これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し


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最終章『I’m a love fool』


2


潤が智と共に彫辰の自宅に到着したのは午前10時頃の事だった。日課にしている朝のトレーニングを終え、シャワーを浴びた後で簡単な朝食を摂ってから出掛けると言う、普段の生活と何ら変わらぬルーティンだ。


唯一違うのはここに来る前、地元の神社へと足を運んで無事な成功を祈った事くらいである。現場に着くと早速『真相報道Weekly』のインタビューが待っていた。


取材担当はてっきり二宮だと思っていた潤は、そこに居たのが編集長の東山だった事に驚きを隠せない様子だったが、同行していた智から二宮はPARADOXへと取材に行っていると聞いてたちまち笑顔になる。勘が働いたのだ。


「もしかして今日から代役を頼んだりしてる?♪」「流石だな潤。君が大変な挑戦をすると言う時に放っておいたり出来ないよ。せめて側にいて君を見守りたいんだ」それを聞いた東山がクスリと微笑って「おおちゃんは変わらないなぁ~」と感慨深気に呟いた。


東山は警視庁時代にサンフランシスコ市警に研修へと赴いた経験があり、当時松岡と一緒に暮らしていた頃の智を良く知っている。あの時も智は年齢を誤魔化して松岡の為にショーダンサーとして働き、生活を支えていたのだ。


いつだって智は愛する人を見守り、影日向になって支えている。潤が彫辰と言う名人と出会い、その脇腹に智と一対の紅龍を刻む流れになったのも、東山には亡き松岡が導いてくれた刺青で繋がる運命の縁の様な気がしてならなかった。


「智がついててくれんなら俺の元気も100倍だぜ♪でもPARADOXは主役が居なくて売り上げが落ちるんじゃねぇのか?」「心配いらないよ。代役はハリウッドやブロードウェイで活躍中の美女達だ。彼女達がPARADOXの為に来日してくれたんだよ。それも相場の半額以下のギャラでね。ニノが取材に行っているのもその為さ」


潤の顔つきがにわかに明るくなる。「まさか、『Ange  Noail』か?♪ダイアナ達が日本に来てんのか?♪」「そう、ダメ元で社長のダイアナにアポ取ってみたら二つ返事で快諾してくれたんだ♪ダイアナなら本番仕込みの素晴らしいショーにしてくれると思うよ♪」


そりゃそうだろう。今や『Ange Noail』の美女達は映画やドラマで引っ張りだこになっているのだ。彼女達が出演する作品は日本のレンタルビデオショップや、ネット配信でも普通に観る事が出来る。


元々はダイアナ・クワンの元でプロの工作員をやっていた訳あり美女達なので、スタント無しでアクション映画にも出演出来る程の実力があるし、少々露出の激しい衣装やベッドシーンでも躊躇せずこなしてしまうのだから、引く手あまたになるのも無理はない。


超大作で主演を張る程ではないにしても、B級のアクション映画や警察物の連続ドラマでは主要キャストに名を連ねている様なアクトレスも居る。


潤も最近ブロンドのグラマラス美女サンドラが連続殺人鬼と戦うサスペンスアクション映画や、赤毛のコケティッシュ美女ジェニーが殺人課の女刑事を演じている連続ドラマを智と一緒に観たばかりだ。


そんな彼女達がPARADOXのショーに出演するのであれば客足が途絶えるなどと言う事は絶対に無いであろう。二宮がPARADOXへ取材に行っているのも、二宮と縁がある彼女達が来日していたからだ。


「道理で親父がやけに張り切ってると思ったぜ♭てっきり彫辰さんのプロジェクトが上手く行ったからだって思ってたけど、ありゃ今夜辺りPARADOXに行くつもりだな♭ったく、あのエロ親父がよ~♭」


(息子の体)<(美女達のショー)と言う、相変わらず息子を粗雑に扱う元刑事局長の父親に、潤は嫌そうにぼやきつつ、傍らの智を愛しげに見つめた。「それにひきかえ智はマジで俺の天使だぜ♡でもそうなるとあの騒がしい2人も来日しそうだけどな~♭特に約1名はニノの事えれぇ気に入ってたし♭」


潤が誰を想像したのかは言わずもがなだが、いかんせん今は東山のインタビュー中である。個人名は伏せておく事にした。そこに何かを感じ取ったのか、東山は「それはカラオケでクイーンを歌う人の事かな?」と意味深な笑みを浮かべる。どうやら二宮からオフレコで色々と聞いているらしい。


潤と智は顔を見合わせ、誤魔化し笑いで「そこはほら、見ざる言わざるで頼みますよ♭」と苦しい言い訳をした。そうこうしている内に時間になり、彫辰の準備が整ったと使いの者が潤に伝えに来る。


今回の雪華彫りは国家的なプロジェクトなので、安全に遂行する為の要人が数人、彫辰の家に派遣されているのだ。それは無許可のマスコミなどが盗撮みたいな真似をしない為でもある。潤と智はここで一旦東山と別れ、奥座敷の方へと向かって行った。


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奥座敷では彫辰こと堀部辰蔵が、夏物の小千谷縮(おじやちぢみ)の単(ひとえ)にたすき掛けをして、色墨の確認をしている所であった。色墨と言っても、そこにあるのは赤色系のみである。桃花、薄紅、紅梅、紅赤、真紅、etc…。ありとあらゆる紅の色墨がこれでもかとばかりに彫辰の道具箱の傍らに並べられていた。


「おお、よう来なさったのぅご両人♪お元気そうで何よりじゃて♪」真新しい浴衣に着替えた潤と智の姿を見て、彫辰は嬉しそうに顔を綻ばせた。「ご無沙汰しております、彫辰さん」「久しぶりだなぁ爺さん♪元気そうじゃねぇか♪」


彫辰はムフフと微笑って潤を手招くと、その耳元で「ええものを見せて貰ぅて儂も10年は寿命が伸びた気分じゃよ♪映像は言われた通りにしっかり削除したから心配せんでえぇ♪」と囁いた。それを聞いた潤がヒソヒソ声で「グッジョブだぜ爺さん♪」と親指を立てる。そんな2人の様子に智が胡乱げに眉を顰めた。


「潤?♭何か僕に隠してないか?♭」潤は聞こえなかった振りをして彫辰が長半紙に描いた下絵を手に取り、「こりゃすげぇや♪見てみなよ智♪そっくりじゃねぇの♪」と、智に向かって見せつける。それは智もつい不信感を忘れる程に大層見事な下絵であった。


「これは大野殿の白粉彫りの実物大じゃて。我ながら良く描けておると思うがどうかの?松岡殿が草葉の陰で嘆かなければ良いが…」彫辰はそんな謙虚な事を言ったが、その下絵は色合いと言い、サイズ感と言い、智の白粉彫りをそのままコピーした様に見える。


彫辰は次に、それと同じサイズの別の下絵を見せてくれたが、そちらの下絵は丁度鏡写しの様な左右対称になっていた。またそれが手描きとはとても思えない程、微に入り細に入り、始めの下絵とそっくりなのである。


恐らくこれが潤に施される予定の雪華彫りなのであろう。こちらの下絵には龍の鱗1枚1枚にも色番号の漢数字が細かくビッシリと書き込まれており、彫辰がどれだけ多くの赤系の色を調合して智の白粉彫りと同じ色合いに辿り着いたのか、その苦心惨憺がはっきりと見て取れた。


例え人間国宝に相応しいと言われる様な名人でも、努力無くして雪華彫りはやれないのだ。この1枚の下絵に、彫辰の刺青師としての信念や誇りが全部凝縮されている様で、潤は胸が熱くなる様な思いがした。


「松本殿。そろそろ始めるとするかの?」潤に声を掛けた彫辰は智に視線を向け、「大野殿。出来ればこれからの三日三晩、この屋敷に留まって下さらんか?松本殿の体を拭いたり、身の回りの細々な事を手伝って下さるとありがたいんじゃが…」と、まるで智の気持ちを分かっているかの様な頼み事をする。


「勿論ですとも。僕に出来る事なら何なりと仰って下さい。彼とは一心同体ですから…」浴衣を脱ぐ潤を手伝いながら、はっきりと答える智に、彫辰は満足そうに強く頷いた。一糸まとわぬ姿でマットレスに横たわった潤の手を、智がしっかりと握り締める。


「潤…頑張って…」「おう♪ちょっくら夢の中に行って来るわ。さぁ爺さん、始めてくれ」「合点承知♪」彫辰が力強い笑顔で親指を立てたのと同時に、待機していた麻酔医が手際良く麻酔を嗅がせる。やがて潤が眠りについたのを確認した麻酔医が静かな声で「どうぞ」と、告げた。


**


彫辰はとても79歳とは思えぬ驚くべき集中力を発揮して初日前半の作業を終えた。辺りはすっかり暗くなり、彫辰は実に10時間近くもの間、一心不乱に雪華彫りへと没頭したのである。

 

始めのひと針が自分の左脇腹の位置よりも少し低い気がしたので、一瞬ハッとした智だったが、それが智と潤の身長差を加味したからだとすぐに気づいた。


彫辰は潤と智が並んだ時に、双龍の位置が完全な左右対称に見える様、そこまで計算して彫り始めたのだ。それは正真正銘の、まさしく名人の名に恥じぬ匠の技であった。


これから軽い食事を摂り、再び夜間に後半部分を仕上げると言う。初日の作業はそれでお終いだ。こんな過酷な作業を彫辰は癌に侵された身体で3日間も続けるのである。


彫辰の姿が15年前の松岡と重なり、智は滾滾と眠る潤の汗を拭きながら、遠い郷愁に思いを馳せた。白粉彫りと雪華彫り、本格的な手彫りの技は何と奥深いものなのだろう…。


「彫辰さん。刺青がこれ程素晴らしい技術だと初めて知りました…。教えて下さりありがとうございます…」頭を下げる智に、彫辰は実に晴れやかな笑顔を見せるのだった。


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ついこの間までロスだ南米だと書いていたのに、打って変わって何とも和風な様相にシフトチェンジしておりますてへぺろ


東山編集長や懐かしのダイアナちゃん達の名前もチラリと登場し、いかにも後日談的な展開ではありますが、潤智の浴衣姿だったり、皆様の想像力が膨らむような艶っぽいまとめストーリーになればいいなと思っております照れ


そうそう、もしかしてご報告済みだったかも知れませんが、昨年末辺りにパソコンを新しく買い替えました🖥前回中古品で失敗したので今回はおニューでございますキラキラ(未だローンがだいぶ残ってるアセアセ


色は紺で(青系が紺しかなかった💦)未だ全然使いこなせておりませんタラーしかも前の中古パソコンは中のデータが修復不可能だった為に画像データ等が消えてしまい、昔作った画像の元になる素材画像が全く残ってないのですガーン


実は今回のお話に潤智の双龍をモチーフにしたイラストを載せる予定なんですが、何せイラスト加工の元になる素材画像が消えた為に、前回のPARADOX第一章『妖魔』で載せた智君のタトゥーのイメージイラストに使用したドラゴンの素材が無くなってしまいましたアセアセ


なので『妖魔』に登場する智君の白粉彫りのイメージイラストを近々新しいイメージイラストに描きかえる予定にしております😅同じドラゴンの素材でイラストを描かないと、最後の双龍イラストが作れませんので、誠に勝手な事で皆様にはご迷惑をお掛け致しますが、どうぞご了承下さいますよう宜しくお願い致します🙇‍♀️🙇‍♂️