これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し


♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️


第二章『カジノ・ターゲット』

 

5


『海上のラスベガス』豪華客船エレガント・テティスは翌日の早朝に横浜港を出港した。今から約1ヶ月の船旅である。目的は勿論『南米のカジノ王』、エンリコ・フェルナンデスと、その裏組織の壊滅なのだが、ここは地上ではなく海の上だ。他の乗船客の身の安全を確保する為にも作戦はゆっくりと推し進める必要があった。


そう言う意味では櫻井の立ち居振る舞いは流石なもので、時間があればエンリコと行動を共にし、親しく親交を深めているように見えた。その腹に一物を含んでいるなどとは微塵も見せずに…。彼の『dead line』のボスとしての秘密工作員を統率する立場は決して伊達ではない。


勿論父親の櫻井宗一郎の跡を引き継いだ事も理由の1つだろうが、何より櫻井自身が冷静沈着を絵に描いた様な至極ボスらしい男なのである。そんな櫻井が唯一激しい動揺を見せたのが智の裏切りだったのだから、何をかいわんやと言った所であろう。


それでも相葉やアレクサは智を失った事で、櫻井は以前よりも優しくなったと喜んでいる。軍の訓練所よりも厳しい『dead line』の養成所で、アレクサの様な優しい性格の女がずっと続けていられるのも、櫻井のそんな変化にあるのかも知れない。


櫻井はエレガント・テティスの1等客室を4室予約していた。1人1部屋だが、潤は智のマネージャーと言う役回りなので、ちゃんと2人で1部屋となっている。以前の櫻井なら智に対してそんな気遣いなどしなかっただろうが、今では漸く諦めもついたのか、潤と智の仲を半ば容認している状況だ。


ただ、ジャーナリストの二宮は編集部支払いなので、2等客室で寝泊まりする羽目になっており、出港してからずっと相葉の部屋に居座っている。アレクサは「私の部屋でもいいわよ♡」などと二宮を甘やかしているが、例え元は男でも、今やアレクサは1人の美しい女性なので二宮もさすがに行きづらいらしい。


アレクサは沢山のドレスを着替えとして持ち込んでいたが、相葉は乗船時に着ていた服が余程気に入ったのか、同じ物を何着も買い込んで店の在庫を空っぽにしたそうだ。どうやらエレガント・テティスでの自分のスタイルはこの格好だと勝手に決めたらしい。ここではまるで相葉のユニホームの様に定着している。


1等客室は白を基調にした大層贅沢な造りになっており、さながら南国リゾートのスイートルームの様な豪華さだった。船の揺れなども全く感じないので、ここが海の上だなどとは思えない程の快適な部屋である。


本格カジノは勿論、カジノの隣に併設された船内シアターもちょっとした小劇場程の広さがあり、中々の本格派だ。半円形の舞台を囲む様に客席が設けられていて、それぞれの席にはちょっとした食事とアルコール、ソフトドリンクなどを嗜みながら観劇出来るよう、小テーブルが備え付けられている。


他にもエステやスパ等の美容施設や船上プール。ショッピングモールなども充実しており、まさしく『海上のラスベガス』そのものであった。だが、そんなゴージャスな海の女神は、ゲスト達には決して見せる事のない悪魔の顔を船底にひっそりと潜ませている、恐ろしい邪神でもあるのだ。


《例のシンガポールの夫婦は契約書にサインをしたか?》エンリコ・フェルナンデスがそう言って話し掛けるのは『JEWEL UNIT』のアマティスタである。エンリコと年齢が近いからか、どうやらこの男に対するエンリコの信頼はかなり厚いらしい。


アマティスタは《ええ勿論》と頷くと、英語のサインが書かれた何枚かの書類をエンリコに差し出した。《今日はエスメラルダとペルラが処刑したそうですよ。後はいつもの様にダストシュートから海中に捨てておしまいです》


アマティスタのそんな残酷な報告に、エンリコは満足そうに笑顔を浮かべると、書類を受け取り、愛用のアタッシュケースにしまった。


《さすがだなアマティスタ。お前のカードの腕前は世界一だ。最近じゃお前の息子のオニックもだいぶ使えるようになって来たし、この調子でまた頼んだぞ》《カジノは負ける方が悪い…ですか?》《その通り。借金はきっちりと取り立てないとな》


アタッシュケースをポンと叩いて親指を立てるエンリコに、アマティスタは口元で薄っすらと微笑い、《次の狙いはショウ・サクライですか?》と低い声で聞いた。


このエレガント・テティスの船底はちょうどビルの地下1階と地下2階の様に2層に別れている。船底の上部は全て倉庫になっており、食料貯蔵庫やら備品倉庫、燃料用倉庫等、沢山の倉庫がずらりと並んでいるのだが、2人がそんな会話を交わしているのは、更に下の地下2階に当たる場所だった。


この場所は倉庫のある地下1階のとっつきの、『関係者以外立ち入り禁止』と書かれた扉から階段を降りて行った所にあり、まるで銀行の金庫の様な重いドアが備え付けられている。そのドアに暗号を入力して入った先に事務所があり、そこにエンリコ・フェルナンデスとアマティスタは居た。


この事務所を出て、長い廊下を歩いた先の更に奥には、分厚い壁に隔たれた通称『死の迷路』と呼ばれる広大な一角があり、これはエンリコ・フェルナンデスがこの豪華客船の船底にひっそりと作らせた、残虐な人間狩りゲームの舞台であった。


そこはカジノに大負けした資産家達が、エンリコからの挑戦を受け、命懸けのラストゲームを行う場所である。エンリコは先ず資産家達に財産差し押さえ等の書類にサインをさせ、とある条件を突きつけるのだ。


この『死の迷路』を無事に抜け出す事が出来ればサインした書類を破り捨てて借金をチャラにし、加えて1000万ドルをプレゼントすると言う、そんな条件である。


当然資産家達は否も応もなくこの挑戦を受ける事になるのだが、『死の迷路』の内部にはそこかしこにドアが仕掛けられており、そのドアの向こうには『JEWEL UNIT』の殺し屋達が待ち構えているのだった。


詰まり、出口に通じるドアはたった1つで、他のドアは全部罠だと言う訳だ。だがそのたった1つの出口へと通じるドアにはちょっとしたからくりがあり、簡単に見つける事は出来ない。要するにエンリコからのラストゲームを受けたら最後、待ち受けているのは死のみである。


そうやって処刑された資産家達は殺し屋の待ち受ける部屋に設置された、大型のダストシュートから重石を付けられて海中へと遺棄され、魚達の餌になってしまう。こうしてエンリコ・フェルナンデスは資産家達の財産を奪い取っているのだった。


《ショウ・サクライか…。彼は若いが中々のやり手だぞアマティスタ。噂ではお前達みたいな物騒な連中を訓練して秘密工作員の様な仕事をやらせているらしい…。まぁ、あくまでも噂だがな…。だが総資産はかなりありそうだ…。


上手く行けばサクライの手掛けるショービジネスを丸ごと乗っ取る事も可能かも知れん…。日本ではミックス・チャイナの一件で大損させられたからな。たかがマルティネス1人の命じゃあがなえんだろう。


まぁ、ロスまでは未だ1ヶ月もあるし、ゆっくりとやるさ。とりあえず今夜はサクライに同行したパフォーマー達のナイトショーをせいぜい楽しませて貰おうじゃないか》エンリコ・フェルナンデスの猛禽類の様な琥珀色の双眸が鋭く輝いた。


**


その日の夜。エレガント・テティスのシアターは大入り満員の大盛況だった。船上レストランでの智の歌やエンリコの後押しもあってか、日本から来たナンバーワンパフォーマー達のナイトショーを観ようと乗船客達は皆各々ワインやシャンパンなどを手にショーの開演を待っていた。


当然エンリコフェルナンデスと取り巻きの『JEWEL UNIT』の面々は、ステージに程近い特等席に座ってナイトショーを見守っている。エンリコは肉厚のグローブみたいな両手で大きな拍手をし、隣に腰掛ける櫻井の肩をバシバシと叩いた。


開演のブザーが鳴り、観客達の拍手の中、現れたのはアレクサだ。コルセットで強調した豊かなバストとヒップ。まるで砂時計みたいなスタイルに、スパンコールが散りばめられたショッキンググリーンのミニドレスを身に纏い、15センチもありそうなハイヒールを履いた派手な化粧のアレクサは、自らトランスジェンダーである事を強調する様に鼻の下と顎につけ髭を付けていた。


元々高身長のアレクサだから、ハイヒールを履くとそれはそれは大柄になる。加えてつけ髭のアピールが加わり、会場の誰もが彼女がトランスジェンダーだと認識した所で、ステージ上のバンドがミュージカル映画『グレイテストショーマン』の名曲『This is me』を演奏し始めた。


映画のレティの様な肥満体ではないものの、アレクサの筋肉質な体つきはかなりな説得力がある。元々スペインのショーパブで歌やダンスをやっていた実績もあり、アレクサの『This is me』は歌の上手さもさることながら、その奥行きのある声量はシアターを揺るがす程に豊かな響きを放っていた。


割れる様な拍手の中、歌い終わったアレクサがつけ髭をむしり取り、大きく片腕を振って「ネクストパフォーマー!ナイフキング!ミスター・アイビー!!」と次に出演する相葉を紹介する。大盛り上がりの会場の中、相葉が愛用の象牙のナイフを両手でジャグリングしながら、舞台上に登場した。


会場は「アイビー!アイビー!」と連呼して手拍子で盛り上げ、相葉はクルクルと回転させたナイフを腰につけた革のケースに素早く装着してから両手をあげて声援に答え、「レディース、アンド、ジェントルマン!イッツ!ショーーーーーターーーイム!!」と観客にアピールした。


アレクサが客席に下り、それぞれのテーブルに乗せられた予備のステーキナイフを10本程回収する。種も仕掛けもないと観客に印象付ける為だ。アレクサは続いて舞台袖から人型の描かれた木製の板をステージに運び込み、相葉はその人型にアレクサを張り付けにして、板に付けられた両手両足を縛るベルトに固定した。


ドゥルルルルとドラムロールが鳴り、ステージ上の緊張感を煽り立てる。右手に5本、左手に5本のステーキナイフを持った相葉は、板に張り付けられたアレクサに頷き、クルリと後ろを向いて、振り向きざま10本のステーキナイフを一気に投げた。客席から悲鳴が上がる。


ドドドドドド!!10本のステーキナイフは張り付けられたアレクサの身体を取り囲む様に、均等な幅で皮膚ギリギリの所に突き刺さり、会場のボルテージは最高潮に爆上がった。だが、明らかに2箇所、アレクサの両首筋の付近が不自然な隙間を作っている。


紳士的な挨拶で客席の声援に応えた相葉は腰の革ベルトをポンポンと主張する様に叩き、パンツのポケットから若草色のスカーフを取り出した。客席の夫人を指名し、そのスカーフを使って彼女に目隠しをしてもらう。


手探りでコミカルに迷う振りを見せた相葉は、アレクサが張り付けられた板ではなく、客席向きの、絶対に無理だろうと思う様な角度で動きを止めると、腰の革ベルトから愛用の象牙のナイフを取り出した。会場がざわつき、あちらこちらから怯えた様な声が聞こえる。


相葉はそんな声を意に介する様子も無く、2本のナイフを客席に見せつける様にジャグリングすると、クルリとターンしながらそれを投げた。ド、ド!!相葉の投げた象牙のナイフは寸分の狂いもなく、アレクサの首筋の両サイドギリギリの所に突き刺さり、背後のスクリーンにはその際どさがはっきりと映し出されていた。


ブラボー!!シアターを揺るがす様な拍手喝采の中、拘束から解かれたアレクサが目隠しを外した相葉と共に、何度も礼をして観客の声援に応えている。手を振りながらナイフの刺さった板を引き、舞台袖に引っ込んだ相葉とアレクサの後、暫くの間を置いてから潤が姿を現した。


口笛と声援の中、マイクを持った潤が流暢な英語で乗船客達に話し掛ける。《皆さんこんばんは!今宵のショーは楽しんで頂けていますか?!》会場が一斉に「 Yeahーー!!」と言う歓声に包まれ、潤は拝む様にマイクを間に両手を合わせて一礼し、「THANK YOU!」と、片手を胸に置いた。


《この会場にいる皆さんは恐らく彼の事をご存知ないと思います。何故なら彼はテレビショーに出演する訳でもなく、映画に出る訳でもなく、ブロードウェイの舞台でミュージカルを演じる訳でもない、東京の小さな街の1人の無名のパフォーマーだからです。


だからこそあえて言いたい。皆様は幸運だと。1人の小柄な青年が、誰よりも大きく、眩しく、美しい輝きを放つ奇跡の瞬間を目にする事が出来るのですから。そう、彼こそが無名のスーパースター!Satoshi Sammy Ohno!》


潤のやや大仰とも思える紹介で、シアターが大きな拍手に包まれる。ステージが暗転し、Satoshiのナイトショーが始まった。


♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️


智君のナイトショーまで書けなかったわ~アセアセアセアセそれにしても中々通常運転が出来る様になりませぬ~えーん去年の今頃ってこんなに忙しかったっけ?タラーと思う程やんなきゃいけない事が次から次へと連発して、(明日は市の肺がん検診だしタラー)もうどうすりゃいいのと言った感じでございますガーン


そろそろ大ちゃんのお誕生日企画も始めなきゃだし、何が何だかパルプンテな状態ですがアセアセそれでもちょっとづつ書き進めて『死の迷路』なる恐怖のアトラクションまで登場し、ラストバトルに向けてのスリリングな仕掛けなんかも見えて参りましたグラサン


『グレイテストショーマン』の『This is me』は何だかアレクサに似合いそうだなと思い、彼女の歌唱シーンや相葉ちゃんのナイフパフォーマンスまで、今回は豪華客船の内部の様子も含め、智君以外のショーの場面までかなり細かく書いてみましたニコニコ


おかげで字数がオーバーしそうになり、智君のショーの場面が書けなくなってしまいました滝汗タラー忙しい時に限って細かい書き込みをしてしまう私の悪い癖でございます笑い泣き


中々思うように書けませんが、スキマ時間を活用しながら頑張って進めて参ります( ̄^ ̄)ゞ多分大ちゃんのお誕生日企画と同時進行になるかと思いますが、どうぞ生ぬるい目で見守ってやって下さいませ🙏