これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し

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ペコペコと頭を下げながら、住良木行弥が回収班に連れ去られて行く。羽山の仲間達はワゴン車の後部にある鍵付きの檻の中に乱暴に放り込まれているが、住良木はワゴン車の座席に座らされ、SWATチームみたいな黒服の回収班メンバー達の中で小さくなっていた。

その対応の違いに、住良木の司法取引はしっかりと成立している事が伺える。住良木も魂串同様、更生施設『パナシア・ジャパン』に送致される事になるだろうが、魂串に比べると比較的楽な部所で、更生に向けてのボランティア活動を行う運びとなるだろう。

「羽山の仲間の外国人犯罪者達は日本への入国禁止と国に強制送還なのか?」MJの質問にチーフが答える。「ただの強制送還じゃない。これまで日本でやって来た悪行に対して本国で裁かれる事になるだろう。

罪状はその国によって異なるだろうが、もし日本で殺人などの重い罪を犯していればこっちで裁かれるよりも重罪扱いになるかも知れない。まぁ、何にせよもう二度と日本の土を踏む事は出来なくなるさ」

「それにしても忙しい日だったねぇ〜♪本部に戻ったら一緒にスイーツ食べようね♪」運転席のアイバチャンが最後尾の席でMJにもたれ、ウトウトしかけるオーチャンに言う。「うん食べよ♪アイバチャ…」半ば寝惚けつつ答えるオーチャンにニノがすかさず「あ”ー大野さんもう駄目だ♪召されかけてる♪」と笑った。

「ところでチーフ、回収班とは別に羽山ダニエル剣吾を連行してった『Diver(ダイバー)』って何者なんだ?奴もJMIなのか?」MJがオーチャンの頭を優しくパフパフしながら、昏倒する羽山ダニエル剣吾の身柄を連行して行った人物について問う。

スーツもシャツもネクタイも全て真っ黒で統一し、サングラスを掛けたその無表情な人物は、自身を『ダイバー』だと名乗り、乗り付けて来た霊柩車の棺桶の中に、気絶する羽山ダニエル剣吾を入れると、蓋をしてそのまま走り去って行った。

回収班と同時にチーフが手配した人物だったのだろうが、『FIVE STORM』のメンバー達も初めて見た回収担当者だったので、いつもの回収班とどう違うのか気になったのである。JMIには未だ未だ『FIVE STORM』のメンバー達にも把握しきれていない謎がある。

「いや、俺も良く知らないんだがな、『ダイバー』ってのはJMIでも特殊な部所に所属している連中らしい。ダイバーって呼び名の通り、『潜る人』つまり潜入専門の捜査官…と言うか見張り番だ。社会のアンダーグラウンドで生きている闇の住人だよ。ダイバーになれるのは失う物が何も無い天涯孤独な人物だけだと言われている。

現代社会には悲しいかなあらゆる所に無法地帯の様な場所や状況が存在するだろう?ダイバー達はそんな場所に潜り込んでじっと息を潜め、そこにある黒い物が表に出て来ない様に見張っているんだ。

俺達が根絶しようとしている犯罪ってのは黒い物が表面化した時にそう呼ばれる様になる訳で、表面化しない内はつい見過ごされてしまいがちだ。今回の羽山ダニエル剣吾がいい例じゃないか?

力のある親だったり、教育現場と言うひとつの閉鎖的な組織だったり、そんな連中が挙って臭い物に蓋をしてしまったから、前途ある教育者達の死に隠れた羽山の凶悪犯罪が、表面化せずに今の今まで見過ごされてしまったんだ。

ダイバー達はそんな社会の最も暗く深い場所から犯罪の温床になりそうなあらゆる事どもを見張り、もし黒い物を見つけたらそれが拡がらない様、独自のやり方で速やかに除去を行う。

羽山ダニエル剣吾が犯した犯罪は、過去も今回も法的には重罪に問うことが出来ない。JMIチームの班長として、羽山ダニエル剣吾を裁くとすれば法に照らしてぬるくせざるを得ないんだ。

教師達の死も羽山が直接手を下した訳ではなく、そうなる様に誘導したに過ぎないし、今回の1件もテロを計画しただけで未遂に終わっているからだ。

だがあのクズのやらかした事を更生施設送り程度で済ませられるか?だから俺はあえてダイバーを呼んだ。ダイバーなら羽山ダニエル剣吾の放つ黒い物にふさわしい除去のやり方を選択してくれるだろう」

チーフの説明に付け加えたのはタブレット端末でゲームをしているニノだ。「さっきのダイバーはヒデ坊だよ。俺のネット友達。ゲームで言ったら孤高の黒戦士ってトコだね。

元々凄腕の公安警察だったんだけど、奥さんが凶悪犯に殺されちゃってから自らアンダーゾーンに沈んでダイバーになったんだって。今ウエストゲートタウンの『メゾン・ド・シャトー』ってマンションの地下で、大家を兼ねて『地下茎』ってバーのマスターやってる」

ニノはククククと含み笑って「明日はきっとSNSがバズりまくるよ〜♪」と言った。「ウエストゲートタウンの『メゾン・ド・シャトー』?♭お前、それって例の『地獄穴』じゃね?♭」MJが驚き、「あんなトコに住んでんのかよ?♭」と呆れた。

「そ、ショウ隊長の言う無法地帯だね♪でも大丈夫。ヒデ坊はハードゲイじゃないし、そんなのにヤラれたりもしない。ある意味『地獄穴』の中でヒデ坊の『地下茎』だけが唯一の安全地帯って感じかねぇ〜。行った事ないけど♪」

ピコピコと画面を鳴らしつつサラッと言うニノにアイバチャンが「まさに地獄だねぇ〜♭」とさも気の毒そうに呟いた。「成る程♭『組織犯罪対策課』があそこをマークし始めたのはそのヒデ坊とやらの情報か?♭道理でダイバーを呼んだ時、即座に彼に繋がった筈だ♭」

チーフは納得して「インドア派の癖に色んな交友関係があるんだなぁ〜♭」とニノに言った。こうして『バイオアバター』による羽山、魂串、住良木のテロ計画は『インターナショナル・インテリジェンス・ミーティング』が開催される前に未然に防ぐ事が出来たのであった。

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翌日。ウエストゲートタウンの手前にあるラブホテル『レインボーパール』の前には、早朝から黒山の人集りが出来ていた。そこにはこのラブホテルのシンボルでもある、中にパールが入ったアコヤガイの大型オブジェが置いてあるのだが、そのオブジェの中で羽山ダニエル剣吾が爆睡していたのである。

裸の上半身に毛皮のコートを纏い、その胸元には横書きで “下衆” と言う文字が刺青されている。パツパツの革パンツに黒ブーツ。パールの部分を両足で挟む様な格好で 股 を開き、革パンツのチャックは半ば開いていて、何ともだらしない風体だった。顔の腫れも綺麗に引いていたので、見た目にはウエストゲートタウンで危ない遊びを楽しみ、泥酔している様に見える。

しかも爆睡する羽山ダニエル剣吾の足元には、まるで見てくれと言わんばかりの状態でノートパソコンが両面テープで貼り付けてあり、そこにはいかにもハードゲイめいた黒人男を左右に従え、大声で楽しげにはしゃいでいる羽山ダニエル剣吾の映像が映し出されていた。

「「やっぱさ〜!何てったって楽しいのは人の命を弄ぶ事だよな〜!何か神様にでもなったみたいな気になってテンション上がるんだって!世の中どいつもこいつも馬鹿ばっか!俺がちょっと背中を押してやれば簡単に死にやがる!

俺はほら、中学校の頃から天才だったからさ〜!周りの生徒も先生もみんな間抜けに見える訳よ!教師共なんて頭の出来は俺の足元にも及ばない癖に偉そうに説教垂れやがる!そんな奴トーゼン消すでしょ?!

5人だぜ5人!中学で2人、高校で3人!センコーみーんなこの世から消してやったよ!まさかこの俺が証拠なんか残す訳ねぇじゃん!事故と自殺!表向きはな!そう言う風に誘導してんだから分かりゃしねぇのよ!警察なんてそんなもんだって!

ま、俺の場合は所謂上級国民ってやつで、もしヤバくなったとしても元外務大臣の親父がしっかり隠蔽してくれるし、何も問題ないけどな!でも今回はちょっとしくじったぜ!折角『インターナショナル・インテリジェンス・ミーティング』を襲撃して革命起こしてやろうと思ってたのに仲間が裏切るからよ〜!

やる前にバレちまったから今から南米辺りにでも逃げようと思ってな!ほとぼりが覚めるまで日本には帰らない予定だから、旅立ちの前に楽しく遊びまくろうって訳よ!」」映像はここで切れ、もう一度初めからリピート再生し始める。

画面には『若様ご乱行!深夜のゲイ能活動!』だの『これが羽山ダニエル剣吾のイカれた本性だ!!』だのと文字が流れ、学生時代の悪行を示した刑部の証拠ファイルだったり、武器商人達とやり取りした契約書の写しだったりが、羽山ダニエル剣吾の酔っ払い自白映像に被さる様に映し出されて、これが真実だと証明していた。

野次馬達はみんなそれぞれスマホを手にし、この羽山ダニエル剣吾の醜態を撮影してはSNSにアップしている。羽山を着替えさせたのも、自白映像を撮影したのも、恐らくはダイバーの仕業であろう。

一体どんなやり方で自白をさせたのか、ともあれ、羽山ダニエル剣吾はこれで完全に社会から抹殺され、文字通りの生き地獄を味わって行く事になる。かつて羽山がそうした様にこれからは羽山自身が誹謗中傷の的になり、彼の未来は汚辱にまみれるであろう。

自白映像では父親の羽山元外務大臣が何かあっても隠蔽してくれると、息子の羽山自身がはっきりと明言しているのだ。もはやどんな言い訳も忖度も通用しない。例え法的には重罪になり得なくても、羽山父子にはもう上級国民などと言う御託を吐く事は出来ないのである。完全にジ・エンドだ。

それが証拠にこの通りからひとつ離れた大通りでは、大型ショッピングセンターのどデカい電光掲示板に、朝のワイドショーが世間を騒がせた『鬼神同盟』事件に絡めて、件(くだん)の刑部ファイルが大々的に取り上げられており、SNSに挙げられた羽山の様子を急遽発信していた。

そろそろ警察とマスコミがこぞってここに到着する。近づいて来るパトカーの音を聞き、そっとこの場から立ち去って行ったのは普通のスーツに眼鏡を掛けた、少し冷たい風貌の二枚目だ。彼は完璧なまでに大衆に溶け込み、ごく自然な様子でスマホと会話していた。「カズ。終わったよ」と…。

「今ワイドショーとパソコンを同時に観てるよ〜♪すごいじゃんヒデ坊、どうやって自白させたの?♪」「…催眠術…。得意でね…。あんな傲慢な奴は割と簡単にペラペラと吐く…。聞くところによると羽山庸三の奥方が離婚を決めたそうだ。

元ハリウッド女優だからかなり高い慰謝料になるだろう。羽山庸三は財産の殆どを奥方に持って行かれる筈だ。愚かな息子のせいで随分高い代償を支払う事になったな…。俺はそろそろ地下に潜るよカズ。櫻井班長にも宜しくと伝えて置いてくれ。またゲームの中で会おう」

通話を切ったヒデ坊、通称『ダイバー』は口元で薄く微笑い、自分の根城であるウエストゲートタウンの地下へと戻って行った。驚く事に、これほどの雑踏の中に於いても、彼の存在に気付いた者はおろか、道路にあるどんな防犯カメラにも彼の姿は捉えられていなかったのである。

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ここに来て新キャラ “ダイバー” が登場ですウインク割とカッコいい役なのでどなたに振ろうかと思っていたのですが、直前に『ニノさん』を観たものでアセアセニノみぃ〜の友達である西島さんに務めて頂く事に致しました〜ウシシ←(単純過ぎる思考タラー)

西島さんはちょっと前の連ドラ『MOZU』のイメージでやらせて頂いておりますてへぺろゞ次回はクマオ君くまのその後にスポットを当てて書いて行きたいと思ってますのでもう暫くのお付き合いおば宜しくお願い致しますパーウインク