これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し

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16

朝の餌やりが終わり、魂串幻樹がバイオアバターの飼育ブースを立ち去ってから20分程過ぎた頃だった。VVVvVVVv…使い捨てスマホのバイブ音が檻の中に響き渡り、他の檻に居るベアーマン達が聞き慣れぬ音に落ち着きなくゴソゴソと動き回る気配がする。

「来たな…」檻で待機していたクマオ君は低く呟くと、スマホを手に取りそのまま床に掘られた穴の下へと下りて行った。ここに戻るつもりはもうない。クマオ君は相葉との約束通り、自分の役割を果たすべく、空調ダクトの中を速やかに移動して階下の食堂へ降り、研究所内の廊下へと歩み出した。

いつもならこんな明るい内に廊下へ出る様な真似はしない。研究所の廊下には監視カメラがあり、その映像がコンピューターブースのモニターに映るからである。もし先程の合図が間違いだったらここを歩くクマオ君の姿はたちまち魂串に発見されてしまうだろう。

だが、今のところ研究所のアラームが鳴り響いたり、魂串が慌てて廊下に駆け出して来たりする様子は見受けられなかった。きっとアイバの仲間が監視カメラの映像をすり替えているのだろう。クマオ君は安心して悠々と廊下を歩き、生まれて初めて研究所の外へと1歩を踏み出した。

市街地にありながら、この研究所の敷地はまるで外界から遮断するみたいに人口の林が取り囲んでおり、ちょっとした自然公園の様な赴きがある。ツルツルに磨かれた丸い敷石が美しい配置で門にまで続いていて、クマオ君は気持ち良さそうに外の空気を吸い込んだ。

未だ冷たい外気の感触、太陽の光、風の音、そんな自然の息吹の全てがクマオ君には新鮮で、全身にパワーが漲って来る様な感覚がする。門の外にはメタリックブラックの大層クールな装甲車がエンジン音を響かせながら待機していた。

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「あっ!クマオ君だ!♪クマオく〜ん!♪」運転席から半身を乗り出し、手を振るアイバチャンの姿を見つけ、クマオ君が白い歯を見せながら小走りにやって来る。未だ真新しいジーンズに今日はロゴ入りのTシャツを身につけているが、相変わらずサイズはパツパツで、アニメみたいに今にもバリバリと引き裂かれそうに見えた。

「あれがクマオ君か。さすがに本物は迫力があるな♭」助手席のチーフが感嘆の声を上げる。「アレで1番小柄なんでしょ?♭アイバチャンの作った装置を信用しない訳じゃないけどさ、俺が戦うヒポポタマスマンってアレの3倍はあるでしょーよ♭本当に大丈夫なの?♭」

ニノが「あ〜怖い♭」と、後部座席から運転席にあるレバーやボタンを覗き込む。オーチャンは最後尾でMJに寄り添いながら、「アイバチャンはすっかりクマオ君と仲良しだね♪」と、にこやかな微笑みを浮かべていた。

MJは「すげぇなぁ〜♪何かカッケェ〜♪」と、クマオ君のワイルドな外見をちょっと羨ましそうに眺めている。「何よジェイ、濃い仲間で通じるモンがあるって事?」ニノのツッコミにMJが「あんな毛深かねぇっつ〜の♭」とツッコミ返した。

「ま、何にせよここはクマオ君に任せないとな〜。門の暗証番号は解読済みだけど、それだけじゃこの門開かないから。クマオ君の持つ魂串のDNAが必要不可欠なんだよね〜。

多分魂串が研究所を乗っ取った時にこの門のDNA認証装置を自分のDNA形態を元に新しく取り付けたんだろうけどさ、もしクマオ君の中にある魂串のDNAを門の装置が読み取ってくんなかったらどうすんの?」

ニノが手元のタブレット端末を操作しながらアイバチャンに聞く。アイバチャンは『FIVE STORM』のメンバーをクマオ君に紹介しながら「その時は『サイクロンマークIII』で門をぶち破っちゃうから大丈夫♪でもそれやると魂串にバレちゃうから、出来ればこっそりやりたいんだよねっ!♪」と、何とも豪快な返答をした。

「DNA認証装置は人間の汗や血液、体液などに反応するから手の平にかく僅かな汗や髪の毛なんかでも本人のDNAなら認証してくれる筈だ。そもそも動物のDNAには反応しないから、クマオ君が魂串の細胞から産み出されたのなら、クマオ君の中の魂串のDNAを読み取るだろうとは思うんだが…。

問題はクマオ君に他のバイオアバター達と明らかに異なる特性が見えていると言うところなんだ。もしクマオ君の中に何らかの作用で魂串以外の人間の遺伝子が入ってしまったとすれば、装置が上手く読み取れない可能性も…」

チーフのそんな説明が分かっているのかいないのか、アイバチャンは元気な声で「それじゃあ頼むよ!♪クマオ君!♪」と、笑顔のクマオ君に向かってピースサインを送っている。クマオ君は頷くと、門の中央にあるDNA認証装置に自分の大きな手をペタリとくっつけると、心配そうに装置の数字を覗き込んだ。

暗証番号を解読したニノのタブレット端末の画面にもその装置の数字が映し出されているが、その数字は目まぐるしく変化しながら何度も何度も止まったり動いたりを繰り返し、やがてピタリと静止した。

DNA認証装置は機械的な声で〖魂串博士、加倉井博士、この装置で2人同時に鑑定しないで下さい。故障の原因になります〗と忠告をしてから分厚い扉を左右に割り開いた。「そうかっ!♪何でだか分からないけど、クマオ君には加倉井博士のDNAも混じってるみたいだねっ!♪クマオ君は正真正銘、加倉井博士の息子だよっ!♪何でだか分からないけど!♪」

門の中に『サイクロンマークIII』を乗り入れたアイバチャンは運転席から飛び出してクマオ君に思いっきりハグすると「クマオ君良かったねぇ〜!♪」と嬉しそうにその背中をポンポンした。戦闘服の腰にあるガンホルダーに昨日と同じバイオアバター用のオートマチックを装着しているが、その様子は何ともほのぼのしている。

アイバチャンのそんな言葉にクマオ君は「オレが…?ドクの本当の息子…?」と呟くと、たちまち瞳を潤ませた。「マジかよ…?すげぇ…。ドクが親父か…。オレ本当に嬉しいぜ…」そんなクマオ君の様子に『FIVE STORM』のメンバー達はみんな穏やかな表情になり、一斉に親指を立てて無言のエールを送った。

「後は任せろクマオ君!♪クマオ君は地下シェルターに行ってドアの前で君の親父さんの加倉井博士と研究員達を守ってて!♪全部片付いたら俺達も合流するよ!♪」アイバチャンとハイタッチをしたクマオ君は全員にちゃんと頭を下げると、そのまま研究所の内部に走って行った。

「見かけによらずあいつ超良い奴じゃん♪」クマオ君を見送るアイバチャンをひとしきり眺めてから、ニノが最後尾を振り返る。それに答えたMJがQR爺ちゃんの置き土産である『パワー増強手袋』を嵌めた手をグッと握って気合いを入れた。

「何かすげぇパワーが湧いて来るぜ♪とっとと片付けて加倉井博士や研究所員達を救助しねぇとな♪」オーチャンがそんなMJを眩しげに見上げ、「そうだね♪出来るだけ早くクマオ君を加倉井博士に会わせてあげたいね♪」と、強く頷いた。

「さぁ研究所に突入するぞ!」助手席から運転席に移動したチーフがアイバチャンをその場に残し、サイレントモードのボタンを押す。アクセルが踏み込まれた『サイクロンマークIII』は、既にクマオ君の手により開かれた入口から、研究所の廊下に飛び込んだ。

サイレントモードの効果か、『サイクロンマークIII』はその鎧の様ないかつい外観に似合わぬ静かさで、研究所の廊下を滑るように進んで行く。魂串の居るコンピューターブースを抜け、更に奥へ…。

薄暗く無機質な廊下は天井が高く、かなりの幅があった。恐らく体の大きなバイオアバター達を移動させる為に必要な広さなのだろうが、おかげで『サイクロンマークIII』のゴツゴツしい車体も気持ち良く通り抜けられるのである。

あっという間にバイオアバターの飼育ブースにたどり着いた『サイクロンマークIII』はニノの操作により開かれた入り口のドアも難なく潜(くぐ)り抜け、4つのドアの直前にまで行き着いた。

「さぁ、始めるか…」チーフが呟き、ニノだけを車内に残してメンバー達が『サイクロンマークIII』から降車する。それぞれがボタンや肩章にメンバーカラーをあしらったスタイリッシュなデザインの戦闘服を身にまとい、ニノは『サイクロンマークIII』に乗ったまま、『ヒポポタマスマン』のドアの前に。チーフ櫻井は『クロコダイルマン』。そしてMJとオーチャンは『ベアーマン』のドアの前に立った。

4人から少し遅れて到着したのがアイバチャンだ。まるで風の様なヒューッと言う音を立て、『チーターマン』のドアの前に到着したアイバチャンは、改造された750CCのバイクにまたがっていた。

メタリックグリーンのボディーにはゴールドのレタリングで『JAWS1』と言う独特のセンスのネーミングが描かれており、「チーター相手にジョーズかよ?♭せめてジャガーだろ?♭」とMJに突っ込まれた。

アイバチャンの到着を確認したニノが手元のタブレット端末を操作する。重い金属音が鳴り、それぞれのバイオアバター飼育ブースのドアが横滑りにガチャンと開かれた。

「行くぞみんな…。必ず生きて帰って来い」緊張の面持ちで合図するチーフの声に、メンバー達が同時に拳を上げる。『FIVE STORM』メンバー達のコートの裾がヒラリと翻った。

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お待たせ致しました!グッ次回はいよいよバイオアバター達との対決ですグープンプン果たして相葉ちゃんはどんな新(珍)兵器を作ったのか?次はメンバーそれぞれの活躍をどうぞお楽しみ下さいませ〜ウインク