これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので、苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し

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朝に一波乱あったものの、今日は概ね何事も無く終わった。潤の愛車で警察庁まで送った智は、潤の帰る時刻になるまでに自分の引っ越しを済ませ、再び警察庁の駐車場に赴いた。

場所柄余りカジュアル過ぎる服装は良くないだろうと奮発した、春物のジャケットとパンツはややピッタリ目のネイビーカラーで、白地に紺のボーダー柄のVネックインナーを合わせている。これは午前中の内に購入したセットアップで、引っ越しを済ませるまでにサイズ直しをしてもらった物だ。

ファッションブランドには仕事上詳しいが、智自身はてんで無頓着なので、店員に薦められるまま、マネキンが着ていた物をまるごと買った手抜きファッションだったが、これがことのほか細っそりした智の体型に良く似合い、まるで何処かのお坊っちゃんの様に見える。

警察庁の駐車場にはガードマンが常駐しており、関係者以外は立ち入り禁止とされているが、潤の方から話は通っているのか、はたまたお坊っちゃま然とした智に怪しさを全く感じなかったのか、智がアメリカで取得した国際ライセンスを見せると、案外すんなりと駐車場の中に通してくれた。

霞ヶ関にしてはセキュリティがいささか甘い様な気もするが、きっとこういう場所だからこそ、潤の父親の肩書きが効力を発揮しているのだろうと思い直し、智は潤の愛車が駐車してある場所で、周囲にアンテナを張り巡らせながら、潤の帰宅時間を待っていた。

こうして1人で考え事をしているとつくづく思う。智自身まさか自分が組織から去る時が来ようとは全く想像もしていなかったと…。血の滲むような訓練を終え、法の目を掻い潜りながら、ダークな仕事をいくつもこなして来た。

それが智の日常で、これからもずっと続いていくものだと、漠然と感じていたのである。当然まともな死に方など出来る訳が無いと思っていたから、死と言う物に対する恐怖心も、それと同時に生きると言う事に対する願望も持ってはいなかった。

智が唯一情熱を傾けられるのは踊る事。ダンスをやっている時だけが、時間を忘れてひたむきに没頭出来る、智の最も人間らしい瞬間だったから、『PARADOX』の仕事は決して嫌いではなかった。

今となってはすっかり過去の事となってしまったあの頃、環境は決して快適ではなかったけれど、ストリッパーのバックダンサーとして踊っていた、松岡とのサンフランシスコでの暮らしが、智の1番幸せな時だったのかも知れない。

恐らく智が天国へ行く事など無いであろう。だから例え命を落としたとしても松岡の所へはもう行けやしない。まぁ…こんなに汚れてしまっては松岡に合わせる顔すら無いであろうが…。智は自嘲気味に微笑って自分の脇腹にそっと掌を這わせた。

世界でたった1つの彼の最高傑作を…僕は穢してしまったかも知れないな…。そんな自分が何故今になってこんな人並みな行動を取っているのか…。我ながら不思議で仕方がなかった。ただ、どう言う訳だか潤と一緒に居ると、あの懐かしいサンフランシスコの風景が頭に浮かぶのである。

潤が松岡と特別似ている訳ではない。なのに潤からは何故だかゴールデンゲートブリッジの夕焼けや、サンフランシスコの街並み、松岡と暮らした安アパートの坂道など、智が最も幸せだと感じていた純粋な少年時代の匂いがするのだ。

だから戸惑う。感情などとっくの昔に捨て去った筈なのに、未だほんの少ししか触れ合っていないのに、彼には…潤には智がとうに無くしてしまった物をごく自然に思い出させる、そんな力があった。あの外国人めいた美貌のせいだろうか…。それともあの公安らしからぬ無防備な純真さがかいま見える所だろうか…。

「多分両方だな…」智は独りごちてクスリと微笑い、パンツのポケットから取り出したスマホの、デジタル時計に視線を落とした。すると二宮からメールが来ていた事に気づき、タップすると、今夜の10時にクラブ『Ange Noail』に取材に行く許可が編集長から下りたと言う報告文が現れた。

どうやら二宮は一日中『Ange Noail』の店長と、長谷川恭一郎との関係について色々と調べ回ってくれていたらしい。メールには香港出身とされる店長の名前が寧華蘭(ニン・ホワラン)である事と、46歳と言う年齢が記されていた。

だが、寧華蘭の過去については未だ良く分かっていないらしく、長谷川恭一郎とは昔働いていた店で出会ってから数十年振りに今の『Ange Noail』で再会したのだと書かれていた。

寧華蘭か…。智はこの店長こそが30年前の初期訓練生だったDin―Qではないかと推測している。今46歳なら30年前は16歳だ。あり得ない話ではないと思っていた。もしこの女がDin―Qならば、それはこの女が潤を狙う『ゴースト・シールズ』のリーダーだと言う事になる。

そしてこの女と長谷川恭一郎がデキているのであれば潤が命を狙われている理由も、何となく説明がつくと言うものだ。例えば長谷川恭一郎に潤が公安だと気づかれたとすればどうだろうか?長谷川に取って潤は昔の友人の息子などと、お気楽な相手ではなく、かなり厄介な相手だと言う事になりはしないか?

ましてや潤は元刑事局長の息子だ。政治家にありがちの、責任を取らせて首を切る的な通り一辺倒の罠はさすがに使い辛い。長谷川にしてみれば、潤を味方に引き込んで、何かと便宜を図って貰おうとした筈が、飛んだ見込み違いだったと言う話になるだろう。

ならば長谷川恭一郎の立場としてはプロに頼んで潤を消すと言う選択肢が最も安全で手っ取り早いと考えた可能性は大いにあった。潤の命を狙っているのは長谷川恭一郎…。この線はあるかも知れない…。

ただ、そうなると気になるのは長谷川が自分の愛人について何処までの情報を握っているのか…。と言う事だ。寧華蘭がDin―Qなら、長谷川と彼女が最初に出会ったのは間違い無く設立当初の『PARADOX』であろう。

だとすれば長谷川恭一郎は初代の櫻井宗十郎さんが密かに行っていた殺し屋育成組織についてもある程度知っていたんじゃないか?もしかしたら依頼した事があったかも知れない。ならば何故翔さんに潤の始末を依頼しなかったのか…。実際僕はあの『CSI Tokyoラボ』の駐車場で潤が狙われた時、てっきりAi―Bの仕業だと思ったのだから…。

もしや『ゴースト・シールズ』の資金源は長谷川恭一郎なのか…?『Ange Noail』なる通り名の黒幕の正体…。あの長谷川先生が黒天使?どうもしっくり来ない…。そこまで考えた所で智の思考は中断された。地下駐車場の出口から潤のスーツ姿が見えたからだ。潤は背の高い、ガッチリとした体躯の男と一緒だったが、智を見つけた途端、満面の笑みを浮かべて大きく手を振った。「智!!」

おいおい…♭♭思わず苦笑してちょっと手を上げる智に、隣の男が訝しげな顔つきで潤と共に近づいて来る。「松本君。彼は誰だい?」「友人です。フリーのSPでしてね。昔はアメリカでダンサーをやっていたんですよ」「ほう?それは頼もしい」

男はやや不躾とも思える目付きで智を眺め回し、「私は朔と言います。松本君にはいつも助けて貰っているんですよ」と握手を求めて来た。「大野です。松本君とは最近ひょんな事から親しくなりましてね、丁度仕事にあぶれたばかりだったもので、松本君の運転手をさせて貰っています」握手を返した智は柔和な微笑を浮かべつつ、この朔と名乗る人物を瞬時に観察した。

年齢は40代前半。身長は約6フィート2インチ。(約186センチ)スポーツ、武道の経験有り。スーツはエルメス。腕時計はカルティエ。靴はベルルッティ。エリート階級で潤の上司。但し、広報部ではなく公安部の…。

「それはいい。こんなに可愛らしい運転手さんが一緒なら、松本君も悪さは出来ないだろう。これからも松本君を頼むよ」朔は洗練された雰囲気の、一見人当たりのいい男だが、智はこの男の中にある種の傲慢さを素早く嗅ぎ取り、そうとは見せぬ様注意しながら神経を尖らせた。

「勘弁してくださいよ朔さん♭俺結構真面目にやってるじゃないですか♭」「そりゃ分かっているが、八重樫先生の前例もあるしな。飲み過ぎや女遊びもほどほどにしないと急にポックリ逝かないとも限らんぞ」朔は威勢良く潤の背中をバンバンと叩くと、3ブロック先に駐車してある自分の愛車に乗り込むと、クラクションを短く鳴らし、そのまま走り去って行った。

「シトロエンかよ?♭朔さん相変わらずいい車に乗ってんなぁ~♭♭」潤は羨ましそうに呟くと、自分の愛車を見つめて小さく溜め息をついた。「そう嘆くなよ潤。僕に言わせると日本車の品質が世界一だぞ。アメリカではみんなTOYOTAやNISSANに憧れる。君のスカイラインだって超高級車だ」

助手席のドアを開け、潤を座らせた智は、運転席に乗り込みながら言った。「どうやら彼はフランスがお好きな様だ。頭の先から爪先まで全てフランス製の高級ブランドだった」「あの短時間でそこまで分かったのかよ?♭」潤はギョっとして智を二度見すると、「あの人朔大勘つって俺の上司。滅茶苦茶やり手なんだよ♭何でも朔さんは警察庁に入丁した頃ICPOで研修したらしいぜ」と理由を説明した。

「インターポールか?確か本部はフランスにあったな?」「そーなんだよ♪だいぶクールな銭形警部みてぇなもんだな♪」「君は呑気だなぁ~♭」八重樫先生のように…。さっき朔が言ったこの言葉が妙に智の癇に障っていた。嫌な奴だ…♭まるで潤が命を落とすのを予想しているみたいに…♭『Ange Noail』。フランス語で黒天使…。長谷川恭一郎よりもむしろさっきの男の方がこの通り名にしっくり来るのは何故だろう…。朔大勘か…。覚えて置こう…。

急に沈黙する智に、潤が「智どうした?♪腹減ってんのか?♪」と顔を覗き込む。智はバックミラーに目を配りつつ、一瞬だけ潤に視線を向け、宥める様な優しい声で呟いた。「気をつけろ…潤…。尾けられている…」「ええっ?!♭」

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なかなかスリリングな展開になって参りましたねぇ~ニヤリしかも怪しい人がまた1人登場致しましたグラサンまたぞろたくさん伏線を張ろうとしてわたくし、自滅しかけておりますガーン

いや、大丈夫ですタラー未だ頑張れます筋肉アセアセアセアセ次回は更に潤智の関係が深まる…かも?💜💙ご期待あれ~バイバイウインク←(本当に大丈夫なのかタラー)