ビルマ放浪記

ビルマ放浪記

2011年夏、ビルマの地に着任しました。
私は、ミャンマー女子サッカー代表監督として
「さまざまなエピソード」
「文化の違いや環境の違いで起きた出来事」
「モダンフットボールを選手に伝えて行く過程」
などを細かく書いていく『放浪記』です。

Amebaでブログを始めよう!

日本を見習う。求められる独自スタイルの模索(もさく)...その3

メキシコ女子もスタイル云々は、これからの段階で模索し続けています。強豪国との差、諸外国との差、例えば日本女子(なでしこ)は、フィジカル的な差をカバーすべく、「スピーディなボールポゼッション」で相手チームを圧倒するサッカーが持ち味です。勿論、日本女子の組織的なサッカーが機能するためには、身体能力が高く、戦術をよく理解した技術の高い選手が必要です。この様な確固たるスタイルを作るために育成システム(プログラム)が必要なのです。

その様なことを考えてミャンマー女子育成プログラムは、作られてるのでしょうか?また、ミャンマー人独特の「生活」「環境」がサッカーの世界で課題となることがおおいです。

その課題を紐解くためにもミャンマー人の生活とスポーツのあり方を考えて見ましょう。

一つは、未だにミャンマーは、「草履文化」であるために「サッカーシューズ」を長く履く事が苦手です。また、長い時間履き続けると「足が痺れる」。それは、私たち日本人も通過した問題で「幅広の足」に合う靴が無いことに問題があります。

足の指も外側に体重が掛かるために「中足骨」の障害が多くおきてることも現状にあります。

これは、問題とは別なのですが、陸上競技の練習を見学に行ってビックリした。裸足で走ってる選手が居

ることに驚きを覚えました。私の裸足の選手と言えば「マラソンのアベベ」そして「女子中長距離のゾーラバット」くらいです。コーチに聴いてみたら靴を「履いてる」「履いてない」では、タイムにそれほど差が無いそうです。

二つ目は、股関節が非常に柔らかいことです。

特に前屈の状態は、「そこまで開く」「そこまで曲がる」と言うところまで可動範囲が広いです。しかし、「内側の稼動範囲が狭い」。これは、トイレがミャンマー式なので「ハムストリングス」が非常に柔らかいのだと思います。その為にボールを蹴る時に内側に足を寝せることができないことに欠点があります。ボールを引っ掛け「インスイング」のボールしか蹴れないことが特徴です。

三つ目は、「足首」「股関節」が一定方向にしか稼動しないので、走る時に「蹴り足」が弱く速く走ることができません。

そして足首が硬いので「足の裏」でボールコントロールすることが非常に下手で、ドリブルで一度止めるとボールを動かせないので、簡単に奪われてしまう事も欠点にあります。


100㌫の能力を発揮させる選手を作るためには


それでは、ミャンマー女子選手を100㌫の能力を発揮させるために、どの様な育成プログラムを作らな

ければならないのでしょうか?

私は、ミャンマーに来てこの様なことを思い始めました。メキシコ女子であれば、「その12」で書いたようなことで工夫し、新しい道を切り開いたことを説明したと思います。ここで考えなくてはなりません。

誰が切り開いたか?それは、自国のコーチたちです。外人部隊ではないんです。

ミャンマー女子選手自体の強みは、常にサッカーに囲まれた環境のためより身近な存在であると言うことだと思います。

アジアでは弱小ですが、男子サッカーのテクニックやポゼッション・サッカーを目にして本格的なアイディアを(はぐく)んでいる子供が多いのは強みだと思います。一方でその子供たちを世界と競合できるメソッドがなかったことが問題だと思います。

最近の潮流(ちょうりゅう)を考えるとミャンマー女子の身体能力やフィジカル面の強化が重要な課題になっていると考えられます。更にスピードについては、「技術」「判断力」両方において高める必要があります。

また、育成面で男子に比べると女子代表の課題は多くあります。

特にミャンマー女子に言えることは、継続性が課題です。同じ育成カテゴリーの男子選手はナショナルリーグの所属クラブで週に5回練習して週末にゲームがあります。それだけレベルアップのチャンスに恵まれてるわけです。しかし、女子は同様の環境を持っていない選手が多く、女子代表であれば週6日の集中トレーニング後、自分のチームに戻ればクオリティの高い練習を続けられず、向上のプロセスにストップがかかってしますケースが多くあります。

選手のポテンシャルを高くキープできる環境作りのためにも、早急に女子リーグの設立を構築したいものです。

そして若い選手にサッカーに取り組む姿勢を教える必要があります。サッカーの現場はレクレーションではなく、能力の100㌫を試合で出し切るよう考え方を変えなければなりません。そして本当に基本的なことですが常に向上する、モチベーションを高めるようにして取り組ませなければなりません。集団で戦うことを知り、オプションを多く持てることも気付かせなければなりません。ミャンマー女子に最も大事なことですが、「ボールを持ってから考える」のではなく、「ボールを持つ前から状況を把握しておく」考えを持てる選手に育成年代から指導の仕方を変えて行くことが必要でしょう。世界基準で考えた場合当たり前ですが、ミャンマー女子はこの様なことを言われて指導したことが無いので、早急にミャンマー女子育成年代の「育成プログラムの修正」そして指導者の考え方を統一していく必要があると思います。

3回に渡りメキシコ代表を題材とした取り組みを連載しましたが、本当にアジアで戦えるミャンマー女子代表を作る意味で「育成年代のプログラム作成」を早急に取り組むことを期待します。