これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在する人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ
Story Ⅱ
ウチの学校は校舎の建つ位置の、向かって左側面に天然芝のちょっとした休憩スペースがある。まぁ、休憩スペースっつってもベンチや椅子が置かれている様な、そんなちゃんとしたもんじゃなくって単なるスペースなんだけどさ、
そのスペースの中心には桜の大木が植えられていて、シーズンになるとすげ~綺麗だから、生徒達は自然とそこで休憩したり、弁当食ったりしてくつろいでるんで、いつの間にかそこが憩いの広場みたくなってんだ。
俺が駆けつけると、その休憩スペースを我が物顔で陣取っている白い特効服の背中が見えた。吠えるライオンの柄と『熱血夜露死苦』って文字が真っ赤な刺繍で描かれている分かりやすいヤンキーが、エンペラーこと櫻井翔。いずれ俺がバトルする予定になってる因縁の相手だ。
翔さんの傍らには『森のどんぐり』の紙袋が置かれていて、すでに3つの個別パックが空になっていた。翔さんは顔中から大量の汗を滴らせながら俺をちらっと見ると、これ見よがしに上着を脱ぎ、白のタンクトップ一枚になってムキムキの三角筋を見せつけつつ、4個目の『辛口焼きそばパン』にかぶりついた。
「あ"~~辛ぇぇぇぇ!!♭今日も智君の焼きそばパンはパンチが効いてるぜ~~!!♭」翔さんは口から火を吹きそうな勢いで雄叫びを上げると、2リットルのペットボトルの水をがぶ飲みして、今初めて気づいた様に「あれ?松潤じゃねぇか」とすっとぼけた口を利いた。
しっかしこんだけ大量に発汗していても翔さんの金髪リーゼントは余程ハードなスプレーで固められてんのか、ちっとも乱れる様子がねぇ♭右のこめかみ付近にある傷は中坊の頃に何かどえらい相手と一悶着してやられたんだそうだが、この武勇伝はちょっと怪しいと俺は睨んでる。
そうそう、因みに翔さんの言う智君ってのが、俺の可愛い子猫ちゃんのファーストネーム♪俺と翔さんが影で争っているなんてきっと智は気づいてもいないだろう。今は未だあくまでもパン屋の販売員とその客って立場だからな。だが、そんな他人行儀な関係も近い内に解消される予定♪だって智はいずれ俺の…てか、俺だけの子猫ちゃんになる筈だから♪
「明らかに食い過ぎだろうよ♭」俺は翔さんの隣に座り、自分の『辛口焼きそばパン』にかぶりつく。うぉぉ~♭やっぱ智のパンはすげぇなあ~♭キティちゃんがかめはめ波炸裂させてるみてぇなパンだぜ♭一口食っただけで全身の毛穴全開だわ♭
俺は学食に続く渡り廊下の自販機で買ったミネラルウォーターを、あっという間に飲み干すと、2本目のミネラルウォーターのキャップを開けた。ニノに言われた通り、辛いもんは確かにそんな得意じゃねぇ。
だが、俺の智への愛はこのパンに挟まった焼きそば以上に赤々と燃え盛ってんだ。「ワハハ!♪後輩君はたった2個か!♪未だ未だ修行が足りねぇな!♪」翔さんは勝ち誇った様に笑うと、「俺5個~~!♪♪」と既に食べ終えた4個の個別パックを自慢気に見せつけた。
「違ぇ~だろうがよ♭あんたが殆ど買っちまってたから俺の分が2個しか残ってなかったんだろ?♭っつ~かもう卒業してんのに毎日来てんじゃねぇよ♭」「あぁ?卒業生が来ちゃいけねぇって学則でもあんのかこら?」
俺に顔を寄せ、翔さんはやたらと睨みを利かせて来るが、まるでフルマラソンでも走ったのかと思う程の大量発汗でテカりまくるデコが何気にウケる。ま、そー言う俺も大量発汗してっから近距離で睨み合ってると滅茶苦茶暑苦しいケドな♭
「あ~嫌だ嫌だ♭濃い顔とゴリゴリがくっついて大汗かいてる図なんて地球温暖化の原因になるよ♭」そんな猛毒を吐きながら、ニノがコーンマヨネーズパンをかじりつつこっちにやって来る。
あ、分かってっと思うけど、ニノってのはニックネームで名前は二宮和也。筋金入りのゲーマーで、口を開けばエッジの利いた毒を吐くちょいクレバーなヤンキーだ。「そんなに大野さんが好きならコソコソとにらめっこなんかしてねぇで二人で告(こく)ればいいじゃん」
ったく♭ニノの奴、他人事だと思って簡単に言ってくれるぜ。「お前ぇよ~。男と男の一世一代の勝負をナメてんじゃねぇ。これは最終対決に向けての予選大会なんだぜ」
そう、それこそ俺が翔さんと日々バトルする最大の理由だ。卒業式の最終決戦に向けて、俺と翔さんは現在予選の真っ只中っつ~訳。勿論智の焼いた『辛口焼きそばパン』の売上高を伸ばし、智のアイデアを正規メニューとして採用させてやりたいってのが大前提だが、それとは別に智の『辛口焼きそばパン』を相手より多く買って食うっつ~予選大会も絶賛開催中だ。
この予選は俺と翔さんが食った『辛口焼きそばパン』の合計数の多い方が勝ちとなり、負けた方に最終対決でハンデを与える事が出来る仕組みだ。最終決戦はこの風嵐高校のOBが経営している町のラーメン店『鬼麺組朱雀(きめんぐみすざく)』で行う予定になっている。
この『鬼麺組朱雀』の『溶岩拉麺(ようがんらーめん)』っつ~ラーメンがハンパねぇ。辛さレベルは1~5まであり、勝負のネタは勿論辛さレベル5の『溶岩拉麺レベル5』だ。
『溶岩拉麺』は激辛マニアが通いつめる程人気の旨辛ラーメンだが、そんな激辛マニアをもってしても『溶岩拉麺レベル5』はかなり手強いらしく、今まで完食出来た奴は町内でも1人しかいねぇらしい。そんな激烈な『溶岩拉麺レベル5』を完食、若しくは1秒でも早く食い終えた方がこの大勝負を制し、智に告る権利を獲得する。
だが今やってる予選大会で敗退しちまうと、食い負けた『辛口焼きそばパン』の個数分がハンデとして『溶岩拉麺レベル5』の辛さレベルに加算されちまう♭これは『鬼麺組朱雀』の店長が考えた鬼ハンデだ。
ただでさえ手強い『溶岩拉麺レベル5』に更に辛味が足されるなんて激ヤバだろ?♭だからこそ俺と翔さんは『森のどんぐり』の移動販売車を昼時に待ち、1個でも多くの『辛口焼きそばパン』を食らうべく奮闘しまくってるっつ~訳。
だってよ、智の焼く『辛口焼きそばパン』はあの移動販売車でしか売ってねぇんだから、昼飯時に翔さんとカチ合うのはある意味しょうがねぇトコなんだけど、今日みたく先に買われちまうとこっちが不利だし、何で来やがるんだって文句の1つも言いたくなんだろ?
俺の説明を聞いたニノは大袈裟にのけぞり、呆れた様に言った。「くっだらねぇ勝負だなぁ~♭っつ~か大野さんの知らない所で、よりにもよってヤンキー男2人が、ただ告る権利を勝ち取る為に『溶岩拉麺レベル5』の早食いするとか怖すぎだろ?♭完全カオスじゃん♭
そもそも肝心な事忘れてねぇ?♭話聞いてるとあなた達の脳内じゃ告る権利獲得=大野さんと付き合えるって図式になってるみてぇに感じるんだけどさ、男が男に告るってそこそこハードル高ぇじゃん?♭大野さんがNG出したら即アウトだろ?♭」
おいおい、この俺様に告られてNGなんか出せる訳ねぇだろ?♪ニノにそう言ってやると、翔さんも便乗して胸を張った。「智君を想う俺の愛に性別なんて関っ係ねぇ!」たちまちニノがきょとんとする。
「えぇっ?♭その一欠片の根拠もねぇ自信はどっから沸いて出んのよ?♭てか、ジェイも翔さんも何がきっかけで大野さんを見初めた訳?♭大体幾らOBとは言え、『鬼麺組朱雀』の長瀬店長が大野さんに告る権利のジャッジをするとか意味分からねぇし♭」
きっかけね♪それを聞くってか?♪「そんなに俺と智の馴れ初めを聞きてぇのか?♪しょうがねぇな~♪」俺が語り始めると、翔さんがすかさず「『俺と』、じゃねぇ♭『俺ら』と智君だ♭」などと口を挟んで来る。ニノが物凄く迷惑そうに項垂れた。
何だかカオスな展開になって参りましたが次回は翔潤バトルの原因となった事件(?)の全容を明らかにしたいと思っています
まあ、勝負と言っても殴り合いみたいな荒々しいものじゃなく、辛い食べ物を早食いすると言う平和な感じがいかにもご陽気なんですがこの短編は最後までこんなユルユルした感じで行くつもりです