これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し


♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️


最終章『I’m a love fool』


1


稀代の名人刺青師、彫辰こと堀部辰蔵の技術を日本の有形文化財として登録する為のプロジェクトを実行するに辺り、潤には恋人の智にさえ告白していない、とある隠し事があった。それは彫辰の “雪華彫り” と言う特殊な技巧に関しての秘密である。


“雪華(せっか)彫り” と “白粉(おしろい)彫り” 。刺青師の世界では幻の技と言われている超絶技巧の双璧がこの2つの刺青だ。これは人の体温と密接な関係にあり、体温が上昇すれば変化が起こる刺青なのである。


今回有形文化財とされるのは世界で唯一、彫辰のみが出来る雪華彫りの技術だ。平時は肌に馴染む薄色の色合いなのだが、体温が上がるとその色合いは鮮やかになり、まるで刺青に命が宿っている様に見えるらしい。


この雪華彫りにはかつて情 交しながら施されたと言うかなり艶かしい逸話もあり、それは上気した肌の状態を確認して施さなくてはならないからだと伝えられていた。潤が彫辰と交わした秘密の約束もこの雪華彫りの色っぽい特徴に由来している。


と言うのも、とうに絶滅したと思われていた白粉彫りの刺青を潤の恋人の智がその左脇腹に持っていたからだ。雪華彫りと違い、白粉彫りは普段は目に見えず、体温が上がると皮膚から浮き上がる様に現れる不思議な特性があった。


智の脇腹にそれを施したのはアメリカ、サンフランシスコ在住の未だ若い刺青師である。松岡と言う名のその若い刺青師は、独学で白粉彫りの技術を成功させ、当時の恋人だった17歳の智の左脇腹にその白粉彫りを施したのだ。


残念ながら松岡はその技術を世に知られる前にコンビニ強盗の巻き添えで命を落としてしまったが、その最高峰の技巧は世にも艶(あで)やかな紅龍となって今も智の左脇腹に美しく息づいていた。


なので潤は、彫辰の雪華彫りを自らの身体に有形文化財として残す事への交換条件として、智の白粉彫りとそっくり同じ姿の、対になる紅龍の刺青をと提示したのである。


智の白粉彫りを実際に見た彫辰は大層感激して、そんな潤の難解な申し出を快く受け入れてくれたが、智の白粉彫りとそっくりな左右対称の紅龍を彫るには、智の白粉彫りが肌に浮き出ている時に下絵を仕上げなくてはならない。


それには雪華彫りの特性でもある 情 交 時が最も適しているのである。そこで潤は国際特命捜査班本部の寝室の様子をロボットのドンちゃんに撮影させ、その映像を彫辰に預けたノートパソコンへとメールで送信する方法を思いついたのだった。


際どい部分はドンちゃんが上手く映像処理する筈だと聞いていたが、智の白粉彫りは脇腹から左内腿のかなり深い部分にまで及んでおり、相当刺激的な映像が彫辰の元には送信されている筈である。潤が智に隠している秘密とは詰まりその映像の事であった。


彫辰が下絵を完成させた時点でそれらの映像は速やかに消去される手筈になっている。エレガントテティスでの任務が終了してから2週間。明日にはいよいよ本番と言う段階になって、潤にはあの映像がちゃんと消されているのかどうか、それだけが心配の種であった。


何せプロジェクトには『真相報道Weekly』の密着取材が入るのだ。日本最後の刺青技術とあって前評判も上々である。但しメディアに開示されている情報では潤の顔や名前は伏せられており、誰の身体に雪華彫りが施されるのかは極秘扱いになっていた。


雪華彫りプロジェクトの密着取材はやっと身辺が静かになって来た二宮が担当する予定になっているらしい。なのでもしあの映像が残っていて、それが二宮に知られたりした日には最悪だ。智は激怒するだろうし、二宮には一生弱みを握られる事になってしまうだろう。


頼むぜ~♭爺さん♭潤は祈る様な気持ちで傍らの智を見つめた。国際特命捜査班本部は引き揚げ、今は自宅のタワーマンションに戻って、向かい同士にある互いの部屋を行き来している普段通りの生活だ。今夜は智が潤の部屋を訪れ、潤のベッドで、潤の腕枕に身を委ねている。


明日から三日三晩。潤の右脇腹に雪華彫りの紅龍が完成するまではこうして智の寝顔を眺める事が出来なくなるのだ。たかが三日、されど三日である。明日は智も彫辰の自宅に同行してくれるらしいが、夜にはPARADOXの営業もあるし、暫くは一緒に居られなくなってしまう。


雪華彫りは特殊な技巧の為に激しい痛みが伴うそうで、万全を期して麻酔医も常駐するらしいから、潤が微睡んでいる間に刺青は完成するだろう。ただ完成した後も墨が皮膚に馴染むまでは痛みが続くみたいなので、数日は痛み止めを点滴されながらの寝たきり生活になるらしい。まるで短期間入院である。


それでも智と同じ対の紅龍を自分の脇腹に刻む事は、潤に取って智への揺るがぬ想いをしっかりと繋ぐツールみたいな、一生変わらぬ愛の証の様な、そんな大きな意味合いがあった。彫辰が失敗するかも知れないなどとは全く考えていない。


例え癌に全身を侵されていようとも、最後の刺青を完成させるまで、あの名人は彫り針を決して手放さないであろう。彫辰はきっとやり遂げてくれる。潤はそう信じていた。静かな寝息を立てる智をそっと抱き寄せ、その首元に顔を埋める。優しくて甘い匂いがした。


**


東京郊外にある年季の入った日本家屋。堀部辰蔵がその刺青の腕1本で建てた刺青御殿である。古いがしっかりとした純和風建築で、彫辰自慢の住処だった。全ての畳を入れ替えたと言う8畳敷の座敷には真新しいマットレスが敷かれ、白衣を着た2人の医師が麻酔用の機械を確認している。


屋敷の中で最も奥まった場所にあるこの座敷が、彫辰がこれまで仕事をして来た刺青師の仕事部屋だ。天井には空調設備、壁には防音設備が施されており、入り口の木製の襖を閉め切ると、外部の音が一切入らない工夫が成されている。


今回は国家的プロジェクトの雪華彫りなので麻酔医が同行しているが、普通の刺青仕事であれば、墨を入れる者に噛み布を噛ませ、数時間ひたすら痛みに堪えて貰うのが彫辰の通常営業だ。


海外などに良くある、若者がファッション感覚で入れる機械を使うタトゥーと違い、手作業で行う日本古来の刺青は、使い捨ての何種類もの彫り針を専用の道具に装着し、それで皮膚を刺して色墨を流し込みながら点描画の如く要領で少しづつ絵を描いて行く。


ペン先を替えて細い線や太い線を描く漫画家やイラストレーターの様に、彫り師には彫り師独自の手彫り道具と言うものがあるのだ。但し、刺青はホワイトで修正出来る紙の絵と訳が違う。故に刺青師には描き間違えなど許されないのである。


例えば背中一面の大きな刺青ともなると、対象者の身体の負担を考慮しながら少しづつ彫り進めていかなくてはならず、その作業は長期間に及ぶ。


刺青師によりそのやり方は様々だろうが、彫辰の場合は刺青が完成するまで、客人にはこの屋敷で寝泊まりして貰う事になっているので、衛生面から言っても基本的には外出禁止だ。何せ皮膚を傷つけてそこに色墨を定着させるのだから痛みも強く、衛生管理も徹底しているのである。


特に今回行われる雪華彫りは、本来の刺青の上に薄紙を1枚被せた様な仕上がりになると言う。やり方の詳細は彫辰にしか分からないであろうが、針の入れ方が少し深くなるらしいのだ。


雪華彫りを試みたのは彫辰が未だ若い頃に1度だけだと言う事であるが、その時の客人はあまりの痛みに何度も失神し、結局少しばかり彫り進めた所で通常の刺青に切り替えたらしい。なので彫辰自身、今回のプロジェクトは刺青師人生に於いて最初で最後の雪華彫りとなる。


今日は朝から『真相報道Weekly』の取材が入り、彫辰の人物像や雪華彫りなる刺青についての特集が組まれていて、その技巧がいかに国の有形文化財として相応しいものであるかを読者に伝えるべく撮影を行なっていた。


今までの彫辰であれば取材などとんでもないと門前払いを食らわす所であるが、今回のプロジェクトに関しては彫辰が潤に対し是非にもと切望して叶った最後の花道である。いざ仕事が始まれば完成するまで座敷には誰も入室出来ないが、仕事前であればと彫辰から許可が下りた。


生来の頑固者にしては珍しく物分りのいい対応だが、それは取材に訪れたのが『真相報道Weekly』の編集長、東山だったからと言うのも大きな理由である。本当は二宮が取材に訪れる予定だったが、二宮は別の取材の為に六本木のキャバレー『PARADOX』に赴いているのだ。


東山は元々警視庁捜査一課のエリートで、暴力団関係者が起こしたとある事件で彫辰と出会った事がある。その暴力団関係者に刺青があった事から彫辰の名前が浮上したからだ。


結局事件を起こした暴力団関係者は彫辰とは何の関係もない人物だったが、その時の聞き込みで、彫辰は東山の謹厳実直な正義感溢れる人柄に惚れ込み、刺青師の情報を教えてくれたのだった。


取材に来た東山を一目見た彫辰は大層喜び、本来なら断固拒絶した筈の、かなり踏み込んだ取材も可能になったのである。これまでに彫辰が行った仕事相手の刺青写真や下絵を『真相報道Weekly』が撮影出来たのも東山の人徳だ。


こうして彫辰の雪華彫りプロジェクトの舞台はすっかり整い、後は潤の到着を待つまでとなったのである。



これが手彫りの道具(1部)でございますニコニコ写真では大きく写っておりますが、これらの彫り針は数ミリ単位のとても細かい物なんですよ~ウインク


♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️


さていよいよ始まりましたCONFUSION最終章『I’m a love fool』でございますニコ今回は刺青師と言う特殊なお仕事についてちょっとだけ書いてみましたが、相変わらずネット検索だけで拾ったネタでございますので、必ずしも正確ではございません(駄目ジャン滝汗💦)


なので余り鵜呑みにせず、あくまでも彫辰なる架空の名人に限っての事だと認識頂ければ良いかと思っております(こんなんばっかですみません~お願いアセアセ


始めに潤智の微甘LOVEを導入してみましたが、彫辰さんの元には果たしてどんな映像が送信されていたのでしょうねぇ~🤭💕今回はこんな感じで甘い潤智がメインになって行きますので、どうぞ暑気あたりなどしないよう爆笑お楽しみ下さいね~ニコニコ