これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し


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その飼育ブースは入った途端、不穏な空気が漂っていた。「クマはリュックサックの中に食べ物があると、それがテントの中にあっても嗅ぎつけられる程嗅覚が鋭いんだよ。きっとベアーマン達はMJとオーチャンが飼育ブースに入った途端、侵入者が来たと分かる筈だから注意してね」


アイバチャンはそう言うと、バイオアバター用オートマチックの他に、変わった形の銃をMJとオーチャンに渡した。MJはメタリックパープル、オーチャンにはメタリックブルーのレーザーガンみたいな代物である。


「これはベアーマン撃退用の特別製。使い方は普通の銃と同じだけど、カートリッジには唐辛子とミントを調合した液体弾が詰まっているから、これを使ってベアーマンを怯ませればいいよ。2人にはQR爺ちゃんの『パワー増強手袋』もあるし、敵の数も1人少ないから二丁拳銃で頑張ってね」


アイバチャンにはそう言って送り出されたものの、体長が3m近くあるゴリゴリのクマ人間と戦った経験は、いかに接近戦に長けた2人にも初めての事だ。否が応でも緊張感は高まっていた。


「智、大丈夫か?」「うん大丈夫…。きっともう気づかれてるよね?」「…みたいだな…。檻が空っぽだ…」ベアーマンの檻を確認して、全てが空だと分かったMJとオーチャンは、背中合わせで周囲にグルリと視線を巡らせた。今の時期は本来クマの冬眠期間である。だが、危険を察知出来る程度の意識はあり、完全に眠り込む訳では無いとアイバチャンは忠告した。


更に近頃は気温も不安定で、冬眠しないクマも増えているらしいから、ヒトとのハーフであるベアーマンは多少動きが鈍くなるレベルでほぼ普段と変わらない可能性が高いそうだ。「奴らに背中見せんなよ智…」「分かってる…目を離すな、怖がるな…だよね?潤…」


本来任務中はコードネームで呼び合うのが決まりだが、他のメンバーがいないとつい互いの呼び方が恋人同士のそれになる。特に今は人外の生き物との緊迫した戦闘態勢の中だ。2人は後ろ手で手を握り合いながら、さぁやるぞと、無言で励まし合っていた。


そしてオーチャンが返答した直後、檻の影からガルルル…と言う唸り声と共に巨大な4つの影がノッソリと姿を現したのである。お揃いのカーゴパンツに裸の上半身。クマオ君と似ている様にも思えるが、彼等の風貌は明らかに獣に近く、まるでクマの着ぐるみを着た類人猿の様で、唇の両端から鋭い犬歯も覗いていた。


「まるで小型のキングコングだぜ…」「確かに…。見るからに凶暴そうだね…。こいつらの目…クマオ君と全然違うよ…」「ああ、多分魂串の三白眼と近ぇんだな…。クマオ君には加倉井博士のDNAが入ってっから博士のギョロ目が混じって丁度いい塩梅になったのさ」


MJの前方から2体、オーチャンの前方から2体、計4体のベアーマン達は2人の様子を伺う様に、ゆっくりと間合いを詰めて来る。オーチャンよりも背の高いMJですら、ベアーマン達には山猫程度の大きさに見えている事であろう。ましてや小柄なオーチャンなど、野ウサギレベルに感じるに違いない。


それでもいきなり襲って来ないのは、2人が全く怯んでいないからだった。2人の放つ闘気の大きさがベアーマン達を威圧しているのである。「クマとの戦いは怯んだ方が負け。クマは相手の技量が本能的に分かる動物だからね」アイバチャンのアドバイスだった。


1体のベアーマンが仁王立ちになり、グォォォォォ!!と、咆哮する。それを合図に他の3体も咆哮し、MJとオーチャンに向かって勢い良く飛び掛って来た。


「智!!」「任せて!!」背中合わせの姿勢から弾かれる様に飛び出したMJとオーチャンは、ピッタリ同じタイミングで両手の拳を突き出し、襲い来る1体のベアーマンの胸元にパワー増強手袋の鉄拳を叩きつけると、返す身体でもう1体のベアーマンの腹に回転蹴りをお見舞いした。


さすがはQR特製パワー増強手袋である。MJとオーチャンの息の合った連携プレーで、胸にパンチを浴びたベアーマン2体は背後にすっ飛んだ。


が、しかし蹴りを受けた方のベアーマンは少しよろめいただけですぐに両手を持ち上げて2人を威嚇し、MJサイドのベアーマンは左腕を、オーチャンサイドのベアーマンは右腕を、物凄い勢いで振り下ろして来た。長く湾曲した鋭い爪先が光る。


あんな手でやられてはたまらない。2人は身体を反らしてギリギリでその攻撃を避け、そのまま床に片手を着いてグルリと側転すると、即座に二丁の銃を抜いて片膝立ちになり、先ずは特製銃で覆いかぶさる様に襲って来るベアーマンの鼻先を狙い、液体弾を数発撃ち込んだ。


ガォォォォ!!ベアーマンの顔面で液体弾が弾け、ミントと唐辛子の混じったスパイシーな匂いが立ち込める。2人は床を転がって、うずくまるベアーマンの背後に回ると、左右の手を水平に振り、次に『リターニング・セル』弾のオートマチックを使ってベアーマンの延髄付近を目掛け、5発の弾丸を連射した。


ドゥ!ドゥ!ドゥ!ドゥ!ドゥ!寸分の狂いも無い見事なコンビネーションプレーである。まるで蒸気が分散する様に2体のベアーマンが消滅し、たった今脱ぎ捨てたかの如く状態で、中身を失ったカーゴパンツが床に落ちた。2つの首輪がコロコロとコンクリートを転がっている。


だがホッとするのも束の間、『パワー増強手袋』のパンチを受けて遠くに吹っ飛び、脳震盪を起こしていた1体のベアーマンが、何事もなかったかの様に起き上がると、2人に向かって突進して来たのだ。それを見たMJが即座にオーチャンへと合図を送る。「智は上、俺は下だ!挟み撃ちにするぜ!」「OK!」


2人はベアーマンに真っ向勝負を仕掛けるべく、助走をつけて突っ込んで行った。そして激突寸前でオーチャンはベアーマンの頭上に跳ね上がり、MJは仰向けのスライディングでベアーマンの股下を滑り抜けると、MJはくぐり抜けざまにベアーマンの胸に3発。オーチャンは飛び越えざまにベアーマンの延髄に3発の弾丸を撃ち込んだ。


シュパーン!!炭酸水の塊が弾けた様な音を立て、ベアーマンが霧の様に消える。オーチャンが床にストンと着地したのと、MJが股下を抜けたのは、殆ど同じタイミングであった。そこに最後のベアーマンが脳震盪から起き上がり、グォォォ!と吠えながら四つ足で2人の方へと爆進する。


「マジかよ?!♭少しは休ませろ!♭」MJとオーチャンは左右に散り、MJは右、オーチャンは左の拳を握り、突進して来たベアーマンの胸元を高速で突き上げた。


ガォォォォ!!パワー増強手袋の打撃に自身のスピードも加わり、ベアーマンが虚空高くに舞い上がる。「そのまま落っこちて来んなよ!♭頼む!♭」「お願い成仏して!♭」2人は降ってくる巨体に向かって残りの弾丸を続けざまに発射した。


ドゥドゥドゥドゥドゥドゥドゥ…!!みるみる内に巨大になる黒い影は2人の頭上3m位で消滅し、巨人の抜け殻みたいなカーゴパンツがMJの頭にバサリと被さった。「おわっ!♭」カーゴパンツを引っ掴んで放り投げるMJにオーチャンが安堵の笑顔を見せる。そんなオーチャンの頭にはベアーマンの首輪が落ちて来て、そのままスポリと首にぶら下がった。


「おっ?♪どした智?♪俺様に飼育されてぇのか?♪」「えぇ〜?♭」「ま、こんなブカブカじゃすぐ逃げられちまうけどな♪」オーチャンを引き寄せたMJは、その頭をクシャクシャと撫でながら「お前に怪我させねぇで良かった…」と強く抱き締めた。


「んふふ♪潤もね…♪俺らすげ〜頑張ったんじゃん…」「…首輪回収しねぇとな…。アイバチャンがこの研究所の敷地内にバイオアバター達の慰霊碑作るっつってたろ?」「そうだね。2人で回収しよう」


4体のベアーマン達の首輪を拾い集め、MJとオーチャンは「さぁ、博士達を助けに行くぞ♪」と、ハイタッチしてにこやかに見つめ合っていた。


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ラスト潤智の闘いは個人戦ではなく2人の共同作業と言う形でお送り致しました〜グッウインク恋人同士ならではの、激しい中にも何処かしら甘々なコンビネーションアクションの雰囲気は上手く表現出来ていたでしょうか?ルンルン


因みに2人揃って側転するところは『Love Situation』のコンサート映像のイメージで書かせて頂きました〜照れハート最近潤智が少なかったので、ここに来て潤智らしさ全開のアクション場面となりました〜爆笑


さて、バイオアバター達との戦いも終わり、いよいよ物語も終盤でございますニコニコどうぞもう暫くのお付き合いをよろしくお願い致します〜ほっこり