これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し


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メンバーが回収したバイオアバター達の首輪を、全てマタタビの入っていたバッグに収め、アイバチャンは満足そうに顔を綻ばせた。地下のシェルター室の前である。さすがに地下通路には乗り入れられないので、『サイクロンマークIII』もバイクも研究所の駐車場に停めてあった。

消滅したバイオアバター達の首輪を見て、クマオ君が静かな声音で言う。「オレもドクの遺伝子が混じってなきゃきっとこいつらと同じだったんだろうな…。あの檻を出る時に首輪は外しちまったが、暫くは一緒に暮らした仲間達だ、もしアイバがこの研究所の中に慰霊碑を建ててくれたら、オレ毎日こいつらを拝みに行くよ。ま、ドクがオレを受け入れてくれたらの話だけどな…」

クマオ君はそう前置いてから、自分が産まれた時の事を少し懐かしそうに語り始めた。どうやらこのシェルター室は内側からだけでは開けられない仕組みになっているらしく、ニノは手元のタブレットで加倉井博士とメールのやり取りをしながら、パスワードの解読をしている。

その様子を見守りつつ、『FIVE STORM』のメンバー達は穏やかにクマオ君の身の上話を聞いていた。「実はオレ、この世に産まれてから1度もドクと会わせて貰ってねぇんだ。目が覚めたら変な液体の中で色んなチューブに繋がれててさ、あの魂串がニヤニヤして「さあ、君が最後のベアーマンです。これからは私が君達の飼い主になりますから」って…。

始めは特におかしいとも思わなかったんだが、檻の中で暮らしている内に何かオレは他の連中と違う様な感じがしてさ。何せこっちから話しかけてもあいつらと来たらガオガオ言うばっかで全然会話になりゃしねぇし、オレだけおかしいんじゃねぇかって自分に不信感を持っていた。

ある時檻の奥部屋にあるコンクリートの床にヒビが入ってんのを見っけて、ガリガリ掘ってみたらぽっかり穴が空いちまったのよ。きっと慌ててあの飼育ブースを作ったんだろうな。俺の檻が丁度ダクトの上だったから床が脆くなってたんだ。

おかげでオレは檻から脱出する事が出来る様になった。産まれた時からそれなりに知恵があったんで、カメラに映らねぇ様にダクトの中を通路にして研究所の中をうろついた。

研究所には図書室があってな。カメラの死角になってる棚から色んな本を持って来て、奥の小部屋で何回も読んだ。意味なんて始めは全然分かりゃしなかったけど、何回も読んでいる内に何となく内容が理解出来るようになって来たんだ。

そうやって知識を蓄えると、今度は魂串が産まれたばっかのオレに向かって自分が“飼い主”だと言った事に疑問を感じるようになってな。あいつの周辺を色々と嗅ぎ回る様になった。それでバイオアバター達の特性や役割、オレ達を創造したのは魂串じゃなくてドクだと分かったんだ。

魂串は禁断のクローン研究に、図らずも手を染めちまったドクを脅して、無理矢理オレらバイオアバターを増産させ、生物兵器として海外に売り飛ばそうとしていた。しかもそれを阻止しようとしたドクや、何も知らねぇ研究員達を皆殺しにしようとしていたんだ。

ドクが研究員達を魂串の魔の手から守る為にこのシェルター室に籠城して、助けを待っていた事も分かった。だからオレはずっと考え続けていた。会った事はねぇがドクはオレの産みの親だ。どうにかして助けたいと思っていた」

どうやらアイバチャンがクマオ君にコンタクトを取ったのは絶妙なタイミングだったらしい。だが、1度も会った事がないだけに、クマオ君は加倉井博士に拒絶されるかも知れないと不安を感じている様だ。その気持ちは『FIVE STORM』のメンバー達にも良く分かった。

一同が少ししんみりしている時に、シェルター室のドアから〖開けゴマントン洞窟はマレーシア〗と言うふざけた電子音が聞こえて来た。「ニノ、お前なぁ〜♭クマオ君が真面目な話をしている時にふざけてんじゃねぇよ♭」MJがパスワード解読をしているニノに文句を言う。

「違うって♭俺じゃなくてふざけてんのは加倉井博士の方♭解読したパスワードを打ち込んだらこのドアがいきなり喋ったのよ♭」するとクマオ君が「多分それドクだぜ。オレが読んだ本にもページの端っことかに色んなダジャレが書いてあったから。ドクは思いついたダジャレを書く癖があったんじゃねぇかな?」と、説明した。

「マジかよ?♭殺されるかも知れねぇって緊迫時にパスワードをダジャレにするかねフツー♭」「アヒャヒャヒャ♪加倉井博士は愉快な人だったんだねぇ〜♪」MJのボヤきを受けてアイバチャンが加倉井博士をフォローする。

「だが、ゴマントン洞窟がマレーシアにあるのは事実だ」チーフがダジャレの裏付けをし、オーチャンが「やっぱりダジャレも頭いいんだね♪」と、変な褒め方をした。厚さ30センチはある、重い金属製のドアがゆっくりと開く。

誰よりも早くドアから飛び出して来たのは加倉井博士だ。加倉井博士はアイバチャンの隣に立つクマオ君を一目見るなり、「君が…」と呟いて、そのギョロギョロした双眸を潤ませた。

まるで塩をつまんだ様な爺さんである。否、今年58歳らしいので、爺さんと言う程の歳では無いが、皺の多い縮んだ顔も、後ろで結んだ白髪混じりの蓬髪も、160cmにも満たない、痩せた小さい体躯も、加倉井博士は全てに於いて年寄りじみた雰囲気を持つ人物だった。

どうやら暗号解読でのニノとのメールのやり取りの中で、加倉井博士はバイオアバターに加倉井博士のDNAを受け継いだ成功例が1人だけあった事を知らされていたらしい。それを聞いていても立っても居られず、真っ先に飛び出して来たようだ。

「ほら、クマオ君♪加倉井博士とご対面だよ♪」隣のクマオ君をアイバチャンが笑顔で押し出した。「あの…ドク♭オレ…♭」絶句してひたすら涙を流す加倉井博士に、クマオ君がおずおずと話し掛ける。

「良く…良くぞ生きていてくれた…。『FIVE STORM』の皆さん。彼を生かして下さりありがとう…。きっと私の悔恨の涙が彼を産み出したのだろう…。チーターマンにヒポポタマスマン。クロコダイルマンに最後がベアーマン。

私の試みた遺伝子融合実験は悉く失敗し、もうやりたくないと魂串に訴えた。バイオアバターは殺処分にしたいと…。培養液の中で細胞分裂をさせている今の段階なら、未だ間に合うからと…。

だが、魂串はそんな私に銃を突きつけ、逆らうなら今すぐ研究員達を皆殺しにすると私を脅してベアーマンの最後の一体を作らせた…。自分のしでかした事への罪悪感、魂串を止められなかった己の意気地無さが情けなくて悔しくて…。私は涙が止まらなくなってしまったのだ…。

私の遺伝子が混じっていたバイオアバターが存在したと二宮さんからメールで聞いて、私はすぐにそれが最後のベアーマンだと分かった…。まさかこんな立派な青年として成長してくれていたなんて…」加倉井博士は涙を流しながらクマオ君を見上げ、思いのほか元気な声音で断言した。

「クマオ君…だったか?もし君さえ良ければ私の養子になってくれないか?『FIVE STORM』の皆さん。確かに彼はまともな状況下で産まれたんじゃない。だから彼には戸籍も無ければ両親もおらん。だがこうして言葉も話せるし、私達人間と何にも変わらん立派な若者だ。

私はこれから警察のお世話にならなくてはならない犯罪者に成り下がってしまったが、今ここにいる研究員達には何の罪もない。いつまでお務めをしなきゃならんのかは分からないが、研究員達はこの研究所を守ってくれると約束してくれた。

だから、クマオ君には私の息子としてこの研究所と研究員達を見守っていて欲しいのだ。どうかね?『FIVE STORM』の皆さん。彼と、クマオ君と養子縁組をさせて貰う訳には行かないか?クマオ君をただのクマオ君では無く『熊』に雄々しいの『雄』と書き、加倉井熊雄(かくらいくまお)として迎え入れたいと思うのだが…」

願ってもない博士からの申し入れだった。無戸籍児と養子縁組をして家族に迎え入れる制度は法的にも存在している。もし博士さえうんと言ってくれればその制度を使ってクマオ君を合法的に人間として生活させてやれるだろうと、『FIVE STORM』の面々も考えていたのだ。

「ドク…。本当にオレが息子でいいのか…?」感極まり、嬉し泣きに濡れるクマオ君を誇らしげに見上げた加倉井博士は「勿論だとも。私のDNAを受け継いでいるんだから、遺伝子上でも父子に違いないだろう?今日からは親父と呼んでくれ。研究所と研究員達を頼んだぞ、熊雄」とその身体を抱き締めた。

まるで大人と子供が逆転した様な身長差である。それでも泣きながら抱き合う2人は立派に父子に見えた。『FIVESTORM』の面々も、感動して僅かに瞳を潤ませている。博士の後から続々とシェルターから出て来た他の15名余りの研究員達も、誰一人クマオ君を恐れる事無く、感慨深そうにその様子を眺めていた。

「おめでとうございます博士」「おめでとうございます熊雄さん」思ったよりも博士のSOS信号をキャッチするのが早かったからだろう。研究員達もあまり衰弱しておらず、皆一様に安堵の微笑みを浮かべ、博士とクマオ君を取り巻いて、和気藹々とした雰囲気であった。

「とても立派な跡取りが出来ましたね博士。その歳まで独身を貫いた甲斐があったじゃないですか」研究員達の中でも最も若い、丸顔の若者が言った。「おお、ドクシンでトクシンた、得したな♪」「出た、オヤジギャグ♪」アッハッハッハッハッ♪殺されかけたと言うのに陽気な研究員達である。

何気にツボに入ったのか、チーフがププッと吹き出し、アイバチャンとオーチャンは大笑い、MJとニノは苦笑いをして肩をすくめた。

こうして加倉井博士の弟子による『サイバードーム乗っ取り事件』に伴うバイオアバター撲滅作戦は『FIVE STORM』の活躍により、一応の解決を見たのである。だが彼らには未だやるべき任務が残っていた。魂串幻樹、羽山ダニエル・剣吾、住良木行弥の捕縛だ。

特に羽山ダニエル・剣吾は両親、特に元外務大臣の父親の事もあり、ある意味バイオアバターよりも厄介な存在であった。「それじゃあそろそろ最後の仕上げに掛かるとするか?」チーフの声に『FIVE STORM』のメンバーは同時に強く頷いた。

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加倉井博士と研究員達の救出が無事完了しました〜グッウインククマオ君も博士の息子になってめでたしめでたしですが、未だ事件は終わっておりませんよ〜おいでニヤニヤ

魂串、羽山、住良木の3悪をどう退治するのか?いよいよラストスパートですグラサン