これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了解下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ
Story Ⅳ
さて、満腹したし、汗も引いた。そろそろ午後の授業が始まる頃だ。昨日夜番だった翔さんは俺の話を聞きながら爆睡していたが、昼休み終了のチャイムが校内に鳴り響くと、それを合図に大欠伸して立ち上がった。「そんじゃ俺もぼちぼち仕事に戻るわ」
翔さんの愛車は原チャリじゃなく、今じゃ軽トラに変わっている。しかも軽トラのくせに滅茶苦茶カスタマイズされた、いわばデコ軽トラって感じの代物だから、何処を走ってても翔さんの車だってソッコーで分かるヤベ~軽トラだ。
メタリックレッドに塗られた車体には太めのタイヤが履かされ、前面部やドアは箱型に改造されて、電飾で縁取りされている。しかも車体前面は羽根を広げた孔雀の柄が大きく描かれていて、ドアには赤のグラデーションカラーをバックに燃え盛る炎の柄が描かれていた。
そして荷台部分にも電飾の縁取りがあり、黒と赤の迷彩柄のコンテナが設置されていた。コンテナの両側面には炎の羽衣をなびかせ、雲に乗って疾走する韋駄天神のイラストと、『韋駄天運送』と言う運送会社の名前が、黒い縁取りの金の筆文字で書かれていて、観音開きのコンテナ後部も同じフォントの文字で『激』『速』『運』『搬』と四ヶ所に書かれていた。
裏門の隅にそのド派手なデコ軽トラを駐車していた翔さんは、俺とニノに手を上げ、特効服の長い上着を翻しながら立ち去ろうとしたが、その時さっき帰ったばかりの『森のどんぐり』のワンボックスカーが、今度は音楽を鳴らさずに校庭へと走り込んで来た。
「翔さんあれ」「あ"ぁ?」振り向いた俺達の元にドアを開けて大慌てで駆け寄って来たのは相葉だ。相葉は俺達に向かってバタバタと手を振りながら切迫した声で叫んだ。「松本君大変だよ!!♭おおちゃんが元店長とヤンキーグループにさらわれた!!♭」「何だって?!!♭智(智君)が?!!♭」
俺と翔さんは同時に声を上げ、翔さんは大急ぎでデコ軽トラの運転席に乗り込みながら、「松潤も来い!長瀬さんの所に行くぞ!!相葉はニノとそっちのワンボックスカーでついて来やがれ!!」と一声吼えてイグニションキーを回した。
「待てよ翔さん!♭智がさらわれたんだぜ!♭のんびりラーメンなんか食ってる場合じゃねぇだろ?!♭」俺が助手席に乗り込み、翔さんに猛抗議すると、翔さんはアクセルを踏み込みながら早口で答えた。
「はぁ?!♭誰がラーメンなんざ食いに行くか!♭智君がヤンキーグループに拉致されたんなら長瀬さんに聞くのが1番速ぇんだよ!♭何処に連れてかれたのか分からねぇのに闇雲に探し回るなぁ時間の無駄ってもんじゃねぇか!♭」
成る程、見掛けによらず翔さんはえれぇ合理的な考ぇ方をする♭確かに長瀬さんなら関東のヤンキー連中をほぼ網羅している筈だ。何せかつては関東一円を仕切ってた暴走族グループ『TOKIO―BOMBER』の幹部だった人だからな。
「そう言えば俺達のラストバトルを長瀬さんにジャッジしてもらうって決めたの翔さんだよな?ニノも不思議がってたけどさ、長瀬さんと智って何か関係あんの?」俺の質問に翔さんはかなり驚いてこっちに視線を向けた。おいおい♭前見て走ってくれ!♭
「松潤お前『鬼麺組朱雀』の常連のくせに知らねぇのか?♭長瀬さんは智君の親代わりだぜ。まぁ、親っつっても年は親子程は離れてねぇんだけどさ、長瀬さんはやんちゃしてた頃、保護司だった智君の親父さんにだいぶ世話になったらしくてな、
ヤンキーから足洗って堅気のラーメン屋始めた時も滅茶苦茶応援して貰って、智君の親父さんには返し切れねぇ恩義があんだとさ。だから智君の親父さんが病気で死んじまった時から、長瀬さんは智君の親代わりとしてずっと面倒看てやってんだよ。
詰まり長瀬さんに気に入られねぇ事には智君に告るなんて絶対ぇ無理っつ~事。だが、今は智君の為にお互い共同戦線を張らねぇとな。多分智君にセクハラしてたクズ店長が雇ったヤンキーグループだたぁ思うが、地元の連中なら智君が長瀬さんの身内のもんだって知ってる筈だから、死んでも手なんか出さねぇ。
なら雇われたなぁ地元のヤンキーじゃねぇ。別の町の連中だ。関東全域を仕切ってた長瀬さんだったら絶対ぇ知ってるし、そう言う奴らがたむろす場所も分かる。詰まり、智君を見つけるにゃ長瀬さんに聞くのが俺らの最短ルートっつ~事よ。
智君が拉致られた場所が分かったら超高速で助けに行くぜ。荷台に木刀積んであっから、ブッ込みかけて半殺しだ。松潤も覚悟しろや。分かったな?」「ったり前ぇだろ?智に何かしやがったらあのクソ店長も群れるヤンキーもフルボッコにしてやるぜ」
済まねぇ智…♭多分俺のせいだ…♭俺があのクソ店長を嵌めて町から追ん出したから智がチクったって勘違ぇされたに違いねぇ…♭俺は智の身を案じながら、ライオンと子猫の逸話は通用しねぇ場合もあるんだと妙な事を考えていた。
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『鬼麺組朱雀』に到着した俺と翔さんは、昼飯時の混雑が一段落し、夕方の開店までの休店時間に差し掛かろうとしていた所を突撃した。「翔も潤も遅ぇよ♭昼の分はもう売り切れだわ♭」
般若の面と『鬼麺組朱雀』の文字が黒地に白抜きで描かれたTシャツに、魚河岸で着る様な長いビニール製のエプロンを身につけ、カーゴパンツの上から長靴を履いた長瀬さんは、調理場の床にホースで水掛けしながら振り向き、ニヒルな表情で片眉を上げた。
オールバックにとかしつけた黒髪に黒いバンダナ、まばらに伸びた無精髭も、この人のワイルドな男臭さをこれでもかとばかりに引き立てている。ニノに引っ張られ、ヨロヨロと店に入って来た相葉よりも高身長でガタイも良く、キリッとした顔立ちはラーメン屋とは思えない程無駄にイケメンだった。
長瀬さんは俺達の必死な様子を見て、ただ事ではないと即座に悟ったのか、掃除を中断して暖簾を仕舞い、入り口を閉めてから俺達をテーブル席に座らせると、水の入ったグラスを人数分置いた。
一口水を飲んだ翔さんが誰よりも早く口を開き、智が拉致された事を長瀬さんに説明する。思いの外冷静に話を聞いた長瀬さんは小さく頷き、全員に一通り視線を流して聞いた。
「『森のどんぐり』の元店長って相模原(さがみはら)の事だな?あいつは学生時代からタチの悪い野郎だったよ。表向きは人当たりのいい雰囲気なんだが、裏では陰湿なイジメをやっていたり、噂じゃ可愛い下級生を脅して強姦まがいの事もやっていたらしい。
智がバイトする『森のどんぐり』の店長が相模原だと聞いて、俺も心配していたんだ。何せ相模原が目を付ける下級生はいつだって女生徒じゃなく、男子生徒だったからだ。多分あの頃からソッチの趣味があったんだろう。
まぁ、智の場合はノンケの男でも何故か引っ掛かりがちだから、多少特別なんだろうがな。ただ、もし相模原に頼まれて智を拉致ったのが、まともなヤンキーグループなら地元の連中じゃなくても智に乱暴な真似したりはしねぇ。
翔や潤なら分かるかも知れねぇが、どういう訳だか、智には昔っから妙な特殊能力があってな、纏うオーラが無敵なんだよ。別に腕が立つわけでも、弁が立つわけでもないんだが、何つ~のか、たっぷりとフリルのついたマイナスイオン製の最強戦闘スーツを身につけてる感じ?
硬いんだかやらかいんだか良く分からねぇけど、相手の闘争心を根こそぎ引っこ抜いて秒速で腑抜けにする恐っそろしい武器が搭載されてる的な?そんな戦闘スーツで智は無意識に身を守ってる。
だからヤンキーとか極道とか、そう言った荒くれ者は智に接するとたちまち戦闘意欲を失っちまって、まるで保護者みてぇな気持ちになっちまうんだ」何つ~分りやすい説明だろう♭長瀬さんの智評に俺は思わず何度も頷いた。
「ただ…相手が相模原みたいな変態だとすこぶる厄介だ。確か智が拉致られた時、現場を見たのは君だったな?」長瀬さんは相葉に顔を向け、「どんな感じのヤンキーグループだったか、何か特徴みたいのを覚えてねぇか?」と聞いた。相葉はちょっとビビりながら、それでもはっきりとした口調で答える。
「それはもう、はっきりと覚えてます♭僕らが移動販売を終えて店に帰ったら、表の駐車場に車が3台位止まっていたんですよ♭
おおちゃんが先に降りて、僕は従業員専用の駐車場に移動販売車を停めようと、ハンドルを切った瞬間でした♭その派手な車の中から更に派手な…♭
そう、確かオレンジ色のお揃いの上着を羽織った5、6人のヤンキーが、相模原店長と一緒に飛び出して来て、店の裏口に歩いて行くおおちゃんを捕まえると、そのまま車の中に引きずり込んで直ぐに走り出してしまって…♭
僕も慌てて追いかけたんですけど間に合わなくて…♭警察を呼ぼうかとも思ったんですけど、もし身代金目的の誘拐とかだったら、警察に知られた時点でおおちゃんの命が危ないかも知れないって…♭それで前に相談に乗って貰った松本君に…♭
僕はヤンキーの事にそれほど詳しくはありませんが、オレンジの長い上着とか、派手な車とか、こちらの櫻井さんみたいな感じだったので多分相模原店長からお金でも貰って雇われたヤンキーグループじゃないかと…♭
とにかく派手な車でしたよ、3台が3台ともアニメの絵が描いてあって、『聖闘士星矢』とか、『キャプテン翼』とか…そうそう『名探偵コナン』もありましたよ♭」
「相葉さん♭そりゃヤンキーじゃなくてオタクだよ♭オタク♭そ~言うのは痛~い車、略して『イタ車』っつってアニメオタクが乗り回してるキモい車の事だから♭」相葉の説明にソッコーで突っ込んだのはニノだ。どうやら猛毒を吐ける丁度いいカモを見つけたらしい。俺はちょっと相葉が可哀想になった。
「おいこら♭オタクのイタ車と俺の超絶クールなカスタムカーを一緒にすんじゃねぇよ♭」目を据わらせて威嚇する翔さんに相葉は今にも卒倒しそうな程ビビりまくっている。そんな相葉にニノがププッと吹き出した。
「長瀬、それはマズイんちゃうの?ウチのお店の近所にもメイド喫茶とか、地下アイドルのライブハウスとかあるけど、コナンや聖闘士星矢やったら多分『ショタ魂(こん)ゲイ団』の連中やわ。下手なヤンキーよりタチ悪いかも知れへんよ」
そう言っていきなり俺達に声を掛けて来たのは黒いドレスに大判のショールを纏ったやけにゴージャスなおネェさんだった。
ここで謎の人物出現ま、長瀬先輩出て来たし、関西弁だし、ほぼどなたか確定ですけどね~(^^;)))果たして智君は無事なのでしょうか?ヤンキー翔潤ガンバです