これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し

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第一章『エレガント・テティス』

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横浜、ベネズエラ大使館。山下公園の近くにあるこの特殊な場所に、ある日風変わりな男女の清掃員が現れた。

いつもの清掃会社の新人だと言うその2人は、入館証も所持しており、掃除の手際も大層良かったので、特に怪しい点は無かったものの、男も女も背が高く、特に女の方はマスクの目元から明らかにラテン系外国人の雰囲気が漂っていた。

「ご苦労様。1回分だけでも休めて良かったよ」清掃会社のライトバンで待機していた運転手が、掃除を終えて戻って来た2人に声を掛ける。助手席にはお腹を押さえて目を閉じている相棒が、「助かりましたぁ…♭」と安堵の吐息を吐いた。

「私こそ久々に彼に会えて嬉しかったわぁ〜♪これで思い残す事無く故郷のスペインに帰れます♪」後部座席で作業着を脱ぎ、キャップとマスクを外して運転手に返したのはアレクサだ。アレクサは隣でキャップを脱ぐ、茶色いサラサラヘアーの男に向かって「優しい人で良かったですね。センパイ」と言った。

「本当だねぇ〜♪アレクサンドリア♪お礼と言っては何ですが、隅々までピカピカに磨いて来ましたから大使館の皆さんもきっと喜んで下さっていると思いますよ」

これ以上の爽やかスマイルは無い程の爽やかな笑顔で運転手にお礼を言うのはAi-Bこと相葉である。運転手は「いやいやこちらこそ助かりました」と頭を下げると、「こいつが急に腹痛なんて起こすから困っていたんです」と、助手席の相棒の肩を叩いた。

「それにしても好きな男が大使館で働いているなんて厄介でしたねぇ。あんたの気持ちも分からなくはないけど、未だ若いんだし、何よりあんたみたいな美人なら直ぐに新しい恋人も出来るだろうから、もう思い詰めない方がいいよ」

運転手は親切にそんな優しい言葉をアレクサに掛けてくれたが、実際の所、この相棒の飲み物に下剤を混入したのは相葉である。ベネズエラ大使館に清掃に来たこの2人を駐車場で呼び止めた時に、相棒の持つ缶コーヒーに即効性の下剤を1滴落としたのだ。

直ぐに薬が効き、腹痛で苦しみ出した相棒に、ほとほと困り果てている先輩格の清掃員に、相葉とアレクサが代役を申し出たと言う訳である。

母親の病気で故郷のスペインに帰らなくてならなくなったのだが、恋人だった男が大使館で働いており、最後に一目だけ会って帰りたいと泣くアレクサを、大使館には入れないからと会社の先輩の相葉が慰めていると言う図式だった。

旅行会社で働いていると言う名目で小芝居を打つ2人は、いつもの素っ頓狂なファッションと違い、地味なスーツ姿をしており、アレクサもナチュラルなメイクと、緩いカールの栗色の髪を、一纏めに束ねた清楚なスタイルで、大柄ながらも、ハーフの美人留学生と言ったイメージを上手く演出していた。

中に入れないならせめて手紙だけでも渡して欲しいと清掃員達に声を掛け、この茶番を持ち掛けたのが始まりだ。相棒は腹痛だし、1人で清掃するのは大変だからと、清掃員達は自分達の代役として清掃に行って欲しいと、相葉とアレクサにその日の清掃を頼んだのだ。

こうして相葉とアレクサは清掃員としてまんまとベネズエラ大使館に潜入し、あちこちを丁寧に清掃しながら盗聴器を仕掛けて回ったのである。親切と言うよりもいささか気の毒な清掃員達を駐車場で見送った相葉とアレクサは、直ぐに移動して、近所の立体駐車場に停めた自分達の愛車へと乗り込んだ。

後部座席に受信機を積み込んだ特別仕様のワンボックスカーである。音声状態は良好で、様々な会話が受信機から聞こえて来た。「親切な清掃員さん達だったのにちょっと可哀想だったわねぇ〜」腹痛の清掃員を心配するアレクサに、相葉は「大丈夫大丈夫♪後30分間もすれば嘘みたいに治まるから♪」と、相も変わらぬ脳天気振りだ。

櫻井の秘密工作員養成組織『Dead Line』に長く在籍しているせいか、相葉には優しげな外見に似合わぬ冷淡さがあり、何かあれば相手を瞬殺出来る様、常に愛用のナイフを隠し持っている。いつも陽気でノリがいいからか、そんな気配は微塵も見せないが、その実力は今や『Dead Line』でも実質No.1とも言える凄腕の工作員だ。

アレクサは前回のチャイニーズマフィアとの対決の際、新たに加入したメンバーだが、訓練に訓練を積んで今ではかなりの実力が身についている。智や潤とも顔馴染みで、サポート役にはうってつけだと判断した櫻井がこの2人を来日させたのだ。

1年振りの再会と言う事もあり、智や潤に手ぶらで会う訳には行かないだろうと、2人は手土産代わりにベネズエラ大使館の盗聴音声を入手するべく画策したのである。

盗聴器の音声は全て受信機の録音装置に録音され、その中から特に大使秘書官のマルティネス・ケンドリッジの声をコンピューターが選別して保存する仕組みとなっていた。

「んじゃあの2人に会いに行こうか?♪」「はい、センパイ♪」モスグリーンのワンボックスカーが新宿歌舞伎町に向かって発進する。目的地はカラオケボックス『sing A song』だ。

公安委員長の城島が、『Dead Line』と提携する様になった事で、極秘機関である『国際特命捜査班』の存在も彼等工作員達には開示されていた。「あれ?もしかして俺達尾けられてない?」バックミラーにチラリと視線を移す相葉の声に、アレクサが「やだぁ〜♪ホント♪」と明るく答える。

尾行しているのは普通の軽自動車で、運転席には見覚えのある童顔が乗り込んでいた。「アヒャヒャヒャ♪あいつ見た事あるぞ〜♪おおちゃんの友達のジャーナリストじゃん♪ほら上海の空港にも居たろ?翔さんが捕まっちゃってた♪」「覚えてるわぁ〜♪あの子犬みたいな顔の可愛いコよね?♪」

尾行していたのは『真相報道Weekly』のジャーナリスト、二宮だった。高橋刑事の死をきっかけにして二宮も独自に『ミックス・チャイナ』と、外交官のマルティネス・ケンドリッジを追っているのである。(20825日目の曲〜老いた猟犬に捧ぐ鎮魂歌〜参照★)

恐らくマルティネス・ケンドリッジの周辺を探っていて、たまたま相葉とアレクサを見掛けたのだろう。中々鼻の効く記者で、前回のチャイニーズ・マフィアの事件の時も上海まで追いかけて来たり、あの歴史に残る前国防大臣のパーティーにも編集長と共に参加していた。

「あいつ多分おおちゃんとMJが現在『国際特命捜査班』に所属している事知らないんだろうねっ♪もしかしてあいつも『ミックス・チャイナ』を追ってるのかもよ?♪

前の事件の時は結構協力して貰ったみたいだけどさ、『国際特命捜査班』は警察庁の極秘機関だし、ジャーナリストに知られちゃマズいよね?どうする?アレクサ。まいちゃおうか?♪」

言うが早いか相葉は車のスピードを上げて急ハンドルを切り、高速を走る大型トラックの前に飛び出すと、凄まじいクラクションの音をものともせずにインターチェンジを下ってそのまま突進した。一般道を暫く流して再び高速道路に戻り、背後を確認する。二宮の軽自動車は消えて、上手くまけた事を示していた。

「どうやら追いつけなかったみたいだねっ♪でもさ、俺あいつにはまた会いそうな気がするんだよねぇ〜♪もしかしたら俺らを見掛けた事で、マルティネス・ケンドリッジの周辺を翔さんが探らせているって思ったも知んないし、おおちゃんやMJが関わってんのがバレるのも時間の問題だろうねっ♪」

相葉はそんな事を言いながらムフフと微笑い、「面白くなって来たねぇ〜♪」とアクセルを踏み込んだ。

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その頃、潤と智は横浜の海上交通センターに赴き、横浜港に停泊した貨物船等の情報を調べていた。相葉やアレクサ同様、こちらもシンプルな紺のスーツを身にまとい、警察関係者らしさを演出している。

こんな時には潤の持つ本物の警察手帳が大いに効力を発揮してくれるのだ。センター長は直ぐに2人を資料室に案内してくれ、パソコンの使い方も丁寧に教えてくれた。

「『ミックス・チャイナ』が東京で出回る様になって来たのって確か今年の春くらいからだったよな?差し当たり2月辺りにまで遡って調べてみるか?」パソコンを操作する潤の隣で画面を見つめていた智は静かに頷き、「特に南米辺りから到着した船を重点的に調べてみよう」と、国別のリストを指差した。

見慣れないスーツ姿に、小型カメラ内蔵の眼鏡を掛けた智は、潤の目にも何だか新鮮に見える。「こうして見ると眼鏡もいいな♪良く似合ってるじゃねぇの♪」智の膝をスリスリする潤の手を軽くはたき、「仕事しろ♭」と軽く諌めた智は、画面上に現れる南米からの船便リストの一部に視線を止めた。

「見てみろ潤。これは全部『エレガント・テティス』と同じ、『グランディア・コーポレーション』の貨物船だぞ。2月の始め頃から1ヶ月に2度、横浜港に入港している。中身はコーヒーや果物なんかの食料品が殆どだが、検品者の欄にマルティネス・ケンドリッジの名前もある」

「『グランディア・コーポレーション』ってカジノ王エンリコ・フェルナンデスのダミー会社か?♭『グランディア・コーポレーション』は表向き海運業だから食料品が輸入されるのは別におかしかねぇが、『グランディア・コーポレーション』の貨物船が入港し始めたのが2月からだってのは明らかに臭うぜ…♭」

潤は更に遡って昨年からの船便も一応確認してみたが、『グランディア・コーポレーション』の船はそれ以前にはただの一艘も入港していなかった。「これ…♭多分ビンゴだな…♭やっぱ『ミックス・チャイナ』の密輸にはエンリコ・フェルナンデスが関わってると見て間違い無さそうだぜ…♭」

潤は『グランディア・コーポレーション』の船が日本に輸入した貨物のリストを、初めから全部画面に映し出し、智の掛けた眼鏡の内蔵カメラに撮影させると、「この食料品のどれかに『ミックス・チャイナ』が隠されてたんだろうな…♭」と呟いた。

その時、智の胸ポケットに入れたスマホがバイブ音を鳴らし、『sing A song』の村上が、困惑したような声で訴えて来た。「あぁすんません♭大野さん♭何か良ぅ分からん来客が「おおちゃんに会うまで帰らん」言うてカラオケ熱唱しとるんですけど…♭あの人知り合いですか?♭」

「誰?♭」「アイビーやのアイバーやの言うとりますわ♭大柄なラテン系のド派手なおネエちゃんも一緒です♭」村上は明らかに困っていた。櫻井の『Dead Line』と提携している事は城島から聞いているだろうが、そこの秘密工作員がまさかあの2人だとはとても思えないのだろう。

智は少し微笑って直ぐに戻ると村上に告げると、潤に向き直った。「どうやらあの賑やかな2人が到着したらしいぞ♪」

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すっかり遅くなり、申し訳ありませんでした〜🙏🙏アセアセアセアセ実は2日に2度目のワクチン接種をしたんですが、1度目は何ともなかったのが2度目の副反応がちょっと大変でしてタラー体が本調子に戻るまで結構かかってしまいました〜アセアセ

いやはや久々にあんな高熱が出ましたわ〜タラー(マジでヤバいんじゃないかと思ったチーンもやもや)どうにか熱も下がり、倦怠感も治まったので、6日の夜からボツボツと書き始め、ここに来て漸く『CONFUSION』第4話アップでございます滝汗はぁ〜やれやれタラー

清掃員に成りすまし、いきなり大使館に潜入する大胆不敵な相葉ちゃんとアレクサでございます爆笑

最近JCBのコマーシャルでニノみぃ〜がジャーナリストを演じているので、何だかタイムリーな感じがしておりますが、今回はチョロっとだけ登場し、相葉ちゃんにまかれちゃいました〜てへぺろアセアセ

次回はいよいよ潤智と1年振りの再会となりそうですチョキウインクその内ニノみぃ〜とも合流させたいと思っておりますので、改めて今回も宜しくお楽しみ下さいまし〜バイバイおねがい