これは嵐君の名前を借りた妄想物語です。腐要素有。嵐君好き、BoysLoveにご理解のある雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し


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【終焉】


#6


田淵義哉は料亭『みらく』を出た後、その足で危険ドラッグの売人と接触し、陵英光華大学の学生名簿を1500万円で売ろうとしていた所を、渋谷西署と西麻布署の合同チームに捕縛された。


実は櫻井が義哉に渡した名簿入りのクリアファイルは、値段のバーコードシールの裏側に、スマホのメモリーカードくらいの小さな発信機が取り付けられており、田淵義哉が何処に行き、誰と会うのかを追跡する事が出来たのだ。


慌てて逃げようとした売人は猛スピードで追いかけて来た相葉にぶっ飛ばされ、そのまま逮捕されたが、田淵義哉の方は特に慌てるでもなく、逃亡を図るでもなく、まるで他人事みたいに「へぇー?警察にしてはやけに冴えてるじゃないですか」


などと、取り囲む刑事達を嘲笑い、♪~♪ボートが川に浮かんでる。オレンジの木にマーマーレードの空...♪~♪と、例の鼻歌を歌いながら、何処かへ遊びにでも行く様な呑気な態度で手錠を掛けられたのだった。


**


田淵義哉の事情聴取は拍子抜けする程簡単に進んだ。黙秘もしなければ言い訳もせず、喋り過ぎる程饒舌に、アポ電強盗から始まった一連の『時計じかけのアンブレラ』事件にまつわる自分の罪を全て自白したからだ。


「だって真面目に働くの馬鹿馬鹿しいじゃないですか?こっちは母親殺されて生きていくのも精一杯だったのに、母親を殺した犯人は大金持ちの奥さん貰って、警察署長として正義感面した挙句、今度は政界に出馬ですからね。


まぁ、父親と言っても、僕も初めは誰が父親なのか全然分かりませんでしたけどね。母親が殺した男だったのかも知れないし、犯人にされて逮捕された男だったのかも知れないし、もしかしたら逮捕した刑事だったのかも知れませんしね。そのくらい僕の母親は誰とでも寝る、男にだらしない女でしたよ。


だから母親が隠し持っていた鑑定書を見た時はラッキーだと思いました。1番金になりそうな男の子供を産むなんて流石は金に汚い僕の母です。そのせいで殺されちゃいましたけど…」田淵義哉はクスクスと子笑いして目の前に座る風間を見つめた。


「だから4人も殺したのか?母親を殺された復讐でもしたつもりか?」「復讐?誰にです?母を殺した刑事にですか?それとも...刑事に命令した僕の父にですか?面白い事仰いますね、刑事さん。人を殺すのにそんなに理由が必要ですか?」


そんな田淵義哉の人を食ったような態度に、風間が目に見えてイラついているのが分かる。隣室のマジックミラーからその様子を見ていた相葉は傍らの二宮に「ニノちゃん..♭俺あいつの聴取絶対無理♭殴りたくなる...♭♭」とワナワナする。そんな相葉の肩をポンと叩いた二宮は「ちょっとかまして来る」と言って隣室を出て行った。


「随分余裕があるんだな田淵。お前の母親を殺した刑事はとっくにお前の父親に見捨てられたぞ。お前だってそうなるさ。分かっているんだろう?」風間の言葉に田淵義哉は「でしょうね。あの人ならそうしますよ。ずっとそうやって生きて来たんですから」

 

と、あっさり応え、一層風間をイラつかせた。田淵義哉の聴取は徹頭徹尾こんな感じだ。まるで掴みどころがなく、同じ人間と会話しているとはとても思えない。そこに二宮が入って来て、「課長、代わりますよ」と、聴取を交代した。


「渋谷西署の二宮だ。この課長さんはどうも硬いんでな、人を殺すのにはよっぽどの理由があるって思い込んでいるんだよ。だから動機を聞きたがる。お前の場合は違うんだよな?」風間と交代した二宮に、田淵義哉は「おや?やっと話の分かりそうな刑事さんが来てくれましたね」と、さも愉快そうな顔つきをする。


「自白は聞いた。こうなった以上、お前の極刑は確定だから別に聞かなくてもいいんだけどさ、ウチとしちゃ取り敢えずお前の親父を引っ張りたい訳よ。お前はほら、普通の人間と違うから、人殺しも息をすんのと同じ感覚なのかも知んないけど、お前の親父は違うじゃん?


例えばお前の母親を子飼いのデカに殺させたのだって、それなりに理由があっての事でしょ?俺としちゃお前の事よりもむしろそっちの方が気になる訳。で、息子のお前に意見を聞きたいんだよね。先ず聞かせて欲しいのは、お前の親父って黒塚磐男でいいんだよね?」


さきほどまでニヤついていた田淵義哉の表情がほんの少しだけ変化する。二宮はポーカーフェイスで参考資料をめくりつつ、「あれ?違うの?こっちの調べじゃ黒塚磐男だってなってんだけど、お前ずっと “あの人” っつってるからさ~。間違えてんのかと思って」と、わざとぶっきらぼうに聞いた。


「そうですよ、黒塚磐男です。別に隠すつもりじゃなかったんですけど、僕のやった事にあの人が直接関係している訳じゃありませんしね。アポ電強盗でお婆さんを殺したのも、スナックのマスターを殺したのも、小諸若希を殺したのも僕が好きでやった事ですから。


あ、そうそう、あのスリのお婆さんもそうですよ。ホント気の毒な人でしたよね。あなた方みたいに法に携わる人が在宅起訴なんかにしなければ死なずに済んだのに、あのお婆さんの証言で大騒ぎになって、吉塩牛刑事も逮捕されちゃいましたからねぇ。面倒臭いんで取り敢えず殺しとこうかと思いまして。


そもそも吉塩牛刑事がスナックのマスターの殺人現場に小細工なんかしなきゃこんな簡単にバレなかったんじゃないかって、こっちも迷惑しているんです。あの人もあんな間抜けな刑事に後始末なんか頼んだりするから駄目なんですよ」


警察関係者や吉塩牛を馬鹿にして偉そうに語る田淵義哉を、二宮はピシャリと遮断する。「うん、だからお前の話はいいんだって。俺は黒塚磐男の事聞きたいのよ。さっきから言ってるじゃん。


アポ電強盗の時だってさ、お前黒塚磐男の選挙事務所で小諸若希を名乗ってアルバイトして、有権者の加賀谷のぶ江さんに電話掛けてるしさ、俺らポンコツな警察なんかよりもずっと黒塚センセーに詳しいんじゃねぇの?」

 

二宮は上目遣いにチラっと田淵義哉の顔を一瞥し、「まさかとは思うけど...。お前黒塚磐男の事何も知らないなんて事ないよな?だって息子なんだろ?」と、口元で薄く微笑った。


「...僕が何故あんな愚かな人の事を知らなくてはならないんですか?保身しか考えていない俗物ですよ。僕とあの人はただ血が繋がってるってだけで、あの人を父親だと意識する事なんてこれまでもこれからも絶対に有り得ないですよ」


明らかに強い口調で殊更に黒塚への無関心を主張する田淵義哉に、傍で見ていた風間が眼鏡の中央を人差し指で持ち上げる。その掌で隠された口角は “やるな” と言わんばかりに微かに上がっていた。


「あぁそうなの?その割にはお前、黒塚センセーの周囲をやたらとウロついてんね?母親から預かった鑑定書だって未だ持ってんでしょ?」「今まではね。例え取るに足らない存在でも、あの鑑定書があればお金になりますから当然ですよ。でもそろそろ手を切るつもりでしたから、もう処分しちゃいましたけどね」


どうやら思った通りだったららしい。スリの才原登米子を『時計じかけのアンブレラ』事件になぞらえて田淵義哉が殺害した事に、二宮はずっと違和感を覚えていたのだ。それまでは田淵義哉が犯したアポ電強盗に関わる殺人だった。目撃者の口封じである。


だが、才原登米子の殺害は田淵義哉の犯した犯罪とは何の関係も無い無意味な殺人だ。田淵義哉は先程から人殺しをゲームとして楽しんでいる様な言い方をしているが、その割には殺害する相手を選んでおり、無差別に人殺しをする快楽殺人犯とは一線を画している様に二宮には思えたのだった。


そんな中でトメさんの殺人だけが妙に浮いている。現場にビニール傘を残していた事で、『時計じかけのアンブレラ』事件との関連性を示唆しているように見えるものの、トメさんは傘の持ち主でもなければ、アポ電強盗の関係者でもない。


トメさんの殺人に、もし何らかの意味があるとするなら、それは裁判でのトメさんの証言をマスコミが書き立てたからだとしか思えないのである。トメさんは田淵義哉を知らない。義哉の犯罪がトメさんの口から露見する事など有り得ないのだ。


だとすれば田淵義哉がトメさんを殺害したのは黒塚磐男の名前がトメさんから語られる事を阻止したいが為。それ以外考えられないのである。「あ、そう?鑑定書処分したんだ。別にいいけどね。鑑定書なら新しいのがあるし」「えっ?」


田淵義哉の瞳に一瞬の狼狽が走る。それを二宮は見逃さなかった。「あらら?知らなかった?実はさ、黒塚センセー離婚の危機なんだよね~。ほら、お前が黒塚センセーのトコでバイトしてた時にさ、お前がアポ電強盗の犯人じゃないかって奥さんに怪しまれてたんだよね。それで奥さん、興信所に頼んでお前の事調べてたみたい。


お前さぁ、『デスメタル・スカル』の裏カジノに出入りしてた事、奥さんの耀子さんにバレちゃってたよ。で、お前が黒塚センセーの隠し子じゃないかって疑ってたみたい。だからDNA鑑定をしてお前と黒塚センセーが親子だって証明しようとしてんのよ。


やっぱ離婚となると有利に事を進めたいじゃん?黒塚センセーに浮気の痕跡があったら、ましてや隠し子までいたらさ、落ち度は100パー黒塚センセーって事で、奥さんには有利な訳よ。


何つってもあの『パーフェクトガード』の会長の娘だからねぇ、慰謝料高くなると思うよ~。黒塚センセーが今どれ程の資産と権力を持ってるのかは分かんないけどさ、政界への出馬どころかスッカラカンの丸裸にされちゃうんじゃね?」


「DNAは任意提出が基本じゃないですか?僕は許可した覚えはありませんよ?」「ま、警察の事件捜査ならそうだよね?デモさ、民間人には関係ないんだわ。離婚したがってんの奥さんだし、離婚訴訟って民事だからね。警察は民事不介入。お前だってそれくらい知ってんでしょ?


あ、因みにお前のDNAはその離婚訴訟に役立てる為に、とっくに採取済みだから。警察じゃなくて民間人がね。鑑定書は裁判所にも正式に証拠として提出されると思うよ。


例え事件捜査では無理でも、離婚訴訟の方では黒塚センセーにも話を聞かなきゃなんないだろうしさ、その離婚事由にお前の存在が大きく関係してんならこっちとしてもね、裁判に協力しなきゃいけない訳よ。


だからお前にこうして黒塚センセーの話を聞いてんじゃん。黒塚磐男の人となりだとか、息子のお前しか知らない様な裏の顔とかさ、しっかし妙な事で人の息の根って止まる事あるんだねぇ~。近い内に黒塚センセー、終わると思うよ」


恐らく『みらく』での一件を思い出したのだろう。田淵義哉は一言「汚いぞ...♭」と呟き、口を閉ざした。「残念だったなぁ田淵。折角パパに注目されるチャンスだったのに、当の本人が終わっちまったら意味ねぇよな?黒塚磐男はもはやその辺に居るただのおっさんっつ~事だよ。


考えてみりゃお前もとんだ眼鏡違いだったよな?その辺にいるただのしょーもないおっさんに乗っかってそんなに楽しかったか?偉いパパさんにお馬さんになって貰って遊んでるつもりだったんだろ?パパ~お馬さんになって~、僕こんな事も出来るんだよ?すごいでしょ?パパ~、パパ~」


「やめろ!♭」揶揄う様な二宮の言い方に初めて田淵義哉は声を荒らげ、イラつきを見せた。二宮はそんな義哉を鼻で嘲笑い「いい歳をしてやだね~。ヨシ君はそんなにパパちゃんに甘えたかったんでちゅか~?」と、まるで赤ん坊をあやす様に “べろべろば~” と舌を出し、わざと田淵義哉の怒りを誘発させる。


「ふざけるな!何故僕があんな俗物に注目されたがらないとならないんだ!僕は黒塚磐男を利用してやりたかっただけだ!保身の為なら連続殺人犯でも庇うのかどうか試してやりたかったのさ!


殺人を繰り返す僕に黒塚が顔色を変えてあたふたする光景は愉快だったよ!胸がスッとした!僕があの安っぽいビニール傘の持ち主を探していると知ると黒塚の奴、吉塩牛に残りの傘を回収させて全部僕に渡したよ!


あの男は...黒塚磐男は保身の為なら何だってする!それが分かったからあのスリの婆さんを殺してやったのさ!折角回収してくれた傘がまた殺人に使われたらどうするのかと思ってね!別にあの男の為じゃない!


むしろ黒塚磐男が困れば困る程、僕の気分は盛り上がったよ!鑑定書をチラつかせてあの男から金を強請り取り、その金でまた罪を犯してやった!そうやってあの男を追い詰めてやったらいずれ黒塚磐男は僕を殺しに来るんじゃないかと...!」


言いかけて途中で止める田淵義哉に、二宮が言った。「それが動機か?田淵...。お前黒塚磐男を引きずり込みたかったんだな...。向こう側じゃなく、お前と同じ側に...」「ち、違...♭♭」


「違わねぇよ。トメさんを殺害したのは吉塩牛が逮捕されてからだしな。自分の方が似合うと思ったんだろ?親父と自分はこんなに似ているんだって、親父に手を汚させる事で親父に分からせたかったんだよな?同じだと...。


だが生憎だったな。お前を殺すのは黒塚磐男じゃねぇ。3人の刑務官だよ。お前の親父は、黒塚磐男は、お前と同じにゃならねぇし、お前が極刑食らっても何とも思わねぇよ。そして簡単に忘れちまう。田淵義哉?誰だそいつってな...」


二宮は立ち上がり、風間捜査一課長に「聴取終了」と告げた。そして最後にこう言ったのである。「俺は忘れねぇよ。お前の事。超最悪な殺人鬼として一生覚えててやる...。満足だろ?」「.........」田淵義哉は何も応えなかった。


だが、立ち去る二宮と交代した風間は、俯いた田淵義哉の口元が “くたばれ” と動いて、小さな笑みを作ったのを、その時はっきりと確認したのである。


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それから数日後、鶴岡荘司の第2回控訴審が開始された。吉塩牛の衝撃が未だ記憶に新しい中、検察側の証人として証人席に呼ばれたのは黒塚磐男である。無論、吉塩牛が犯した田淵実余子殺害を当時の警察署長だった黒塚磐男が知っていたのかどうか、確認する為の証人尋問だ。


が、しかしそれはあくまでも表向きの理由である。その事は弁護人の智だけではなく、実は検察官とも前もって示し合わせた周知の事実であった。これには吉塩牛が貸金庫に預けていた黒塚磐男の悪事の証拠が大いに関係している。


吉塩牛が隠していたSDカードには供述通り、様々な黒塚の悪行が克明に記録されており、さすがの東京地検も腰を上げない訳には行かなくなったからだ。黒塚耀子の離婚訴訟もそんな東京地検の動きに拍車を掛けた形となった。


近い内に『パーフェクトガード』会長の後ろ盾を失う黒塚磐男に、東京地検が政界との兼ね合いを忖度する必要などもう無くなったのだ。情報は光の速さで各界に流れ、知らぬは当事者の黒塚磐男ばかりなりと言う状況である。


この世知辛い世の中で、沈みかけた船に乗船するおめでたい大物など居やしないのだ。黒塚の参院選出馬を後押ししていた政財界の有力者達も次々と手を引く準備を始め、まるで裸の王様である。


自分の周囲がザワついているとは露知らず、証言台の黒塚磐男は、高級スーツに包まれた厳つい体躯をどっしりとふんぞり返らせ、検察官の質問に堂々と応えていた。田淵実余子と昔付き合っていた事は認めたが、吉塩牛の犯した殺人については全く知らなかったと白を切っている。


「終わります」検察官の証人尋問が終わり、傍聴席のメディア関係者が肩透かしをくらった様な顔つきをした。今回の公判でも何か起こるんじゃないかと期待しているのだ。だが、次の弁護人からの反対尋問で風向きが変わり始めた。


今日の智は濃紺のサマースーツで、淡いグレーのスーツを着た黒塚とは対象的に見え、よりシャープな印象を受ける。恐らく黒塚は淡色のスーツをチョイスする事で自分の誠実さをアピールしたかったのだろうが、それは失敗したらしい。


「...証人に質問します。あなたは才原登米子さんをご存知ですか?」「勿論知っています。私が西麻布署で警察署長を務めていた頃に何度か顔を合わせました。あの人は都内では有名なスリの常習犯でしたから、あくまでも職務としてではありますが...」


「成る程。では証人の方から才原登米子さんに積極的に接触して何か頼み事をした経験はありませんか?」「異議あり!根拠の無い憶測です!」「意義を認めます。弁護人は質問を変えて下さい」


裁判長からの注意に一礼し、智は速やかに次の質問へと移る。「質問を変えます。では前回公判で露見した吉塩牛彪(よししおうしたけし)容疑者の犯罪については如何ですか?証人は吉塩牛容疑者とは上司と部下の関係ですが、吉塩牛容疑者に犯罪の傾向を感じ取る事はありましたか?」


「いいえ全く...。吉塩牛の犯した恐ろしい罪については私も青天の霹靂でしてね、報道を見て驚いている所です。職務に忠実なおとなしい男でしたからまさかと思いました」「では吉塩牛容疑者と個人的な付き合いの様な物は...?」「ありません。あくまでも職務上の上司と部下としての付き合いです」


智は頷き、証人席の方へと歩み出ると、黒塚の顔をしっかりと見つめて言った。「妙ですね?ではこれは一体どう言う事なのでしよう?弁#51。ここにあるのは吉塩牛容疑者が麻布信金の貸金庫に預けていたSDカードです。この中には証人と吉塩牛容疑者のこれまでのやり取りの全てが記されておりました。内容の一部をご紹介します」


智は吉塩牛が貸金庫に預けていたSDカードを法廷に提出してから、内容の一部をプロジェクターに映し出した。裏帳簿と裏金を受け取った際のサイン入り書類。そして才原登米子に吉塩牛が金を渡した際の受領書である。そこにははっきりと黒塚磐男のサインと捺印があった。


報道陣が色めき立つ。裁判長が「静粛に」と声を上げ、黒塚磐男は「何だこれは...♭話が違うぞ!♭」と、智に噛み付いた。


「話が違うとは何でしょう?証人。あなたはこの法廷で先程真実を述べると宣誓したばかりですよ?金銭のやり取りに必ず書類を残すあなたの慎重さが仇になりましたね。

 

才原登米子さんは亡くなる前、この法廷で金を渡したのは吉塩牛容疑者だと証言しました。ここに居る被告人からスカーフをスリ取らせた礼金です。ですがこの受領書には証人、あなたの署名と捺印がされている。


何故ここにあなたの署名捺印があるのでしょう?才原登米子さんが受け取った礼金の150万円はあなたから出た物では無いのですか?」


「意義あり!弁護人の憶測です!」「意義を却下します。証人は弁護人の質問に答えて下さい」「し、知らん!♭それは恐らく吉塩牛が私を陥れる為に捏造した物だ!♭」あまりにも苦しい言い訳だった。


智の攻撃はこれで収まらない。次の質問で、黒塚磐男は完全に窮地へと陥る事になるのだった。


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次回、黒塚磐男の息の根が止まり、いよいよ完結ですニコニコ私事ですが、この『時計じかけのアンブレラ』を前後編で分けるのがもうさすがに苦しいですので😅←(後編長すぎアセアセ)番号分けに変更して再アップしたいと思いますタラー


何度も通帳音が鳴ってしまい、皆様にはご迷惑をお掛け致しますが、どうそご了承くださいまし~🙏🙇