これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在の人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し

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13

智が横山と中尊寺公丈に拉致されてから四半刻(しはんとき)程経った頃。廊下に倒れていた涼介を見つけた客の一人が、派出所の中で倒れる知念巡査と数滴の血痕を発見し、慌てて支配人室に駆け込んで来た事で、漸く事件が発覚した。

櫻井支配人がどうにかお客を宥めて、事なきを得たのだが、後に目覚めた知念巡査は大いに取り乱し、死んでお詫びするのだと横山の置き土産だったナイフを振り回したもんだから、松本によってしたたかに怒られ、涼介と共に病院へと運ばれて行った。

おかげで紅薔薇楼は臨時休業となり、櫻井、二宮、松本巡査長の三人はこの緊急事態に対策を練るべく、支配人室に集合した。

「それにしてもまさかあの横山さんが御前様を裏切るなんて…♭私には信じられません♭」支配人室を右往左往しながら、頭を抱える櫻井を見て、二宮が捲し立てる。

「だから言ったじゃないですか♭御前様は闇が深いんですって♭松本さんが命を懸けるなんて、簡単に仰るからいけないんですよ♭よりによって智さんを犠牲にするなんて御前様は何考えてんでしょうかね?♭」「いや待て和♭それじゃあ何か?♭横山さんと公丈に智君を拉致させたのは御前様だって言うのか?♭」

混乱しまくる二人に、一人だけ冷静だった松本が意見を述べた。「…確かに…。もしかしたら二宮さんの言う通りかも知れません…♭知念君が聞いた伝言によると、横山はわざと顔を晒し、ご丁寧に嶺岡邸の見取り図を置いて行った…。しかも相葉家のお宝のありかまで喋ったらしいじゃないですか。

それに涼介君を撃とうとした公丈を殴り倒して止めている…。どうやら座敷に落ちている血痕は中尊寺公丈の鼻血らしい。これは公丈が押し込みを働いた動かぬ証拠になります。

公丈を庇いだてする者も今は誰もいませんから、これで中尊寺公丈は確実に逮捕出来る。横山と言う人が取った一連の動きは、一見敵方に寝返っている様に見えますが、その実こちらに有利な手掛かりをたくさん残してくれています。

恐らくは嶺岡の懐に入り、内情を調べて嶺岡の悪事に繋がる証拠を探すのが役目…。横山さんは相葉公爵の隠密ではないでしょうか?相葉公爵は私を試しているのですよ。

本当にサトシや紅薔薇楼の為に命を懸けられるのかどうか…。サトシの一生を預けるのに私が真実ふさわしい男なのかどうかをね…。相葉公爵は私に言っている。サトシを守る為に見事その命、散らせてみせよと…。

もし私がサトシを助けに行かなかった時は横山と言う人が、サトシを救い出す手筈になっているのでしょう。だが、さしもの公爵も読みが甘かった。嶺岡喜三郎はサトシの命を狙っているが、公丈とその一派は目的が違う事を相葉公爵は多分知らない…。

中尊寺公丈と二人の手下はサトシを嶺岡に差し出す前に、散々に弄ぶつもりなんだ。私は嶺岡よりもむしろそっちの方が心配なんです。例え命は助かってもサトシの心に大きな傷が残ってしまう。だから…行きます」

松本は櫻井と二宮に一礼すると、「知念君の事、頼みます」と言い残し、その場を立ち去って行った。「…松本さん行っちゃいましたよ…♭止めなくていいんですか?♭」松本の背中を見送りながら、二宮が心配気に言った。

「…無理だよ和…。あの人の眼はもう覚悟を決めていた…。恐らく、御前様に意見をしようと考えていた時から松本さんは何らかの危険な対価を予測していたのだろう…気安くなんてない。きっと我々が考えているよりもずっと真剣に命を懸けると言ったんだ、あの人は…」

「翔さん……」「…うん……どうか無事でいて欲しいと思う…。例えあの正義感が智君の為だけではないとしても…」櫻井はしみじみと呟き、二宮に向き直ると、その肩を励ますようにポンと叩いて強く頷いた。


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松本巡査長は一旦東京警視庁に戻り、退職願いをしたためると、それを刑事部長に提出した。紅薔薇楼の派出所に務め始めたばかりだったので、刑事部長からは理由を問いただされるものと予測していたが、刑事部長は何も言わずにすんなりと松本の退職願いを受け取った。

恐らくは相葉公爵から何らかの働きかけがあったのだろう。これで松本の推測はほぼ裏付けられたも同然だった。相葉公爵が一体どのような斬新な計画を立てているのかは予想もつかないが、松本がどう動こうが、後の始末は公爵が完璧につけてくれるだろう。そう思うと多少心強かった。

警察官で無くなった松本はもう一般人である。これで同僚には迷惑を掛けずに行動を起こせる状況になった訳だ。責任を取るのは自分一人でいい。松本は警察官舎の自宅に帰り、長い間箪笥の奥に封印していた物を取り出した。

それは松本家に代々伝わる家宝である。使った事は無いが、手入れを欠かした事など一度もない、一振りの日本刀だった。

先祖代々警察の家系であった松本家はその昔、名奉行と誉れの高い大岡越前守忠相(おおおかえちぜんのかみただすけ)直属の与力だったらしい。何でも曾祖父の倉から家系図が発見され、この日本刀が一緒に見つかったのだそうである。

名刀正宗。松本の先祖だった与力の功績を称えられ、大岡越前から下賜されたと言われているそれは見事な業物であった。曾祖父から祖父へ、祖父から父へ、そして松本が警視庁の巡査長に階級を上げた折りに父から贈られた物である。

その父も今は亡く、本来ならこの名刀は松本が次の世代に引き継がなくてはならないのだが、それはもう叶わぬだろう。ならばせめて最後はこの名刀と共に派手に散ってやろうと、松本元、巡査長は心に決めていた。

官舎の風呂場で水懲りを済ませ、松本は白い着物と袴の白装束に身を包み、紫布のたすき掛けをする。嶺岡喜三郎は財界の大物だ。そこに松本のような民間人が乗り込んで行くのだから、世が世ならその場で手討ちにされても文句の言えない状況である。それゆえの白(死に)装束であった。

官舎の部屋に置いてある神棚に参拝し、御神酒を口に含んだ松本は、正宗の刃(やいば)にそれを吹き付け、白絹で丁寧に拭った。松本家代々の家宝は危険な程の輝きを刃先に湛え、出陣の時を待っている様に見えた。

「待っていろサトシ…。必ず助けてやる……」畏れなど微塵も感じない。松本の胸中は信じられない程に冴えざえと晴れやかだった。人は死を目前にした時、真実の心が見えると言うが、それはどうやら本当らしい。

松本の心はその時愚直なまでに一直線にサトシへと向かっていた。あの猫の様な可愛い人を…。大輪の華の様に優美に踊る人を…。殺させはしない…!絶対に…!

時刻は丁度夕暮れ時である。松本は腰に名刀正宗を携え、呼びつけていた馬車に乗って嶺岡邸へと向かって行った。


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その頃、嶺岡邸では、長い廊下の果てにある奥の和室で、着物を 剥 ぎ 取られ、白藍色の襦袢 一枚 にされて、華奢な身体を 縄 で 縛られた智が、取り囲む男達を嫌悪感一杯で睨みつけていた。

流石は財産家だけあって床の間にある掛け軸や古伊万里の壺も、座敷に置かれた全ての調度品が、贅を尽くした高価な代物である。だが、柱の造りや壁土にまで金を施してある辺りが成金的でどうも品がない。

そこに居並ぶ中尊寺公丈始め二人の手下共も、嫌なニヤニヤ笑いを顔に張り付けて、何とも下世話な雰囲気だった。始めに口火を切ったのは公丈である。

「いい格好だな智…。 淫 売 らしい姿になったじゃないか…。そう思わないか?伝治」公丈の声に返事をしたのは頭の薄い、貧相で卑屈そうな痩せぎすの小男だった。「なかなかそそりますね公丈さん…。この状況で強気に睨んでいる顔がまた…」

「フフン、確かにな…。今まで金と引き換えに何人の 男 を 咥 え込ん だのかは知らねぇが、その割にゃ出来がいいよなぁ…。そう思うだろう?源三」

溶けたなまずの様なにやけ顔の、生白い商人風の男が揉み手をして頷き、ジロジロと智を眺め回した。全体的に水膨れた感じで、喋り方もベシャベシャと水っぽく、何だか薄気味が悪い。

「襦袢から 覗 く 脚 がまたいいですねぇ…。嬲 り 殺しにするのはちょっと惜しい気も致しますが…」「だから惜しくなくなるまでたっぷりと可愛がってやりゃいいんだよ…。その内 よ が り声しか出せなくなるだろうぜ…」

胸糞の悪くなるような下衆な会話だった。男達の背後では、腕を組んだ横山が険しい顔つきをしてその様子を眺めていた。黒いシャツにギンガムチェックのベストとスラックス。黒いハンチング帽を小粋に被って、一人だけ異質な感じである。

智は横山に向かって一言「今頃雅紀が泣いてるよ♭裏切り者め…♭」と吐き捨ててから、男達をキッと睨み付けた。

「懲りない連中だね!前にも言ったろ?!おれは高いんだ!こちとらただで ヤ ろうなんて太ぇ連中に 股 開 く 程落ちぶれちゃいねぇのさ!おれに指一本でも触ってみやがれ、舌噛んで死 んでやる!てめらは 死 体 相手にでもせっせと 腰 振って楽しみやがれ!」

相変わらず胸のすく様な啖呵である。公丈がワナワナと青筋を立て、伝治と源三は嬉しそうに震えあがって「その鉄火肌がたまらない!」と更にニヤついた。

傍観していた横山がほう?と言う風に眉を上げ、「死 ん で 貰ろたら困りますがな…」と関西訛りで小さく呟き、素早く智に近づくと、おもむろにその口を手の平で塞いだ。

「可愛い顔してカッコええ事言うやないか?せやけどあんまりイキがらん方がエエで」強い力で抱きすくめられ、口を塞がれて成す術もなくもがく智の耳元で、横山は誰にも聞こえない様な静かな声で囁いた。

「気色悪いやろけどちょっとだけ辛抱してんか?智君…。もうすぐ松本さんが助けに来はるさかい…。俺味方やから…」それを聞いてハッとした智は全てを悟ったのか、嘘みたいにおとなしくなった。

「さすがは横山さん。一体どんな魔法の言葉をこいつに言ったんだ?」公丈が感心したように声を掛ける。「なぁに。自分の立場をちゃんと分からせてやっただけや。智も阿呆やないからな、弁える術くらいは心得とるらしい」

智の表情にある程度の覚悟を見て取った横山は祈る様な気持ちで襖の外に視線を向けた。頼んまっせ…松本さん……。

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遅くなりましたアセアセいやはや調子悪くてねぇ~ショック私の数多い持病の一つに気管支喘息があるんですが、この気管支喘息が何だか酷くって、毎日ぜーぜー言っておりますΣ( ̄ロ ̄lll)

本当は縛られ智君の挿し絵もあったんですが、下書きの段階で作業が滞っておりますものですから、それは次回に持ち越させて頂きますね(^_^)

さて、平成から令和へと時代も変わり、昭和、平成、令和と、三つの時代の移り変わりを生きてきたなんて何だか感慨深い思いが致しますけれど、(書いてる話は大正時代だしね~♭)

それにしても松本巡査長の先祖があの大岡忠相と関係があったとはビックリですね~♪大岡忠相と言えば現在は東山パイセンが演じておられますし、嶺岡邸乗り込み場面ではどうしても潤君に日本刀を持たせかったブロ主の妄想力の結果でございますてへぺろ

そして、令和の時代も精一杯嵐君達や大ちゃんを応援し、潤智推しで行きたいなぁと思っております♪こげな拙いお話ブログではありすが、これからもどうぞ宜しくお願い致しますm(__)m