これは嵐君の名前を借りた妄想物語です。腐要素有。嵐君好き、BoysLoveにご理解のある雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し


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【終焉】


#1


何故こんな事になってしまったのか…。渋谷西署の生活安全課に所属する、二宮和也、相葉雅紀の通称にのあいコンビは、遺体安置所に横たわる “特急トメさん” こと才原登米子の骸(むくろ)を呆然と眺めながら悔しげに肩を震わせた。


「俺は止めたんだがな…。トメさんを在宅起訴にしない方がいいと…。だが検察は高齢で逃亡の恐れもないからと言う理由でトメさんを在宅起訴にしたんだ。親切心が仇になった…」捜査一課長の風間は小さく溜め息をついて、眼鏡の中央を人差し指で持ち上げた。


鶴岡庄司の控訴審で、取調室からリモート中継したのも記憶に新しい中での新たな殺人は、さすがにダメージが大きかったのか、いつものカリカリとした上から口調も鳴りを潜め、静かに憤慨している様に見える。


トメさんは罪を認めており、既に覚悟を決めていたので逃亡したり、証拠を隠滅する恐れもない。加えて81歳と言う高齢だ。事情聴取の呼び出しがあれば応じる必要はあるものの、スリは窃盗でも人を傷つけたりする様な重大な犯罪とまでは言えず、検察官が在宅起訴を決めたのはあながち間違ってはいない。


が、しかし、身柄の拘束が無い分、トメさんは普通に日常生活を送る事が出来、行動の制限が余りないのである。四六時中見張りが付いている訳でもないので、連絡が取れる場所にさえ居てくれれば買い物に行ったり、散歩したりも出来る訳だ。


そんな中で悲劇は起きた。次の公判での証言もあるからと、渋谷西署から連絡を入れたのだが、突然トメさんと連絡が取れなくなってしまったのである。


まさか逃亡したのかと、地元の警察官がトメさんの自宅に向かった所、トメさんは玄関の土間で何者かに胸を1突きに刺殺されており、その遺体にはまるで今回の事件を暗示するかの様に、時計の文字盤柄のビニール傘が被せてあったのだ。


しかもトメさんの胸の殺孔は『時計じかけのアンブレラ』事件の2番目の被害者、小諸若希を屠ったナイフと同型の物が使われている事も判明し、殺害したのは “ヨシ” である可能性が高くなった。


何故 “ヨシ” がトメさんを殺害したのか…。 “ヨシ” が狙っていたのはアポ電強盗での目撃者だった筈である。その時に見た時計の文字盤柄のビニール傘の持ち主を “ヨシ” は口封じの為に狙っていたのだ。


トメさんはビニール傘の持ち主でも無ければ、アポ電強盗とも、ましてや『時計じかけのアンブレラ』事件とも何の関わりも無い。にも関わらず、 “ヨシ” に殺害されたとなれば、考えられるのは1つだけ。トメさんが次の公判で証言しようとしていた人物の名前である。


黒塚磐男…。愛人だった田淵実余子を自分の子飼いの吉塩牛に殺させる為、鶴岡荘司のスカーフをスる様にトメさんに頼んだ、当時西麻布署の署長だったこの男が、自分の名前を裁判で証言される前に手を回したとしか思えないのだ。


トメさんが第1回の控訴審で証言した事は新聞やニュースで知る事が出来るだろう。だから、黒塚磐男が昔の顔馴染みだったトメさんの証言を恐れたであろう事は察しがつく。


だが、何故黒塚磐男はトメさんの殺害を田淵義哉にやらせたのか、その理由が良く分からないのだ。“ヨシ” の犯罪を隠蔽するならまだしも、トメさんの口封じに目撃されるリスクを犯してまで田淵義哉を使うなどあの用心深い黒塚がやるとはとても思えないのである。これはもしかしたら田淵義哉が勝手にやった事なのかも…。


すると相葉が二宮とは逆の視点で同じ様な疑問を口に出した。「何で田淵義哉は黒塚磐男に手を貸したんだろう…。だって自分の母親を殺させた男だよ…。俺、あいつの考えてる事全然分からないよニノちゃん…。トメさん…助けてあげらんなくて…俺…悔しいよ…。またノッポのマサぼんって呼んで欲しかったのに…」


手の甲で涙を拭う相葉の肩を慰める様にポンと叩く二宮の目も少し潤んでいる。「婆ちゃんに文明堂のカステラ食わせてやりたかったな…」「…ねぇ、ニノちゃん…。トメさんの遺体に被せてあったビニール傘…。あいつ何処で手に入れたんだろう…。


初めの現場の『タイムカプセル』のマスターの所にあったのって、田淵義哉がアポ電強盗をしたおばあちゃん家から持って来たやつで、次の現場の小諸若希君の遺体に被せてあったのは田淵義哉が間違えて持ち帰ったゆっちーの傘だったでしょ?じゃあ今度の傘は…?」


鼻水を啜りつつ聞く相葉に、二宮が険しい表情を浮かべた。二宮自身もそれが心配なのだ。あのビニール傘は第1の被害者『タイムカプセル』の懐深壮亮(なつみそうすけ)が周年記念で作った物で店の常連客に配られている。


そもそも田淵義哉が懐深壮亮を殺害したのも、アポ電強盗の目撃者を突き止める為に、傘の持ち主を聞き出したからだ。傘は全部で10本。その内の1本はアポ電強盗の被害者、加賀谷のぶ江の物で、もう1本は吉塩牛によって容疑者にされかけた中丸の物である。


たが今回3本目の傘が出て来た事で、他にも田淵義哉の被害者が存在している可能性があった。「…二宮、相葉、この件に黒塚先生が関わっているのは本当なのか?」2人に念押しした風間は額に手を当て、やれやれと首を振った。


「こうなれば何が何でも吉塩牛を落とさないとな…♭あの男が吐かない限り黒塚先生を捜査線上に引っ張り出す事は出来んぞ…♭どうするつもりだ?♭」どうやら風間はにのあいコンビが捜査に加わる事に異論を唱えるつもりは無いらしい。


二宮がすかさず「生安課が捜査一課の事件に首突っ込んでもいい訳?」と皮肉った。「仕方が無い♭お前らは『時計じかけのアンブレラ』事件に初めから関わっているからな。渋谷西署の誰よりもネタを持っているだろう。


ただし、相手は大物だ。下手につつくと薮から蛇が出るぞ♭それだけは気をつけろ。そして必ず田淵義哉を挙げろ。あんなサイコパスをこれ以上野放しになど出来るものか」トメさんの遺体に両手を合わせ、風間捜査一課長はにのあいコンビに威勢よく言い放った。


「行ってこい!にのあいコンビ!お前らのケツは俺が持つ!」


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コンビニエンスストア『PM★AM』渋谷管内にあるこのコンビニを訪れたにのあいコンビは、店内でせっせと品出しをしている、オレンジとピンクのボーダー柄の制服を着た1人の若者に声を掛けた。


「よぉ犬山君やってんね~♪バイト生活ご苦労さん♪」にのあいコンビの顔を見て、あからさまに嫌そうな表情を浮かべた若者は、「もう勘弁して下さいよ~♭二宮さん♭俺真面目にやってますから~♭♭」と、不貞腐れている。


この犬山と言う若者は以前、櫻井教授絡みのストーカー事件の際、ストーカーの島田那岐子に雇われた半グレ集団『ストレイドッグス』のリーダーだった男である。(大ちゃんお誕生日企画『Hit the floor』第6話参照★)


にのあいコンビに逮捕されてから『ストレイドッグス』は解散し、犬山は懲役3年、執行猶予5年の判決を受けて釈放され、今ではこうしてコンビニバイトで生計を立てている状況だ。放っておくとまた悪さをするかも知れないので、にのあいコンビは時々解散した『ストレイドッグス』のメンバーの様子を見回っているのである。


あの時は金髪に脱色していた髪も、今ではすっかり普通になり、一端のカタギを気取っちゃいるが、無修正の違法映像を撮影していた仲間の平良(たいら)とはいまだにつるんでいるらしく、未だ油断がならないのだ。


「別に疑ってる訳じゃねぇのよ。でもさぁ~、お前の場合前科が前科だからねぇ~」「ごめんね~、犬山君。ニノちゃんしつこくて。今日はちょっと聞きたい事があって来たんだよ。犬山君 “ヨシ” って呼ばれてる奴知ってる?」


そうなのだ。蛇の道は蛇。潤がクラブで聞き込んで来た話でも “ヨシ” は都内の半グレ連中の間では結構有名な存在だったらしい。そこでにのあいコンビはもしかしたら『ストレイドッグス』の元メンバーなら田淵義哉を知っているんじゃないかと執行猶予中の犬山を訪ねたのである。


“ヨシ” の名前を聞き、たちまち顔色を変えた犬山は、「店長、ちょっと休憩入ります」と、店長に報告してから、にのあいコンビをひとけのない路地裏に連れて行った。


「“ヨシ” はヤバいですよ♭顔は知っててもあいつの素性は誰も知らないんですから♭特定の仲間もいないし、何処に住んでいるのかも分からないファントムみたいな奴なんですよ♭ただ噂じゃ相当デカいバックがあって、ヤクザだろうが警察だろうが動かせるくらいの力があるとか…♭


“ヨシ” の活動拠点は主にネットらしくて、高額アルバイトの広告なんかに釣られた素人の若い連中を使ってヤクの密売とか、強盗とか、なんか色々ヤバい仕事させてるみたいです♭何だっけか…確かワーク…そう『ラッシュワーク』っつ~サイトですよ♭


高額バイト専用の情報サイトで、中には闇バイト的な広告が混じってて、それが “ヨシ” に繋がるツールらしいっすよ♭海外のサーバーとか経由してるんで、広告の出元とか全然分かんねぇっつって平良が…♭


ネット方面は俺よか多分平良のが詳しいんじゃないですかね?♭俺はもう危ねぇコトやんない様にしてるんで…♭実はコレがコレなんで、そろそろマジでマトモになろうって思ってんっすよ♭」犬山は小指を立ててから、お腹が膨らむ仕草をしてにのあいコンビに訴えた。


「何お前、生意気に彼女とかいる訳?」「執行猶予中に何やってんだよ~」茶化すにのあいコンビに「すいません♭♭」と頭を下げた犬山はそそくさとコンビニに戻って行く。今まで散々悪さをして来た犬山も、どうやら今度こそ本気でカタギになろうとしているらしい。


「闇バイトの広告ねぇ…。小諸若希もそれに引っ掛かったって事か。目撃者が多い割にゃ田淵義哉に関する具体的な素性は今まで余り知られてなかった。多分仲間とつるまず、金に困った素人に犯罪をやらせてたからだろう。前科のない奴は捜査線上に上がりにくいから…。やり方が汚ぇよな」


「だけど田淵義哉に繋がる最速の道は分かったねニノちゃん!『ラッシュワーク』だよ!平良に会いに行こう!」いつにも増して元気な相葉の原動力が、珍しく “怒り” なのはトメさんの1件があったからだろう。


二宮も風間も、渋谷西署だけでなく恐らくは吉塩牛が所属していた西麻布署でも捜査員達の怒りの矛先は連続殺人鬼 “ヨシ” とそのバックにいる大物黒塚磐男へと向けられており、ここに来て捜査員達が一丸となり、あらゆる角度からの視点で田淵義哉を追いかけている。


大股でズンズンと歩き始める相葉のスーツの背中に「相葉君!車は駐車場だけど?!」と、声を掛けた二宮は慌てて駆け戻って来る相葉の変わらぬ天然振りに、張り詰めた気持ち少し和らいでいく様な気がした。


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さぁ、始まりました相葉ちゃんお誕生日企画『時計じかけのアンブレラ』完結編でございますニコニコここからは渋谷西署のにのあいコンビの活躍を中心に、私立探偵の潤君、弁護士の智君、そして大学教授の翔君まで、嵐君達キャラクター総出演で殺人鬼、田淵義哉を追い詰めて行きます物申す


因みに今回ちょっとカッコよかった風間ぽんのキャラクターは『記憶捜査』と言うドラマの風間ぽんのイメージで描いておりますよ~★(だから眼鏡キャラ🤓)


次回第2話では更に殺人鬼の実像に迫って行き、何故吉塩牛が全部の罪を被ってまでラスボス黒塚を庇っているのか、その真相に迫りたいと思っておりますグッウインク