔物は并封ちゃんでございました~ニコニコ


因みに尸解仙人と言うのは実際に中国の物語にも登場する魔界の仙人ですが、尸解道院寺は私が勝手に創作したお寺でございます😅ゞ


実は并封も別に仔豚じゃないんですけど、仔豚の方が可愛いので、こちらでは仔豚と言う事にさせて頂きましたウインク


次回は皆様お馴染み、懐かしのキョンシーが登場致しますよ~爆笑大ちゃんも好きだと言っていましたけど、キョンシーが日本で大流行したのって80年代半ばくらいなんですね~アセアセ


さて、我が家の五人の霊幻道士さん達はどんな風にキョンシーと戦うのでしょう?ニコニコ必ずしも映画の通りじゃない事を先にお断りしておきますね~😖🙏🏻💦