これは潤智妄想物語です。腐要素有。潤智好き、大ちゃん右なら大丈夫な雑食の方向き。勿論、完全なフィクションですので、登場人物、団体等、実在の人物とは無関係である事をご了承下さい。尚、妄想ですので苦情は受け付けません。以上を踏まえてからどうぞ下差し

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三人の男に取り囲まれた智は、それぞれの顔を一通り眺めやると、さして怯えた様子も見せずに、冷たい微笑を浮かべた。「三人か…ちょっときついなぁ…。面を貸すって事は出張になるんだよね?出張だと割り増しだよ。あんたら金持ってんの?おれ、すごく高いけど…」

その言い草にムッとしたのか、中尊寺公丈は眉をそびやかしてふんぞり返ると、「ふ、ふざけるな!お前の様な下賤な 淫 売 に一銭足りとも払ってやるつもりなどないわ!」と傲岸不遜に怒鳴り付けた。

だが智とて負けてはいない。金も払わぬ者に媚びを売る程、智はしおらしくないのである。三人の男を向こうに張り、智は良く通る声で威勢良く言い放った。

「ふざけてんのはどっちだよ!ここじゃその 淫 売 を金持った御大尽がこぞって買うんだ!おれの値は最低でも百伍拾!出張なら上乗せで二百だぜ!金も無ぇサンピンが野暮な戯れ言ほざいてんじゃねぇ!」

何とも胸のすく様な啖呵を切られ、公丈の両隣に控える手下は少し怯んでヒューと口笛を吹いた。だが、公丈は益々憤怒して智を睨み付け、額に青筋を立ててワナワナと震えた。

「き…♭貴様ぁ…!♭俺を誰だと思っている…!♭相葉一族の名をよもや知らぬとは言わせないぞ!♭」それを言われて初めて合点がいったのか、智は大して興味無さげに「あぁ~」と呟くと、面倒臭そうに言った。

「あんた前におれのケツ追い回してた相葉一族のはみ出し者だろ?確か翔君に見っかって尻尾巻いて逃げてったよな?悪いけどもう名前も覚えちゃいねぇよ」

あれほど何度も誘いを掛けていたにも関わらず、自分の事を全く覚えていなかった智に、公丈は顔を真っ赤にして怒り狂った。

「おのれぇ!♭下等な 淫 売 ごときが生意気な!!♭二度とそんな口が利けぬ様、嬲り殺してくれるわ!!♭」

公丈は喚き散らして智の襟首に掴み掛かろうとした。その時、首筋に冷やりとした感触を覚えた公丈は全身を強張らせてそのまま固まり、おずおずと振り向いた。「…ウチの大事な稼ぎ頭にそう乱暴な事をされては困りますねぇ…。中尊寺さん…」

いつの間に駆けつけて来たのか、松本巡査長が公丈の首に当てたサーベルをカチャリと鳴らし、低い声で脅しを掛けた。

「ここには会員様以外入館出来ないと先程も申し上げた筈ですが、何故お帰りになられていらっしゃらないのですか…?これ以上不法に居座るのであればここの流儀で処罰させて頂くより仕方ありませんな…」

大きな瞳を眼光鋭くいからせて、松本は公丈の首筋にサーベルの刃先を当てたまま、ゆっくりと移動すると、智を背後にして堂々と立ちはだかった。

「ク…♭クソっ…♭」公丈は悔しそうに歯噛みしたが、やがて「お、覚えていろ!!♭」と、定番の捨て台詞を吐き出し、手下と共に立ち去って行った。

「またあんたか。いつも何処からともなく現れるな」智の皮肉に松本は相も変わらぬムッツリとした顔つきで「いい啖呵だったなサトシ」と褒めると、サーベルを鞘に納めてから、その頬をパシンとはたいた。

「何しやがる!♭顔は商売道具だぜ!♭」頬を押さえた智が松本に歯向かって来る。力は加減したつもりだったが、そのふっくらとした頬にはほんのり赤く手形が付き、少し痛々しげに見えた。

「お前が馬鹿だからだ。威勢がいいのは結構だが、相手を見てから物を言え。あいつらはお前をさらって殺そうとしている悪党共だぞ。無鉄砲も大概にしろ」にこりともせず事務的に諭す松本の態度に、智は少しイラついて更に反発する。

「説教なんて聞きたくないね。どうせあんただって腹の底じゃおれの事汚ぇとか思ってんだろ?もう放っといてくれよ」すると松本は怪訝な表情を浮かべ、「汚い?お前の何処が?」と尋ねた。

「可笑しな事を言う奴だ。それだけ美しくて何が不満なんだ?」その言い方は本当に不思議そうで、智の方が意外に思う程だった。松本の手がスッと上がる。思わず首をすくめる智の頬に、松本の掌が優しく添えられた。

「ぶったりして悪かったなサトシ。もう痛くないか?」心なしか穏やかに言った松本は、智の持つラムネの瓶に目を止めると、おもむろにそれを奪い取り、そのままグビグビと飲みほした。

「えっ…♭」びっくりして目を見張る智に、松本はどうしたとでも言いたげに顔を傾けると、まるで当然のごとき調子で、空になったラムネの瓶を軽く振った。

「お前の威勢のいい声を聞いて誰かに絡まれていると思ったのでな。慌てて駆けつけたから喉が渇いた。もう飲まないのならいいだろう?」「いや♭そうじゃなくて…♭」

智の様な商売の者には男女問わずに、とある決まりがあった。金と引き換えに売るものは身体だけ、決して 接 吻 はしないと言う決まりである。遊郭などでも昔から唇を許すのは本当に愛した男だけ。

身体を商売にして来た遊女達はそうやってただの客と本気の男を区別していたのだ。(諸説有り)なので、 接 吻 はこの紅薔薇楼で働く青年達に取っても、少し特別な行為であった。

智が飲みかけたラムネを全部飲んでしまった松本の行動は、例え間接的であっても 接 吻 に近い意味合いがあり、故に智を大いに驚愕させたのである。

恐らく松本はそんな決まりなど知らないのだろう。だが、智にしてみれば、ごくごく自然に取られた松本のそんな行為が、まるで「お前は決して汚れてなどいない」とはっきり断言された様に見えて、胸の中がほんわりと暖かくなった様な気がした。

まさか…まさか…だよな……?♭母の友紀子は智に遺伝した特殊な身体の事を心から悔やんでいた。今際(いまわ)の際まで智の身の上を心配し、すまない、すまない、と泣いていた。

でも、母はいつかは本物の愛に出会えるとも言っていたのだ。母の場合、それは父の鷹智(たかとも)と、相葉雅暁公爵だったらしい。それが運命の相手ならば必ず分かるのだと母は言った。それは心の奥に何か暖かい物が広がって行く様なそんな感覚なのだと…。

身請けの話は今までに何度もあった。中には資産家で優しい男も居た。斑目少尉や鳥飼子爵もそんな男達の一人だ。だが、斑目少尉の資産家は偽りで、鳥飼子爵は智の春水船の身体に、ただ夢中になっただけだった。それが証拠に二人と褥を共にしても、高ぶるのは身体ばかりで智の心はちっとも高ぶらなかった。

その内智は段々と悟るようになったのだ。母は女だったから本気で慈しんでくれる相手に出会う事が出来たのだろうと…。男である智はどう転んだってまともな相手と愛し合うなど無理なのだ。それならそれでいいと思った。

この身体が金に変わる間は客を取って欲を解放すればいい。 淫 気 は否が応でも沸いて来る。智の場合はかなり頻繁に…。しかも春水船の身体は受け身の立場でないと解放されないのだ。そう言う意味では相葉公爵が用意してくれたこの場所はまさしく智の為にあると言えるのだろう。

幸い、智の特殊は身体は他の子の様に痛散膏(つうさんこう)などの痛みを和らげる塗り薬を使用する必要がない。これは有難い事であった。自分には運命の相手など存在しない。ならばせいぜい金を儲けて 快 楽 を楽しんでやるさと、智は半ばやけっぱちの様な気持ちで客を取っていたのだ。

なのに今更何故こんな感覚を覚えるのだろう。しかも、自分を愛してくれるとはとても思えない様な松本巡査長に対して…。「…そうだサトシ。先程お前の舞台を見せて貰ったぞ。俺は舞いなどは全くの素人だが、そんな俺にでもお前の踊りは本当に見事だと思えた。お前には芸事の才能がある」

何も言えずにぼんやりする智の頭を、松本はくしゃりと撫で、「まさかお前の方が俺より三つも歳上だとは…。こうして見ると嘘みたいだな…」と、初めて柔和に微笑んだ。

「…は、話してやってもいいよ…♭あんたが知りたがってた事…♭」急に素直になった智は、少し恥ずかしそうにうつむくと、松本の手を引きながら、本館とは別の方角へスタスタと歩き始めた。




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松本巡査長をにわかに意識し始めるサトシ君でした♪そう言えば大ちゃんキャラが先に潤君キャラを意識する展開って初めて書いたかもショボーン

それにしても今回の挿し絵は苦戦した~アセアセアセアセ松本巡査長の角度がもう難しくって…笑い泣き次回は相葉ちゃんキャラの御前様がようやく初登場しそうですウインク