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タイトル/五郎治殿御始末

著者/浅田次郎 



短編集なのに、1話いちわが深い。
江戸時代と明治時代の狭間を生きた男の哀愁が漂う。
江戸時代には、主君のために命をかけ戦い、人生を捧げてきた武士たちが、
明治時代になった途端、お役御免とは何ともやるせなさが残る。

新時代に対して適応できず、もがき悲しみ苦しみの中で生きた武士たちは
一体最後に、何を思い、何を選択するのか。

自分たちが築いてきた時代に対して、自分の人生が終わろうとするとき
何かのけじめをつけようとする。
そんな男気溢れる、模様を描いたこの作品は、是非とも今の時代に読まれるべきではないだろうか。

「自分の人生にどういう始末をつけるか」が男としての見せ所だろう。




タイトル/五郎治殿御始末 著者/浅田次郎 発行所/中央公論社

http://www.amazon.co.jp/%E4%BA%94%E9%83%8E%E6%B2%BB%E6%AE%BF%E5%BE%A1%E5%A7%8B%E6%9C%AB-%E4%B8%AD%E5%85%AC%E6%96%87%E5%BA%AB-%E6%B5%85%E7%94%B0-%E6%AC%A1%E9%83%8E/dp/4122046416/ref=sr_1_19?ie=UTF8&s=books&qid=1232284941&sr=8-19


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タイトル/急に売れ始めるにはワケがある

著者/マルコム・グラッドウェル  訳/高橋啓




著者は、モノが急速に世の中に広がるメカニズムについて、「少数の法則」・「粘り」・「背景」の3つの重要な要素を挙げている。

まず、ある事象が感染的に広がるには少数の者による口コミが重要な役割を果たしているという。そして、この少数の者がメイヴン、コネクター、セールスマンである。彼らが少数の者であるというのは、ある素質を持った特定の者であるという意味においてである。誰もが持ち得る素質ではなく、彼らしか持っていない素質がある。

経済学では80:20の法則というものがある。
全体の20%の人が全体の80%の仕事をする。ビールの消費量は20%の人が全体の80%を消費する。といったものである。メイヴン、コネクター、セールスマンもこの20%に当たる少数の人たちである。

では、それぞれ、メイヴン、コネクター、セールスマンとはどのような人たちのことなのか?

メイヴンとはいわゆる情報通で知識が豊富な人である。そして、その情報を利害関係なく人の役に立てようという人たちである。

コネクターとはメイヴンの持つ情報をを感染させる媒介者である。コネクターは社交性が高く、顔が広い。さらに、ある特定の分野にだけ顔が広い訳ではなく、様々な分野に顔が広いのである。そして、その分野、世界を股にかけ活動をしている人である。

セールスマンは相手を説得する能力が優れている人である。自分の感情を相手に感染させることの出来る人である。そして、そういう人は自分の感情や気分を上手に表現することが出来るのである。

また、相手を説得させるには、語られる内容よりもそれを取り巻く状況の方が重要になる場合がある。
さらに、一番重要なことは、説得というものが自分たちの与り知らないところで作用するというところである。


世の中で起こる事象は、ある少数のきわめて特殊な人々を介する口コミ伝染から始まっている。

その人々とはメイヴン、コネクター、セールスマンなのである。


ある事象を感染的に広める重要な要素の粘りとは、相手に対して記憶に残るメッセージを伝えるということである。
メッセージに強い印象を持たせることが重要である。

そして、粘りのあるメッセージとはどういったものか?

メッセージの本質は変えず、余白に工夫を凝らす

1.ゲーム性を持たせる(金の箱)(広告に目を止まらせ→覚えさせ→行動に移させる)
2.さりげなく、親切な情報をプラスする
3.繰り返す


第3の要素としての背景の力は、感染はそれが起こる時と場所の条件と状態に敏感に反応するということである。
要するに、背景の力とは特殊な環境論であり、環境が人々に及ぼす影響は些細なことであっても結果として大きな違いをもたらすものである。人は無意識の内に自分のおく環境に左右されて行動をしているのである。


この著書のすばらしいところは、検証例をただ載せているだけでなく、数ある検証例の中から共通項を見いだし、
物事の本質、メカニズムを解明したとこにあると思う。
この本は、職種に限らず、ビジネスをする上でとても参考になる書物だと思う。



タイトル/急に売れ始めるにはワケがある 著者/マルコム・グラッドウェル  訳/高橋啓 
発行所/ソフトバンククリエイティブ

http://www.amazon.co.jp/%E6%80%A5%E3%81%AB%E5%A3%B2%E3%82%8C%E5%A7%8B%E3%82%81%E3%82%8B%E3%81%AB%E3%81%AF%E3%83%AF%E3%82%B1%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B-%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E7%90%86%E8%AB%96%E3%81%8C%E6%98%8E%E3%82%89%E3%81%8B%E3%81%AB%E3%81%99%E3%82%8B%E5%8F%A3%E3%82%B3%E3%83%9F%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87-SB%E6%96%87%E5%BA%AB-%E3%82%AF-2-1/dp/4797338121/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1231737822&sr=8-1




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タイトル/凍りのくじら

著者/辻村深月




辻村深月の物語は何故こんなにも共感をしてしまうのだろう。

自分の気持ちを代弁してくれているかのようだ。

心の中で思っているけど、なかなか声を大にして言えないことを

辻村深月は言ってくれる。

そして、辻村深月の文章は優しい。

すべてを許してくれるかのように、受け止めてくれるかのような優しい語り口調。

切なくもあり、どこか心温まるのはその所為だろうか。



どんな場所でも、一応は馴染める。周囲の人に話を合わせてそつなく対応できる。

その反面、誰にも何にも執着しない。

冷めている。

結局、どこにも自分の居場所はない。

本当は誰よりも必要とし、必要とされたいのに。周りの人間をバカにして自分は違うと上から見下ろす。


自分の心の拠りどころを本に求めてしまう。

理帆子は藤子先生の描くドラえもんの世界に人生哲学なるものを見いだした。

自分にとって、ただのマンガでしかなかったドラえもんがすごく深いだったことを思い知らされる。


ドラえもんを全巻読みたくなった。自分もドラえもんから学ぶことがあるのではないかと思った。

若尾大紀はどうしようもないダメ男だが、自分と重なる部分があって読んでいて辛かった。

言い訳ばかりして、人生から逃げている。

これには、ただただ反省。



『あなたの描く光はどうしてそんなに強くて美しいんでしょう』

『暗い海の底や、遥か彼方の空の宇宙を照らす必要があるから』

『そして、その光を私は浴びたことがあるから』

それは、父親が照らしてくれた『テキオー灯』の光。

もう、理帆子は Sukosi Fuzai ではなくなった。






凍りのくじら 著者/辻村深月 発行所/株式会社 講談社

http://www.amazon.co.jp/%E5%87%8D%E3%82%8A%E3%81%AE%E3%81%8F%E3%81%98%E3%82%89-%E8%AC%9B%E8%AB%87%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E8%BE%BB%E6%9D%91-%E6%B7%B1%E6%9C%88/dp/4062762005/ref=sr_1_10?ie=UTF8&s=books&qid=1230754641&sr=8-10