これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し

♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️

第一章『エレガント・テティス』

1

神奈川県警の麻薬取締官、高橋刑事の遺体が横浜湾岸倉庫の波打ち際で発見されてから1ヶ月。犯人と思しき外国人労働者の本格的な取り調べが開始された。男の名前はウェズリー・ロペス。メキシコから渡航した貨物船の船員で、男は高橋刑事殺害は認めたものの、その動機については単に金が欲しかったからだと証言した。

だが、高橋刑事の遺体が発見された湾岸倉庫の埠頭付近には高橋刑事の血痕は残されておらず、恐らくロペスは何処か別の場所で高橋刑事を殺害し、あの波打ち際に遺棄したものと思われたが、犯行現場に関する事についてロペスは全く覚えていないと言い張るばかりで、ちっとも要領を得なかったのである。

結局ウェズリー・ロペスは高橋刑事強盗殺人容疑で逮捕、送検されたが、最後まで犯行現場については口を開かないままであった。

「そうか、やはりウェズリー・ロペスは殺害場所を喋らなかったか…」電話を切り、小さく溜め息をついた『真相報道Weekly』の編集長、東山は、自分のデスクで調査内容のファイルを作製する二宮に向かって「今神奈川県警の管理官から話を聞いたが、どうやらニノの予想通りだったらしい」と声を掛けた。

東山編集長は元警視庁捜査一課の敏腕刑事だった伝説の男で、彼に憧れている警察関係者も多く、今でもこんな風に捜査の進展を話してくれる警察幹部が存在するのだ。無論それは『真相報道Weekly』がいつも正しい報道をすると言う信頼あっての賜物である。二宮は愛用のノートパソコンに調査ファイルを保存しながら「だろうね」と頷き、東山に向き直った。

「俺のパソコンを狙って襲って来たのも強盗目的だって証言したらしいですし、多分奴は吐かないですよ。おおかた犯行現場を喋ると不味い事でもあるんでしょう。それに、例えムショにいれられても美味しい何かがあるんだと思いますよ。

何せ外交官のマルティネス・ケンドリッジはアメリカの移民局で働いていた男ですからねぇ。例えばロペスの家族をアメリカに特別入国させるとか?そんなご褒美でも目の前にぶら下げたんじゃないですか?今はメキシコ移民がアメリカに居住するの難しいですしね」二宮はそんな推測をしてノートパソコンをパタンと閉じた。

二宮のそれまでの調査で分かった事。それは最近関東一園に蔓延している『ミックス・チャイナ』なる危険ドラッグの密売ルートにベネズエラ大使館で勤務する大使秘書官のマルティネス・ケンドリッジが関わっているらしいと言う事である。高橋刑事が最後に追っていたのがその『ミックス・チャイナ』だった。

高橋刑事は長年培ったマトリのデカの直感で『ミックス・チャイナ』とマルティネス・ケンドリッジの関わりに辿り着きそうになったが為に消されたのだと二宮はそう睨んでいる。だが未だ未だ証拠が足りない。

何せ相手は外交官だ。外交官には国際法に基づいた外交官特権なる厄介な制度があり、基本的に日本の警察関係者は介入出来ないのである。(ニノみぃ~お誕生日企画『20825日目の曲~老いた猟犬に捧ぐ鎮魂歌~』参照)

だから高橋刑事はジャーナリストの二宮に証拠の写真を託したのだ。マルティネスとその婚約者ドミニカの写真。そして外交官ナンバーの付いたリムジンの写真。そして大型の船の写真…。高橋刑事に託されたそれらの証拠を活かす為にも二宮はこの事件をリタイヤする訳には行かないのである。

「そう言えば…。今年の初めに警察庁公安委員長に新しく就任した城島君はなかなかのやり手だぞ。俺がサンフランシスコ市警で研修していた時にFBIのアカデミーに出向していた男なんだが、どうやら何か斬新なアイデアを考えているらしい。

俺のツテを持ってしても詳細は全く見えて来ないんだが…。彼の事だからもう動き始めているかも知れない。もしかしたら大ちゃんと松本元刑事局長のジュニアが関わっていたりしてな。ほらニノもずっと言っていたろ?何かあるって…」

東山編集長の言葉に、二宮は「へぇ~♪」とほくそ笑み、六本木の本格キャバレー『PARADOX』のオーナー兼花形パフォーマーのSatoshiこと、大野Sammy智とその恋人松本潤のBoysLoveカップルに思いを馳せた。

「何ぁ~んか面白い事になりそうですねぇ~…♪編集長…♪」俄然やる気を漲らせる二宮に、東山は「案外彼らに張り付いていた方がマルティネス・ケンドリッジへの近道になるかもな」と小粋に微笑んだ。

**

横浜湾岸倉庫。日雇いの労働者として数日前からここに勤務している潤は、海外から入港した貨物をコンテナに運び入れながら、周囲の会話に注意深く神経を研ぎ澄ませていた。東山の推測した通り、新しく就任した公安委員長の城島は既に動きを開始している。

潤と智、たった2人だけで活動する公安部の極秘組織『国際特命捜査班』は、城島委員長の勅命の元、『ミックス・チャイナ』の密売組織撲滅に向けて極秘裏に捜査を進めていたのだ。

「またえらくカッコいいアンちゃんが入ったなぁ~♪」貨物を積んだ台車を押し運ぶ潤に向かって周囲の日雇いバイト達が羨望の眼差しを向ける。智と訓練を始めてからもう1年以上が経過し、潤の肉体は鍛え抜かれた戦闘員のそれへと確実に変化していた。

汗の滲んだTシャツの背中はガッチリと広くなり、良く締まった腰に続いて美しい逆三角形を描き、見事な細マッチョ振りを見せつけている。加えて日本人離れしたその彫りの深い白面の美貌は、襟足を少し隠す外ハネパーマの髪も良く似合い、レベチな男前オーラを漂わせていた。

この湾岸倉庫は外国の貨物船が停泊する事も多く、外国人労働者も大勢働いているからか、潤を外国人だと勘違いする日雇いバイトもいて、彼を遠巻きに眺めては「何人?何人?」とコソコソと囁き合ったり、「ハローハロー♪」と声を掛けて来たりする。その度に「いや、日本人だから♭」と苦笑するのが潤の最近の定番になっていた。

「ーーーーーーおい聞いたか?5069番コンテナの中で血溜まりが見つかったって話。ほら、5069番コンテナってセレブ御用達の貨物コンテナだったろ?だからちょっとした騒ぎになったらしいんだけど、結局そこを担当していた外国人労働者が入って来た野良犬を殺しただけだったみてぇだぜ。ったく人騒がせだよなぁ~。

っつーかさ、例え野良だったとしても犬なんか殺すなって俺は言いたいねぇ~。外国人船員とか、血の気の多い連中が港にゃ結構入って来るけど、外国だって動物愛護団体がいっぱいあんのに野良犬殺して違法になんないのかね?俺ん家も雑種のチビを飼ってるから何か腹立っちまってなぁ~」

他の日雇いバイトと共に昼食の立ち食いそば屋に赴いた潤は、労働主任からそんな話を聞かされて思わず顔を上げた。「主任、そのコンテナがセレブ御用達と言うのはどうして分かるんです?」「そりゃあ分かるさ。お前は新人だから知らないだろうけど、あの5069番はほら、『エレガント・テティス』号の…なぁ?」

労働主任は他の日雇いバイトに向かって問い掛けると、他のバイト達の「そうそう」と頷く様子を見て話を続けた。「あれって2ヶ月位前だったっけ?『海上のラスベガス』とか言われてたド派手な客船が来たんだよなぁ~。何かすげぇやつ。

ロサンゼルスから南米経由でオーストラリア、アジア、最後にヨーロッパ方面へと航行する予定とか何とか県知事が言ってたよな?日本は丁度中間地点に当たるとかで燃料やら料理材料の調達やなんかで5日位停泊してたんだけど、乗船客の荷物が滅茶苦茶多くって大変だったんだよな~。

乗船客が買い物した骨董品だとか、すげぇ~高価な貨物ばっかあって、それにほら、来日したスーパーモデルがファッションショーの衣装とか5069番コンテナに持ち込んで来たりしてな。あん時さぁ、どっかの大使館からお偉い外国人がやって来て一悶着あったろ?」

その時丁度5069番コンテナの作業を手伝ったらしい日雇いバイトの1人が、労働主任の話を受けて「あったあった♭」と嫌そうに頷いた。

「あれ可哀想だったんだよなぁ~♭入ったばっかの学生バイト君がスーパーモデルが持ち込んだ荷物うっかり落としちゃってさ~♭木製のハンガーが沢山入ってたんだけど、その偉い外国人に滅茶苦茶怒られて、その場でソッコークビになったんだぜ♭

どうもあのスーパーモデルがその偉い外国人の彼女か何かだったらしくて、運が悪かったんだとは思うんだけどさ~♭でもただのハンガーだぜ?何もあんな怒んなくてもいいのにって皆んな思ってたよ♭それ以来5069番コンテナの担当はバイト代高くてもちょっと敬遠してんだよね~♭」

「へぇーそれは大変でしたねぇ」潤は何気ない風に答えたが、胸の中では小さくガッツポーズを握っていた。こんな話が聞きたかったのである。2ヶ月位前なら時期もピッタリだ。豪華客船、スーパーモデル、大使館。ほぼ間違いない。その『エレガント・テティス』なる豪華客船こそ目的の船であろう。

高橋刑事の追悼を『PARADOX』で行ったあの時、潤と智は二宮からとある情報を聞き込んでいた。亡くなる前に高橋刑事が見慣れない大きな船の写真を撮影していたと言うのだ。初めは貨物船だと思ったがどうやらそれは豪華客船の間違いだったんじゃないかと…。

そこで潤はこの横浜港に停泊していた豪華客船の情報を得る為にここで働いていたのである。労働主任が言った5069番コンテナの血溜まりの話…。野良犬なんかじゃない、恐らくそこが高橋刑事が殺害された犯行現場なのだ。

高橋刑事は地道な聞き込みでその5069番コンテナに辿り着き、きっと『ミックス・チャイナ』に関係する何かを発見したに違いない。逮捕されたウェズリー・ロペスは外交官マルティネス・ケンドリッジが手配した売人だ。

潤はそう推測して「そんなすごい豪華客船って一度見てみたいっすねぇ~。また港に来ますかね?」と、労働主任に聞いた。「そうさなぁ~全行程で大体4ヶ月位だって話だったから来週辺りにゃ帰りの船が着くかもな。もし5069番コンテナの担当にされたら注意しろよ。あのお偉いさんうるせぇから」

労働主任はそう言って潤を心配してくれたが、潤のバイト期間は今週いっぱいである。もし情報が得られなければ延長も考えたが、どうやらその必要は無さそうだ。潤がそう言うと労働主任は「今週いっぱいかよ?♭」と、実に残念そうに呟いたのだった。

♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️♠️

大変お待たせ致しました~アセアセ少し体調を崩してしまい、暫く療養しておりましたので、なかなか新作に着手出来ないでおりましたえーん昨日辺りからだいぶ快復して来ましたのでやっとこさ新作『CONFUSION』を始めましたアセアセご心配をお掛け致しましてどうもすみませんでした~🙏💦

第1話は智君を登場させられなかったんですがタラーニノみぃ~お誕生日企画のプロローグから続く形で、高橋刑事殺害事件で残されていた謎の部分(犯行現場や豪華客船の名前、逮捕された外国人労働者のその後等諸々)をちこっと回収させて頂きましたグッウインク

湾岸倉庫で潜入捜査を行う潤君のシーンからいよいよ本格的に物語開始でございますウインク今回も最後までどうぞ宜しくお願い致します🙇‍♀️