これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き、勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し


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漆黒のワゴン車が『サイバードーム』研究所から静かに走り出して行く。JMIお馴染みの回収班が魂串を捕縛したのだ。これから魂串は警察病院の別棟であるJMI御用達の病棟で傷の治療を施され、独自の制裁を受けるだろう。裁決するチーフは「今回は危険思想の持ち主って事だから施設行きかなぁ〜」などと小さく呟いた。


「それ軽くね?」コンピューターブースの、メインコンピューターを操るニノの作業を後ろから覗き込みながら、MJが物申す。


「まあ今回の場合は未遂だからねぇ〜。被害者が出る前だったからしょうがないんじゃね?でもさ、更生施設って言ったってチーフの言ってんは『Panacea Japan〜パナシアジャパン〜』の事でしょ?」キーボードに両手を走らせつつニノが言った。


「『Panacea Japan』?そう言えばパ…いや♭芹沢警視総監から聞いた事ある。何でもJMI捜査官が捕縛した犯罪者の中で比較的罪状の軽い人が行かされる更生施設なんだって。テロの画策や、具体的な準備をしたりして、民間人を脅かす様な不穏な動きを行った犯罪者に適用されるらしいよ。


危険思想の持ち主だと断定された犯罪者に、徹底した社会適応プログラムを受けさせて、健全な精神に戻るまで再教育される施設なんだって。で、反省の色が見えるようになったら、朝から晩まで社会奉仕活動をやらされる。


犯した犯罪によって奉仕活動の内容は違うらしいけど、例えば国の認可を受ける前の新薬の治験をやらされたりとか、災害の被害を受けた土地なんかでボランティア活動をやらされたりとか、下手な刑務所よりも厳しいんだってさ」


オーチャンの説明にMJとアイバチャンが「へぇ〜」と感嘆の声をあげる。チーフがニコニコ笑顔で頷き、「さすがはオーチャン♪組織の事も良く勉強しているねぇ♪」と、手放しで褒めちぎった。


「この『Panacea Japan』の“パナシア”は“万能薬”と言う意味でね、保釈後は足首にマイクロチップを埋め込まれ、そいつが死ぬまで管理される。少しでもおかしな動きをしたら施設に逆戻りだ。その代わりちゃんと更生が出来ていたらまともな社会活動が出来る様に国がしっかりとサポートしてくれる。


ま、俺の知る限り、施設に逆戻りした元犯罪者は今の所1人も居ないけどね。それだけ『Panacea Japan』の社会適応プログラムが良く出来ているって事だ。どんな内容なのか詳しくは俺も知らないが、テロを画策する様な危険思想の持ち主なんかにはかなり効果があるらしい」


チーフが『Panacea Japan』なる更生施設についての詳細を話している間に、ニノが操るコンピューターの画面には、魂串が保存した無数のファイルが現れた。「ほら出たよ〜♪魂串の事だから仲間に裏切られた時の保険にしっかりと証拠を残してる筈ってチーフの勘ビンゴだねぇ〜♪」


魂串幻樹は羽山ダニエル剣吾や住良木行弥とのやり取りを、音声ファイルや映像ファイルにして全部保存してあった。他にも住良木が海外の武器商人達と取り引きをした契約書のコピーやら、メールでのやり取り等、ありとあらゆる悪事の証拠がこのコンピューターには詰まっている。


ニノは、それらの証拠ファイルを全てUSBにコピーすると、バイオアバターに関する資料の全てをメインコンピューターから消去し、二度と復元出来ない様に細工した。これでこの研究所で極秘に行われていた禁断のクローン研究についての一切合切はこの世から消え去ったのである。


「ハイよ♪一丁上がり〜♪」ニノはUSBメモリーを指先でつまんでメンバー達に示し、「後はこの証拠を上手く編集して最後の仕上げと参りましょ♪」と、悪戯気なウインクをした。


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その日の夜。『住良木電脳化学FACTORY』社長、住良木行弥は自分が取り引きした筈の中国企業『黄金創機有限公司』のホームページがネット上から消滅していたのを見てパニックに陥っていた。


それどころか、仮契約を交わした他の武器商人達や軍事関係者からもここ数日の間に全てキャンセルの連絡が入り、音信不通になってしまったのである。一体何が起こっているのか…♭


魂串に連絡をつけようと『サイバードーム』に電話をするも、聞こえるのは〖この番号は現在使われておりません〗と言う機械的なメッセージばかり、羽山ダニエル剣吾に至っては住良木との繋がりを他人に知られたくないのか、そもそも応答しないのだ。


思い返してみれば春麗が会社を訪ねて来てからと言うもの、住良木の周囲ではおかしな事が続いている。愛人の加美山さくらはあの翌日に退職願いを提出し、さっさと会社を辞めてしまったし、連絡もつかなくなった。


さくらの退職をきっかけに、他の女子社員も数人退職し、最近では女子社員だけじゃなく、若い男性社員も退職の希望を申請して来るようになった。怪しいので調べてみたら、『住良木電脳化学FACTORY』を退職した女子社員達は同じ系列のもっと大手のIT企業に就職が決まり、その企業が立ち上げた新事業の社員として元気にやっているらしい。


どうやら誰かの紹介があったそうだが、それが誰なのかは誰も知らなかった。明日には『インターナショナル・インテリジェンス・ミーティング』が開催されると言うのに、ここに来て魂串と連絡が取れないなど、何か不測の事態が起こったのだとしか思えなかった。


そんな住良木行弥のオフィスに電話を掛けて来たのは羽山ダニエル剣吾である。向こうからコンタクトをして来るなど、今までにない事だった。「おい住良木♭どうやら魂串が裏切りやがったみたいだぜ♭昼頃には話したが、夜になってから全く連絡がつかなくなっちまった♭」


羽山の声は明らかに慌てていた。だが今回の一件に一番乗り気だったのは魂串幻樹である。自慢のバイオアバター達を世界中にお披露目出来る絶好のチャンスだと喜んでいたのだ。連絡がつかないからと裏切りだと決めつけるのは如何なものか。


住良木がそう言うと、羽山ダニエル剣吾は思いっ切り侮蔑を含んだ声音で「はぁ?お前仮にもIT企業の社長だろうが?♭SNS見てないのか?♭」とあからさまに小馬鹿にした。本当に腹立たしい男である。役に立ちそうだと思って仲間に引き入れたはいいが、羽山は住良木の事をオタクだと思って初めから馬鹿にしていた雰囲気があった。


とは言え、羽山ダニエル剣吾の言い草は大いに気になる。住良木はオフィスに何台もある最新型のパソコンのひとつを立ち上げると、あらゆるSNS媒体を確認した。「こ、これは…♭♭」そこには住良木が武器商人達と契約を交わした契約書のコピー画像だとか、住良木が海外の武器商人達と会話している音声ファイル。


羽山との密談映像やら金銭の受け渡しに至るまで、ありとあらゆる悪事の証拠が溢れかえっていた。しかもバイオアバターに関する部分については編集されており、恰も住良木行弥が羽山ダニエル剣吾と怪しげな計画を立て、明日の『インターナショナル・インテリジェンスミーティング』を襲撃しようと計画している様に感じられる。


「これじゃあ羽山さんと私が海外の武器商人と武器の取り引きを行い、テロを画策しているように見えるじゃないですか?!♭魂串は自分やバイオアバターに関する部分だけを編集して私達に罪を擦り付けるつもりなのか?!♭」住良木は慌てて発信元を辿り、それが『サイバードーム』から拡散されていた事を知った。


「だから言ったろう?♭魂串が裏切ったって!♭恐らく魂串の野郎、バイオアバターで個人的に取り引きをして儲けを独り占めしようってハラに違いない♭見てみろよ住良木!♭この契約書のコピー画像にお前がご執心の中国企業の名前があるか?!♭ホームページも消えてたぜ!♭これがどう言う事だか分かるだろう?!♭


魂串は俺とお前からバイオアバターが100億以上で売れると聞いて俺達に分け前を寄越すのが嫌になったんだ!♭だからあの野郎、その中国企業と個人的に取り引きしやがったのさ!♭足がつかないよう、中国企業と自分の名前とバイオアバターに関する事を消したのもその為だ!♭俺達はな、魂串に裏切られたんだよ!♭」


羽山ダニエル剣吾の言い分にはかなりの説得力があった。腸(はらわた)の煮えくり返る思いだが、このままでは会社も住良木自身もおしまいである。だが、住良木以上に進退が危ういのは羽山ダニエル剣吾だ。フェイクニュースだと言い逃れをするには余りにも証拠があり過ぎる。


勿論これらの証拠は『サイバードーム』のメインコンピューターからニノがUSBメモリにコピーしたものを魂串の仕業に見せ掛けて編集し、『未来予想クライム』の遠隔操作で拡散したものだ。だが、元々金と欲だけで繋がっていただけの3人に、信頼関係などある筈もない。住良木も羽山も『FIVE STORM』のメンバーが仕掛けた罠に完全にハマっていた。


「このままじゃ俺もヤバいんでな!♭暫く海外に逃げる事にするが、その前に魂串だ!♭奴だけに美味い汁を吸わせるものか!♭姿を消す前に魂串を消してやる!♭今から『サイバードーム』に行って魂串とケリつける!♭住良木お前はどうする?!♭」


「無論行く!♭だが、魂串にはバイオアバターがあるぞ!♭どうするつもりだ?!♭」「心配いらない。奴らとは面会済みだ。武器ならちゃんと用意する。俺を嵌めたらどうなるか魂串に知らしめてやる」通話が切れた。


「クソッ…!♭魂串の奴…!♭」こうしては居られない。住良木はめぼしい荷物を纏め、逃亡の準備を始めた。こうなった以上、会社は手放すしかないだろう。残された社員の事など構ってはいられなかった。当然の事ながら羽山ダニエル剣吾に合流して危険な目に遭うつもりなど微塵もない。


金庫を開け、中にある現金と宝飾品。そして貯金箱代わりに使用している個人用のスマートフォンを取り出す。このスマートフォンの中には会社とは別の住良木の個人口座があり、電子マネーでかなりの貯金を入れてある。


これさえあれば何処に居ようとまた新しく商売が始められるだろう。必要な物だけを大型のボストンバッグに詰め、オフィスを出る。「急な出張が入った。向こうに着いたら改めて連絡するからあとを頼む」残った社員達にそう言い置いた住良木は地下の駐車場に向かって行った。


「おやおや?社長さんお出掛けですか?」愛車のBMWのトランクを開け、荷物を入れようとする住良木の背後からいきなり声が掛けられる。ハッとして振り返った住良木の目に、逆光に照らされた5つの黒いシルエットが浮かんだ。


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『FIVE STORM』最後の反撃が始まりました〜グープンプン信頼関係で結ばれていない関係はちょっとした小細工で簡単に崩れ去ると言う見本のような状況でございますニヤリチョキ


オタク社長の次は上級国民振りが鼻につくハーフ芸人(?)でございますよ〜グラサンユカイツーカイな逆襲にもう暫くのお付き合いをば宜しくです〜パーウインク