これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し


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最終章『I’m a love fool』


5


究極のエンターテインメントを目的にアメリカ、ネバダ州のモハべ砂漠に作られたラスベガスは、カジノや煌びやかなショー、ショッピングにレストラン、アミューズメント等、ありとあらゆる娯楽の全てが詰まった『眠らない街』である。


このラスベガスと中国南海岸の特区マカオの両方でエンリコ・フェルナンデスが運営していたカジノ『ディベルティード(スペイン語で“愉快”)』はエンリコの総資産を引き継いだ櫻井が直ぐに売却し、暫くはエンリコ・フェルナンデスの配下の者が運営に携わっていたが、エンリコのマネーロンダリングの巣窟であった事が判明して、一斉摘発の対象となった。


この摘発で一時は閉店に追い込まれた『ディベルティード』であったが、そこを買い取り、新たに運営を始めたのがタン・ユーエンと言うシンガポールの実業家である。


そう、先の『エレガント・テティス』の事件でJEWEL UNITのメンバー、ペルラに妻を殺害され、潜入中のエスメラルダことCIA捜査官ジェニファー・コーディーに保護された大富豪こそがタン・ユーエンだ。


悪質なイカサマで全財産をエンリコに奪われ、妻までも殺されてしまったタンは、ジェニファーに命を救われても尚絶望の淵を彷徨い続けていたが、全てを失ったエンリコがJEWEL UNITと共に姿を消し、その総資産を櫻井が奪い取ってくれたおかげで失った全ての財産がタンに戻って来た。


無論妻の命を奪われた憎悪が消える事は無い。が、それでもどうにか立ち直る事が出来たのは資産が戻った事で再起するチャンスが齎(もたら)されたからである。その手始めがエンリコが運営していた2軒のカジノを買い取る事であった。


店名を変えずにあえて元の『ディベルティード』を使用したのも、卑怯に逃亡したエンリコ・フェルナンデスがいつか風の噂にでもその事を知り、悔しさと絶望を味わえばいいと思った、タン・ユーエンなりのリベンジである。


命の恩人のジェニファーや、エンリコを打ち負かしてくれた櫻井には恩義しか感じていないタンだったが、一斉摘発の際に警察の手を逃れたエンリコの残党が居ると知り、もしその残党達が逃亡したエンリコやJEWEL UNITと手を組んだりしたら大変な事になると、事件関係者に連絡した所、巡り巡ってCIAへと話が伝わり、CIA局長から櫻井へと連絡して来たのだった。


無論エンリコ・フェルナンデスも、JEWEL UNITも、既にこの世には居ない顔ぶれではあるが、タン・ユーエンの耳にまで残党の話が聞こえて来るのであれば何か不穏な動きでもあるのだろうと、櫻井は密かに各国の『Dead Line』メンバーに調べさせていたのである。


それで浮上したのが、次期JEWEL UNITのメンバーとして訓練を受けていた『JU NEXT』と言うJEWEL UNIT予備軍の存在だった。


『JU NEXT』のメンバーは、 “オパロ(オパール)” “グラナーダ(ガーネット)” “アガタ(瑪瑙)” そして “トパシオ(トパーズ)”  “タンザニタ(タンザニア)” “オブシディアーナ(黒曜石)” の総勢6名である。


追っ手の手を逃れた彼等はオパロ、タンザニタ、アガタの3名がマカオへ、グラナーダ、トパシオ、オブシディアーナの3名がラスベガスへと役割分担をして、それぞれ現地のならず者を雇い入れ、力づくで『ディベルティード』を乗っ取ろうと画策しているらしい。


そこで櫻井はYou-Rにマカオとラスベガス関連のあらゆるネットワークを探索させ、『ディベルティード』襲撃計画についての『JU NEXT』らのインターネットでのやり取りの全容を掌握したのであった。


You-Rの調べによると、襲撃の日時は今月の20日。客を人質にしてオーナーを脅し、店の権利書を奪うと言う乱暴な計画で、どうやら『JU NEXT』は収益の拠点であったカジノを取り戻し、インターネット等を通じてアピールする事が、逃亡中のエンリコ・フェルナンデスや先達のJEWEL UNITメンバーにカムバックして貰う最も有効な手段だと考えているらしい。


だが、櫻井にしてみれば『JU NEXT』が余計な動きをすればする程、エンリコやJEWEL UNITを秘密裏に殺害した事が表沙汰になるリスクが増える。これは『櫻井グローバルCo.』に取っていささか迷惑な襲撃計画であった。


それは櫻井のみならずCIAに取っても同じ事だ。たかがギャングやその手下の暗殺に、国の機関が動いたなどと公になっては困るのである。何故ならその根底に、昔エンリコに軍の機密を盗まれたと言う黒歴史があるからだ。


エンリコの死にCIAが関わっていると知られれば何故そうなったのか、その理由が探られるのは必至である。カジノ襲撃計画が実行に移される前に速やかに鎮圧するのが櫻井とCIAの共通認識であった。


公安委員長の城島を通じて国際特命捜査班に司令があったのも詰まりはお国の事情と言うやつだ。国際特命捜査班は国の極秘機関なので、事件への潤と智の関与が疑われる様な事態になると、国際特命捜査班そのものが撤廃される可能性がある。


城島にしてみれば国際特命捜査班設立は公安委員長として抜擢された直後の、ある種革命的な庁内改革の一端だった。国内ではなく海外に目を向けた機関なので、そこに渋い顔をする官僚も無きにしも非ず。


しかも日本で浮上した公益カジノ設立計画もあり、政界からラスベガスへと視察団が派遣される事にもなったので、もし何らかの危険が勃発すると公安部が責任を取らされる羽目になる。これは国際特命捜査班存続の危機でもあるのだ。


結果、CIA。Dead Line。 国際特命捜査班が共同で『JU NEXT』のカジノ襲撃計画を制圧するミッションが発令されたのだった。


「相葉ちゃんとアレクサもマカオに到着したらしい。さっき連絡があったよ。相葉ちゃん、ニノを取材に連れて行こうとして翔さんに怒られたんだって」ふわふわした明るい茶色の髪に、濃紺にパッチワーク風の透かし柄が入ったフォーマルな細身のスリーピース。


インナーにはアッシュパープルのシャツと、ライトブルーに青紫の小花が散ったネクタイ。胸ポケットには同柄のハンカチを覗かせているのは智である。


「当たり前じゃねぇか♭極秘作戦だってのに何でブンヤを連れて行くんだよ♭あいつ二宮をペットか何かと勘違いしてんじゃねぇのか?♭」片や潤は艶やかな黒髪をオールバックに纏め、ダークパープルに薄色のピンストライプが入った細身のダブルスーツ。


インナーにはジェイブルーのシャツと、ラベンダーに青紫&シルバーのチェックのネクタイを締め、胸ポケットに同柄のハンカチを覗かせている。ドレスアップした2人はどちらも華やかな煌めきを放っているが、店内に入った途端にガードマンらしき男に止められ、パスポートを見せろと言われたのはここがカジノだからだ。


潤はまだしも、智の方は大人の振りをしてカジノに入店しようとしている少年にしか見えないのか、智のパスポートを見たガードマンは生年月日を2度見3度見して智と見比べ、一言「WOW!」と叫んで親指を立てたのが智あるある過ぎて微笑ましい。


だが、潤と智以上に注目されたのが彼らの連れである。実はこの『ディベルティード』はドレスコードの他に女性客、若しくはカップル優先で、男だけの客は基本入店禁止となっている。


何故なら男ばかりの集団は酔うと女性客やコンパニオン等にセクハラ紛いの事をやりがちになるのでそれを防止する為らしい。これはタン・ユーエンがオーナーになってからの決まりであり、それが嫌なら別の店に行けと言う、タン・ユーエン独自の経営方針である。


そんな『ディベルティード』の詳細を城島からの電話で聞いた潤は、それなら合流するジェニファーの他に、もう1人女性を手配する必要があると、いっときは智を女装させる事まで考えていたのだが、そんな時に協力を申し出てくれたのが『PARADOX』で最後のショーを終えたダイアナ・クワンであった。


今や経済誌にも載る敏腕女社長である。元々ダイアナは本場ラスベガスのショーを視察して、今後の『Ange Noail』のエンタメ事業の参考にしたいと思っていたらしく、女手が必要なら協力してもいいと、自腹でラスベガス行きのチケットを手配したのだった。


潤と智はダイアナが最強の女戦士だったと知っているが、彼女の前身を知らないジェニファーは民間人の協力に難色を示すかも知れない。だが、そんな潤と智の心配は杞憂に終わった様だ。


2人に同伴してラスベガスに着いたダイアナを一目見たジェニファーは大層感激し、自ら握手を求めると、ダイアナの49歳と言う年齢を聞いて仰け反る程驚き、《嘘でしょ?!♭奇跡みたい!♭20代後半位にしか見えないわ!♭どうして?!♭》と、その若さと美貌の秘訣に興味津々である。


おかげで潤&ジェニファー、智&ダイアナと言う中々個性的な2組のカップルが誕生した。恐らく店内に居た男はその殆どがこの2人の美女に振り返ったであろう。


クルクルとカールした黒髪のショートヘア。ゴールドを基調にした大胆な切れ込みのドレスがブロンズ色の肌に良く似合うジェニファーの、スリムながらもメリハリのある抜群のスタイルは、まるで黒人モデルの様な美しさだ。


加えてダイアナはアップに結い上げた黒髪の細いうなじに溢れる様な色香を漂わせ、鳳凰と緋牡丹のゴージャスな刺繍入りの黒いチャイナドレスから細っそりとした美脚を覗かせており、まるで東洋のビスクドールの様な妖艶な美貌を湛えている。


そんな目を引く美女達が、少年めいた2人の日本人青年と来店しているのだから、一体どんな関係なのかと好奇の目が集中するのもある意味無理からぬ事であった。


この『ディベルティード』は20年代~30年代のアメリカをモチーフにしたクラシカルなムードのカジノで、まるで禁酒法時代のアメリカにタイムスリップでもした様な気分を味わえる。


このままギャング映画のセットとしても使えそうな小洒落た内装は、ステージで演奏されるモダンジャズも含め、今にもボルサリーノを小粋に被ったアル・カポネや、エリオット・ネスが姿を現すんじゃないかと錯覚してしまう。


恐らくここに来店するゲスト達はカジノだけでは無く、この店のそんな雰囲気も込みで楽しんでいるのだろう。客入りの良さがそれを物語っていた。


《居たわよジュン。トパシオだわ》潤の傍らで小声で囁いたのはジェニファーだ。ポーカー席の野次馬に加わり、あたかも勝負の行方を見守っているかの様な白人が『JU NEXT』の1人、トパシオである。


潤は内ポケットからスマホを取り出し、本部に送信された『JU NEXT』のメンバーの資料画像と見比べてから、小さく頷いた。年齢は35歳となっていたが、広い額や青々とした髭の剃り跡からはもっと老けて見える。


《こっちも見つけたぞ、グラナーダとオブシディアーナだ》バックギャモンのテーブルで周囲に視線を巡らせている怪しいカップルに目ざとく気づいたのは智だ。


グラナーダはラグビー選手みたいなゴツイ体つきをした、角張った顎を持つ浅黒い肌のラテン・アメリカ系2枚目で、オブシディアーナはやや能面めいた顔立ちの、クールな細面の日系人美女である。グラナーダは25歳、オブシディアーナは27歳なので、歳の近いこの2人がカップル役に振り当てられたのだろう。


片や、やや歳かさのトパシオは、派手目な若い女と一緒に居たが、ピンクに染めた髪と言い、大きく開いたドレスの背中にある蝶のタトゥーと言い、明らかにカタギではなさそうな雰囲気で、恐らくは地元で雇い入れた娼婦か何かだと思われた。


《トパシオと一緒にいる彼女は何者かしら?店の襲撃計画に関わっていない、ただ同伴する為に雇われたコールガールなのか、それとも…仲間として『JU NEXT』にスカウトされた襲撃犯の1人なのか…》


ジェニファーのそんな呟きに即反応したのはダイアナだ。まるで流れる様な足取りでトパシオと一緒にいる若い女に近づくと、何を話し掛けたのか、たちまち打ち解けた様子になり、あっさりとトパシオから引き離した。どうやら彼女は単に同伴する為だけに雇われたらしい。


《やるわね。さすがは世界を股に掛ける女社長だわ。ダイアナがあのコをトパシオから引き離してくれたおかげで仕事がやり易くなったわね》感心するジェニファーに、潤と智が同時に言った。《それではボチボチ始めますか?》


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さっさと片付ける筈だったのに何気に細かいカジノ描写を書いてしまいました~😅←(MARKIEあるあるアセアセ)さて、彼等はどうやって極秘に『JU NEXT』と戦うのか、私ももっとスピード上げて挑まなくてはなりませんね~汗うさぎ💦


ここの所急激に気温が下がりましたので、身体が中々ついていけずに困っておるんですがタラー次回こそはビシバシと事件を片付けて、早く潤智に結婚証明書を渡してあげたいと思っております💜ノノ`∀´ル人(´・∀・`)💙