これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し

♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️

CONFUSION spinoff story
『雪華情熱譚』

後編

六本木キャバレー『PARADOX』。潤と共に『国際特命捜査班』で秘密捜査官として活動している智は本来、事件の捜査中は任務を最優先にしなければならない立場である。

だが、『PARADOX』は以前オーナーだった櫻井から譲り受けた大切な店でもあるし、何よりここはステージのショーが売り物の本格キャバレーなので、ナンバーワンパフォーマーの智が参加しない事には話にならない場合があるのだ。

特にこの一週間は店のイベントであるサマーフェスティバルの時期なので、智はオーナー兼パフォーマーとして、絶対ステージに上がらなくてはならず、『ミックス・チャイナ』の捜査は潤に任せていた。

現在潤は『ミックス・チャイナ』の密輸入に使われている疑いがある横浜の湾岸倉庫で、日雇い労働者として潜入捜査をしており、仕事が終わればここに立ち寄り、ショーを見たり酒を飲んだりして楽しんでから、出番の終わった智と共に新宿歌舞伎町にある『国際特命捜査班』の秘密基地へと帰るのが日課になっていた。

そんな潤が『PARADOX』の客として和装の小さな老人を連れて来たのは潜入捜査を始めてから3日後の事である。

何でも昼休みの時にちょっとしたトラブルに巻き込まれたのがきっかけで、この老人と知り合ったらしく、どうしても智に会いたいと言うので、潤の労働時間が終わるのを待って貰ってから連れて来たのだそうだ。

聞けばこの老人は彫辰と異名を持つ、今世紀最高の名人刺青師だそうで、智の左脇腹にある白粉彫りのドラゴンの刺青の話を聞いて、是非とも見たいと潤に切望したらしい。

だが智の持つ白粉彫りの刺青は、智のかつての恋人だった、今は亡き無名のタトゥーアーティスト。松岡の彫ったものである。

果たしてそんな名人に見て貰える様な代物なのかどうか分からなかったが、彫辰によると白粉彫りはもう50年も前に絶滅した難しい技巧で、幻だと思われていたそうで、それを14、5年前とは言え、そんな近年に出来る刺青師が存在した事自体が奇跡に近い事らしい。

「おお、あんたが白粉彫りを持っておると言う松本殿の恋人か?また何とも愛くるしい顔をした若者よのぅ♪姿も華奢でおなごの様じゃ♪松本殿といい、あんたと言い、まるで女雛と男雛じゃのぅ♪いや、おのこ同士じゃから男雛と男雛かのぅ♪」

彫辰はそんな冗談を言いながら智に握手を求めると、「美しい手をしておるわい♪わしの皺くちゃの手が恥ずかしのぅ♪」と、顔もくしゃくしゃにして笑った。何とも茶目っ気のある爺さんだ。

この歳の老人にしては男同士のカップルと言うのにもさほど偏見がないらしく、「似合いの2人じゃのぅ♪」などと言いながらニコニコしている。

『PARADOX』は本来会員制だが、彫辰は癌を患い、今年いっぱい生きられるかどうか分からない身なのだと聞いて、智はステージに近い、彫辰の為の特別席を店内に用意して、ショーを見て貰う事にした。

他の来客達は何者かと言う様子で、このこじんまりとした老人を眺めていたが、唯一VIP席にいる国防大臣、長谷川恭一郎だけは「おい松本君♭あれは堀部辰蔵だぞ♭」と、同じ席に腰掛ける元刑事局長で潤の父でもある松本鋼太郎に言った。

「堀部辰蔵?彫辰か?あの名人がウチの倅となんの関係があるんだろう?」怪訝そうな松本元刑事局長に、長谷川恭一郎は直ぐに智の白粉彫りと関係しているのだろうと見当をつけた。

「何だ、来てやがったのかよ?クソ親父♭」そこにどっかりと腰掛けたのは潤だ。潤の労働者めいた姿を見て、松本元刑事局長がニンマリする。

「来て悪いか馬鹿息子。お前こそ何だその格好は。いよいよ役に立たなくて警察庁をクビになったか♪」「違ぇわ♭これも仕事だっつ〜の♭息子の仕事くれぇ把握しとけよ♭」

この父子はいつもこんな憎まれ口の応酬ばかりだが、無論松本元刑事局長も、長谷川恭一郎も潤が現在警察庁広報部の仕事以外の特殊な部署に所属しているのは知っているので、これはこの父子の日常会話の様なものである。

始めは何も知らずにオロオロしていた長谷川恭一郎も、松本元刑事局長が『PARADOX』の会員になってからはこの様子にすっかり慣れて、今では会話に参加したりもする様になった。だが、潤が所属する『国際特命捜査班』の実態を知っているのは、各省庁でも長谷川恭一郎の様な大臣級の人物だけである。

「所で潤君。あれは堀部辰蔵じゃないかね?先程親父さんとも話していたんだが、君と彫辰とはどんな関わりがあるんだ?やはり智君の白粉彫りと関係があるのかね?」長谷川恭一郎の質問に、潤はどんな経緯で彫辰と出会ったのかをかいつまんで説明した。

「…と言う事で彫辰さんが智の白粉彫りを見たいと仰るんで、それならここでSatoshiのショーを見て頂くのが1番だと思いまして、おいで頂いたんですよ。幸いサマーフェスティバルのショーは祭りをテーマにした和のショーなので、彫辰さんにも気に入って頂けるんじゃないかと…」

「成る程。それはいい。私だって初めにここで智君の白粉彫りを見た時は本当に感動したからね。あれはさすがの名人彫辰でも驚くんじゃないのかな?」長谷川恭一郎は大いに納得して少し残念そうに「そうか…伝説の刺青師も病気には勝てなかったか…」と呟いた。

だが潤の父親の松本鋼太郎はそんな名人が最後の墨を潤にと希望した事にツボったらしい。ワハハハと豪快に一笑すると「面白い!♪」と息子の肩を叩いた。

「お前なんぞの体にあんな名人生涯最後の刺青か?♪そりゃ名前負けならぬ体負けってもんだろーが♪だが彫辰と言えば生来の頑固者で滅多な事じゃ仕事をしないらしいからな♪ある意味名誉な事じゃないか潤♪折角なんだから彫って貰っとけ♪」

元警察官僚とは思えない父親の発言に潤は物凄く嫌そうな顔をして「こらクソ親父♭適当な事言ってんじゃねぇよ♭俺公務員だぜ♭」と至極真っ当な反論をする。長谷川恭一郎が「確かにバレたら大炎上だな♭」と頷いた。

「んなもん隠すから大炎上するんだろーが。世紀の大名人彫辰が人生最後の大仕事として、然るべき人物にだけ雪華彫りの技術を残したいとの切なる想いに、警察庁広報部の若者が自らの肉体を犠牲にして応えたとあえて宣伝すればどうだ?

賛否両論あるだろうが、反社連中ではなく警察関係者、しかも広報部の人間ならそんなに反発も起きないだろうが?もし駄目ならこいつをクビにすりゃいい♪どうせ『国際特命捜査班』の方は極秘機関なんだし、広報部ならこんな馬鹿息子1人居なくなっても誰も困らんだろうしな♪」

そんな無茶苦茶な事を言って面白がる松本元刑事局長に、何故か長谷川恭一郎まで「成る程…」と乗り気になる。「国の主導で潤君の顔を隠して報道すれば、日本の有形文化遺産として彫辰の技術が残せるかも知れませんね。『国際特命捜査班』の方は継続と言う事でなら、現公安委員長の城島も快諾するでしょう」

おいおい…♭♭大臣レベルで決まって行く彫辰の有形文化遺産案件に、潤は顔をひきつらせて苦笑いを浮かべた。「体提供すんの俺だぜ〜♭♭」「結構な事じゃないか♪お前の体なんか他に何の役に立つ?親がいいと言っとるんだから取り敢えず前向きに考えておけ潤♪」

マジかよ…♭♭もしこの話が本決まりになる様なら、潤には彫辰に絶対に守って欲しい条件があった。智の白粉彫りと一対にする事…。智の左脇腹にある龍の姿と寸分違わぬ大きさ、デザインで、左右対称になる紅龍の刺青であれば承諾してもいいと…。

彫辰の話を聞いて、潤なりに刺青の事を調べてみたが、龍には対のドラゴン、所謂『双龍』と言う物があり、この双龍には陰と陽の意味があるらしい。この2つが合わさるとパワーが倍増し、勝負運、幸運力が増すと言われているそうだ。

刺青の世界では幻の技巧と言われ、それを体現出来る者は世界中誰も存在しないと言う、ほぼ都市伝説の様な白粉彫りと雪華彫り…。もし潤が彫辰の申し出を受け、雪華彫りを身に纏うのであれば、それは世界中で潤と智だけが持つ唯一無二の双龍の刺青となる筈である。

だが名人彫辰が例え白粉彫りとは言え、無名の刺青師が彫った作品とそっくり同じものをと、要求されて分かりましたと承諾する訳がないのだ。だが、智の刺青と同じでないなら例え貴重な彫辰の刺青とは言え、潤にその申し出を受ける気持ちはさらさらない。

だから彫辰が智のショーを鑑賞し、その目で智の白粉彫りを見てどんな反応を示すのかが潤に取っては何より需要だった。例えそれが名人ならではの適切な意見であろうとも、もし彫辰が智の白粉彫りを貶すのであれば、断固拒否するつもりである。

店内も櫓に見立てられた柱が建てられて、提灯が飾られたり、錦絵や役者絵の浮世絵風の壁紙が貼られたりと、すっかり和のイメージでデコレーションされており、PARADOX全体がまるで夏祭りの会場の様な雰囲気になっていた。浴衣姿の美しいコンパニオン達が各テーブルにオードブルやドリンクを運び、いよいよショーの開幕である。

**

いつもはシャンソンを歌っているシャンソンシンガーが『蝶々夫人』のオペラを熱唱したり、津軽三味線や尺八等のショーがあったりと、『PARADOX』のショーはいつもながらにバラエティーに富み、豪華絢爛だった。

特等席でステージを眺める彫辰も、初めて体験するであろう歌やダンスのショーを、大層楽しげに眺めている。そんな中始まったのが、オーナーSatoshiのメインステージだ。

潤は何度かこのパフォーマンスを観ているが、それでもSatoshiのステージは圧巻で、回を重ねる毎にそのクオリティは更新されて行くのである。勿論今夜のオンステージも最高だった。

和楽器のバンドをバックに、アレンジされたクラシック音楽に乗って登場したSatoshiは、和風姿で顔に薄化粧を施し、白銀の蓬髪のウィッグを付けて、日本舞踊とジャズダンスを掛け合わせた様な振り付けでステージを舞っていた。

文字通り “舞” っているのだ。まるで風に舞う羽毛の様に…。舞い散る花弁の様に…。柔らかに、しなやかに舞っているのである。蓬髪のウィッグに合わせた白銀の着物も、Satoshiの動きに合わせて翻り、それは実に優美な様子であった。

だが、潤はこの “舞い” がショーのほんの “掴み” で、これからがSatoshiの真骨頂だと良く知っている。バックのクラシック音楽は三味線や尺八、琴や横笛がその演奏の激しさを徐々に増して行き、やがて和楽器アレンジされたロックナンバーへと変化した時、ステージが暗転した。

ドン!ドドン!ドン!ドドン!勇壮な和太鼓がリズムを刻み始める。次の瞬間、スポットライトがステージを照らし出した時、Satoshiは早着替えでウィッグと着物を脱ぎ捨て、白いローライズのスリムパンツと、和柄の入った鮮やかなブルーの羽織りを素肌に纏っただけの姿になっていた。

装置されたヘッドマイクからSatoshiの甘い歌声が響く。和楽器アレンジされたロックナンバーを歌いながら、Satoshiのダンスは優雅な “舞い” から武術の型を取り入れた、よりスピーディでダンサブルな物へと変わって行った。

高速の足さばきにステップ、ターン。だが、どんなに素早く動こうが、1ミリたりともブレない体幹は、指先まで伸びやかな美しい形を保ち続けているのだ。ふわりと裳裾を広げるブルーの薄い羽織から、Satoshiのしなやかに括れた脇腹が露わになる。

始めは滑らかな普通の肌だったのが、やがて左脇腹に艶やかな紅龍が魔法の様に浮かび上がって来て、Satoshiの肌を華やかに彩ってゆく。桃花、薄紅、紅梅、紅赤、真紅…。あらゆる種類の紅が、まるで刺青の龍に命を宿して行く様にSatoshiの皮膚に躍動していた。

それを見た特等席の彫辰が身を乗り出し、両手を合わせて拝む様な仕草をしながら滂沱の涙を流している。感動しているのだ。

吹き鳴らす尺八とドドン!と言う和太鼓の音でパフォーマンスを終えたSatoshiは綺麗な所作で紳士的な挨拶をしてから観客の拍手に応えると、真っ先に彫辰の席に歩み寄り、「さぁ彫辰さん。消えてしまう前にどうぞ」と、羽織をめくって左脇腹を見せた。

Satoshiは素晴らしいパフォーマーだが、最強の秘密工作員でもあるので、息を切らす事が殆どなく、白粉彫りは直ぐに皮膚の下に消えてしまうからだ。ものの数秒で薄くなっていくSatoshiの刺青を、感涙しながらじっと見つめていた彫辰は、「…良いものを見せて頂きました…」と、声を震わせ、深々と頭を下げた。

「じゃが何と口惜しい…。確かこの刺青師は僅か20歳そこそこで亡くなってしもうたそうじゃの…。もし生きておったらわしの技術を全てその松岡殿に授けたかった…」

松岡を惜しんで男泣きする彫辰に、Satoshiは「そのお言葉を頂けただけで嬉しいです。きっと彼も天国で感激して泣いているでしょう…。彫辰さん、ありがとうございました…」と一礼して穏やかに微笑んだ。

「相変わらず智君のパフォーマンスは素晴らしいねぇ…」溜め息をついて感心する長谷川恭一郎と「やはり見事だ…。あれほど才能のある可憐な青年がなんだってウチの潤なんかに惚れるかねぇ…」と息子をディスる松本元刑事局長に、潤は少し誇らしい気持ちで、Satoshiと彫辰のやり取りを見つめていた。

♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️♣️

あ”〜惜しかったぁ〜タラー昨夜ギリ潤君ハピバ時間内に書き終える予定でしたのに、最近毎日の様に起こるアメブロの不具合でいきなり急停止し、Satoshiのパフォーマンスが始まった辺りからの文章が全部消えてしまいましたガーン

それでも夜の間に書き直せば、遅れは少しで済むと思い、午前3時まで頑張って再び書き直したんですが、また急停止ゲッソリタラーさすがに心が折れましたわ〜チーンガーン

なので目覚めて直ぐに書き始め、私事の間を縫って少しづつ書き進めまして、3度目にしてやっと後編終了致しました〜アセアセ(はー疲れたタラータラー_ノ乙(、ン、)_

何せ似たような文章は書けても同じ文章は書けませんので、途中で止まるのは本当に勘弁して頂きたい所でございますがタラーせめて1度目より2度目、2度目より3度目が1番良く書けていると思いたいですねぇ照れ

とは言え、結局後編で終われませんでしたので(そこなパンチ!タラー)あと1話完結編としてまとめたいと思っております(😅)ゞ

次回は雪華彫りと言う特殊な刺青のちょっと色っぽい秘密なども交えつつ、お送りして行きますので後1話お付き合い頂けましたら嬉しいですo(_ _*)o