これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を 踏まえてからどうぞ下差し

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8

翌日。いつもの様に夜が開ける前に目覚めた潤は、ジョギングに出かけるべく階下に降り、毎日挨拶をしている女性と、親しげに談笑していた智の姿を見つけて、思わず目を丸くした。「あら松本さんおはようございます」女性は明るく笑いながら潤に向かって挨拶をすると、眼前の智を手で示し、「お友達がいらっしゃってますよ。今日からお向かいのお部屋に引っ越されるんですってね?」と、声を掛けた。

「やぁ潤、おはよう。昨夜は良く眠れたか?」智はまるで昔からの親友みたいに親しげに手を上げて潤に微笑み掛けると、唖然とする潤の背中を促す様に軽く押して、一緒に走り始めた。そんな2人に女性が「行ってらっしゃい」と背後から送り出してくれる。

「向かいの部屋に引っ越すって?♭」「身辺警護を頼まれたんだ。近くに住まないと守れないだろう?ルームシェアも考えたが、君にだって見られたくないプライバシーの1つや2つはあるだろうしな。出来れば隣の部屋の方が良かったが、生憎空いていたのが向かいの部屋だけだったんだ」

驚きを隠せない潤の問いに、智は淡々と答えつつ、深く被ったキャップのつばを指先でそっとつまんだ。潤の歩調に合わせて走る足元が、まるでステップでも踏んでいるかの様に、とても軽やかに見える。

「さっきの女性に君の友人だと吹聴しておいたよ。彼女、百合枝さんと言うんだが、百合枝さんはあのタワーマンションの古くからの住人らしいからね。彼女に話して置けば僕が君の親友だと勝手に広めてくれる。明日になる頃にはみんなが僕を君の友人だと認識してくれるだろう。一緒に居ても誰も疑わない。

因みに僕はアメリカ帰りのダンサーだと言う事にしてある。『PARADOX』のPR動画がネットで出回っている以上、他の職業にはなれないからね。それに、アメリカでダンサーをやっていたのは事実だし。ま、ダンサーはダンサーでもストリッパーのバックダンサーだけど」

さすがに抜け目がない♭それにしてもストリッパーのバックダンサーとは…。恐らく櫻井宗十郎に拾われる前であろうが、年齢から鑑みるに、それが未だ少年の頃ではないかと思えるだけに、一体どれ程の苦難を舐めて来たのかと同情せずにはいられない。

「…苦労したんだな…」潤が呟くと智は口元で小さく微笑い、「別に大した事じゃない」とクールに言った。「しかし、あの奥さんが百合枝さんって名前だなんて全然知らなかったよ。毎日挨拶してたのになぁ~♭」「彼女はシングルマザーだよ。中学生の娘さんがいる。大手ランジェリー会社の社長さんだそうだ。『イブ・リリー』知ってるかい?名前の百合枝からそう名付けたらしいぞ」

潤が降りて来た時、智が談笑していたのはどうやらこんな世間話だったらしい。「ええっ?!♭テレビでCMやってるやつ?!♭マジかよ?♭」「御近所さんの情報はなるだけ仕入れておいた方がいいぞ潤。何かの時に必ず役に立つ事がある。彼女の様なお喋り好きなら尚更だ。自分の事は最小限に、他人の事は最大に。これが鉄則だ」すげ~…♭♭

潤も公安の仕事に就いてからそれなりの功績を上げ、いっぱしのプロフェッショナルを自負して来たつもりだったが、智とは次元が違う♭絶えず水分を補給し、かなりの発汗をしている潤に引き換え、智は汗どころか息を切らせる様子もない♭一体どんな鍛え方をすればこんな華奢な身体にそれ程のパワーを宿せるのか、同じ人間とは思えなかった。

「智って疲れたり息が上がったりする事ねぇの?♭」「往復15キロじゃあね。君の歩幅と速度、今走っているコースから推察するに、折り返し地点は多分この先の住宅街を抜けた辺りにある変電所だろう?マンション付近の市営公園で一休みするとして、大体合計15キロだ」

あまりにもピタリと当てはまる智の予測に、潤はひたすら絶句するばかりである。恐らく潤を狙っている『ゴースト・シールズ』と言う組織の連中もこんな感じなのだろう。何故自分が狙われているのか、理由は不明だが、こんな恐ろしい敵に命を狙われたんじゃたまったものじゃない♭

「智が居てくれてマジ心強いわ♭」思わず漏れる本音に智はもう一度口元で薄く微笑うと、「そんな僕でも6時間近く ケ  ツ を  嬲  られ続けると汗もかくし、息も上がるけどね」などと、冗談とも本気ともつかぬ事を言って潤をギョッとさせた。思わず吹き出すペットボトルの水に、智はアハハと笑って「心配するな。君を襲ったりしないよ」と、潤の背中をポンと叩いた。

へぇ~♪こんな顔して笑う事もあるんだな…♪初めて見た智の柔和な笑顔にちょっとドキリとする。並走する智の、薄手のジャージに包まれたヒップのラインについ目が行ってしまい、潤は『PARADOX』で見た櫻井のあの底の知れない上品そうな笑顔を思い出して、妙な脱力感を覚えた。あの男どんだけタフなんだよ♭♭「そう言えばさ、昨夜どうしてた?櫻井の所にはもう帰れないだろう?」

「ああ、それなら君の愛車をこっそりとマンションの駐車場から拝借して修理屋に持って行ったよ。カーウインドも防弾にしてもらったから後で確認するといい。今日は引っ越しを済ませる予定だから君は警察庁に出勤したら帰宅時間になるまで外出しないようにしてくれ。中にいる間は安全だろうしね」

「えっ?♭車の修理代やマンションの敷金礼金は?♭」「心配いらない。全部現金で払い済みだ」マジか…♭潤はまじまじと智を見つめ、彼の身につけたジャージが有名なファッションブランドの物だと気がついた。キャップもシューズも見た目はシンプルだが、恐らく限定物の高級品だ。

「あのさ、智ってもしかして超リッチな人?♭」「リッチじゃないよ。今までは金を使う事が殆ど無かったから勝手に貯金が増えただけさ。何せ翔さんの部屋と『PARADOX』を往復するだけの毎日だったからね。14年間も彼の元で働いていたんだ。僕しか知らない海外の秘密口座に預金しておいたのが今じゃ相当貯まってる」「成る程♭説得力は抜群だな…♭」

組織の仕事以外の話なら、こんな風に智は何でも話してくれる。だが、聞けば聞く程智の人物像はミステリアスになっていくばかりで、一体何処の世界の話なんだろうと、潤にはまるで想像もつかなかった。

やがて折り返し地点から引き返して帰路につき、お馴染みの公園で休憩をしていると、潤の耳にはまたもやあのテッテッテッテッと言う柴犬の足音が聞こえて来た。「また来やがった♭」嫌そうに呟く潤にチラリと視線を送り、ベンチの隣に腰掛けた智が駆け寄って来る柴犬を眩しげに眺めやる。

いつもなら真っ先に潤に駆け寄る柴犬が嬉しそうに智の膝へと飛び乗り、勢い良く尻尾を振ってその顔をペロペロと舐めた。「アハハハ♪どうした?お前♪いきなり情熱的な挨拶だな♪」智は満更でもなさそうに柴犬に話し掛け、ブンブンと尻尾を振って喜ぶ柴犬の、頭や背中を優しく撫でている。

「おやおや?これは意外♪この子初めて見る人には全く懐かないツンデレなんだけど、こんなに喜ぶの珍しいなぁ~♪」ホントかよ?♭どうせ智を見かけてお前がけしかけたんだろっての♭白々しい態度で近づいてくる二宮を軽く睨んで、潤は「毎日ご苦労さん♭」と皮肉混じりに言った。

ところがである。潤と一緒に居る智を見た二宮は本気で驚愕したらしく、「嘘だろ?!♭何でSato―Cがいんの?!♭」とその場でたちまち固まった。「余計な事言わない方がいいぜ智♭こいつは二宮って言ってかの悪名高き『真相報道Weekly』のジャーナリストだから♭」

「悪名だなんて『真相報道Weekly』はいい雑誌だぞ。そうか、あの雑誌のジャーナリストなら間違いないな。この子もとってもいい子だ。名前は?」「あっ♭二宮です♭二宮和也」智に声を掛けられて、いつものふてぶてしさは何処に行ったのか、二宮は珍しくテンパっている。それが潤には妙に可笑しかった。

「違ぇ~よ。お前じゃなくて犬の名前だっつーの」潤の横やりに二宮はちょっとムッとした様子だったが、すぐに無視して智に向き直った。「ノ、ノスケです♭二宮ノスケ♭オスです♭」「そっかお前ノスケって言うのか♪」膝からちっとも下りようとしないノスケの首を両手でワシャワシャと撫でながら、智は立ち尽くす二宮を静かに見上げた。

「『PARADOX』のPR動画観ました。滅茶苦茶カッコ良かったです。ダンスは何処で習われたんですか?」「ありがとう。でもダンスは自己流だよ。昔アメリカに住んでいた頃MTVの映像なんか観たりして、真似してたら自然とね」何だその質問♭ファンかよ?♭普段とは明らかに様子が異なる二宮に、潤は訝しそうに眉根を寄せた。

「今日はお店お休みなんですか?松本さんとはどういう…?」「ああ、『PARADOX』はもう辞めたんだ。彼とは先日お店に来てくれた時に知り合ってね。話している内に親しくなったんだけど、偶然にも僕の引っ越し先のマンションが彼の部屋の真向かいだったんだよ」

『辞めた』このワードに何を思ったのか、二宮は伺う様な目で智を凝視し、「それじゃあ『PARADOX』のオーナーとはもう…?」と聞いた。「さすがは『真相報道Weekly』のジャーナリストだ。良く調べているな。櫻井さんとはもう別れたよ。だからと言って顧客情報は話せないけどね。悪いな」「残念だったなぁ~♪二宮」

さっさと帰れとでも言いたげに手を振る潤を見て、二宮はフフンと鼻で笑うと、去り難そうに必死で踏ん張るノスケの首輪にリードを取り付け、半ば無理矢理に抱いて地面へと下ろした。

「あっそうそう、松本さん。仲良しの長谷川先生だけど、昔の愛人とよりを戻したって噂が出てるよ。確か新宿の高級クラブの店長で、なかなかの美魔女らしい。ところがこのクラブには妙な話があってね。全員外国人の美女揃いだけど、通常のクラブ営業の他に売春の斡旋を裏でやってんじゃないかって言われてる。

ま、証拠もないんで単なる噂レベルだけど、この裏営業に長谷川先生がもし力を貸している…。な~んて事があるとすれば…?もしそれがこのクラブを摘発する妨げになっているとすれば…?ヤバい匂いがプンプンするよな♪因みに店名は『Ange Noail』フランス語で『黒天使』って意味らしいぜ」

潤と智はハッとして顔を見合せ、智はおもむろに立ち上がると、したり顔の二宮に歩み寄り、その肩をグッと引き寄せた。「な、何を…♭」慌てる二宮の耳に二言三言囁いた智は、二宮の寝癖だらけの後頭部をパフパフと叩いて「頼んだよ」と微笑んだ。ノスケが尻尾を振って智の足元によじ登ろうとしている。

「分っ…かりました♭そう言う事なら…♭」二宮はややぎこちない動き方でノスケのリードを引っ張りつつ、「またご連絡します」と手を振りながら飄々と立ち去って行った。「何何?どうした?」走り始める智に急いで追い付き、潤が先程の二宮とのやり取りについて聞くと、智は頷いて事の次第を説明した。

「君も気づいたろ?新宿の高級クラブの名前。『Ange Noail』は昨日Ai―Bが言っていた『ゴースト・シールズ』に資金を流した黒幕の通り名だ。無関係だとはとても思えない。もし長谷川先生が、二宮君が言うようにそのクラブの店長とお熱い関係なら、君が命を狙われた理由もその辺にありそうじゃないか?『Ange Noail ~黒天使~』何とも暗示的だろう?

二宮君にはある条件の元でこの高級クラブの取材を頼んでおいた。彼の所属が『真相報道Weekly』なら必ず食いついてくれる筈だ。勿論取材内容は話題の美人クラブとかそんな感じで構わない。僕はね潤。そのクラブの店長と従業員の写真が欲しいんだよ。

もし僕の勘が正しければ、かなりどでかい敵の存在が見えてくる可能性がある。二宮君への交換条件としては『真相報道Weekly』への優先的な情報開示だ。例えば公安警察みたいな極秘部署が裏で始末をつけようとするよりも、思いきってメディアにすっぱ抜かれた方が、引いては長谷川先生の為になるかも知れないだろう?」

確かにその通りである。あえて口には出さないが、恐らく智には潤が公安部に所属している事はとっくに分かっているのだろう。もし長谷川恭一郎が犯罪組織『ゴースト・シールズ』に関わっているのであれば、公安部の決断は間違いなく粛清に傾く。

だが、そうなる前にメディアが大々的に報道すれば、例え社会的地位は失おうとも、長谷川恭一郎は粛清をかろうじて免れるに違いない。「で?智は何が出てくると思ってんの?」「『ゴースト・シールズ』のリーダー。Din―Q…」「えぇっ?!♭」

クラブの名前がAnge Noailだと聞いたときは潤もまさかと思ったが、それが直接『ゴースト・シールズ』と関わっているとはさすがに考えてはいなかった。何故ならば長谷川恭一郎は櫻井と彼の父親の代から親しい間柄だったからだ。

もし長谷川の愛人が『ゴースト・シールズ』のリーダーと繋がっているのなら、長谷川恭一郎はそうとは知らず、櫻井と櫻井の対立している組織との双方と近い関係にあり…いや、ちょっと待て…♭「まさか…♭長谷川恭一郎の古い愛人ってDin―Qだったりする?♭♭」

「勘がいいな潤。僕もそうじゃないかと思ってる。30年前の初期メンバーの1人、もしその頃から翔さんの親父さんと長谷川恭一郎が親しい間柄だったなら、可能性はゼロじゃない。Ai―Bがブルース・リー張りに強い在日中国人なんて言うからてっきり男だと思い込んでいたけれどね。

考えてみろ潤。あの『PARADOX』は元々翔さんの親父さんが設立した本格的なキャバレーだ。長谷川先生はその頃からの常連なんだぞ。ダンサーの中に僕みたいな訓練生が混じっていても何ら不思議じゃない」「何かどえらい事になって来やがったな…♭」

長谷川恭一郎と『ゴースト・シールズ』のリーダー。そして闇の黒幕Ange Noail…。もし智の推測が正しければ潤は長谷川恭一郎と関わったばかりに命を狙われる様になったと言う事だ。一体どんな陰謀が渦巻いてやがるんだ…♭潤はひたひたと近づいて来る危険な犯罪者の足音を漠然と感じていた…。

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今物凄い勢いで脳内のストーリーを組み立てておりますアセアセ色んな要素が絡みに絡みまくってそれをまとめるのに必死でございますよ~滝汗

未だ考えている伏線が2つ程あるのですが、それを導入するともっと複雑になってしまいそうなのでガーンどうしようかと絶賛思案中ですタラー

個人的にはノスケの登場が書いてて和みます照れ書き手の脳にとっても優しいノスケ君でした~ルンルン犬