『その手の話』


何が流行だとか売れるとか陳列がどうだとか
今度の何曜日に恋人に会うというの


今日の日を過ごせず明日未来ばかり見据えて
君達の将来は何をしているというの


人混み整理券試着室その他誰の顔も持ち上げ
シャツ透けの赤は誰の好みというの


子が親を殺し親が子を殺すあどけない時代に
家電屋はいくら値下げするというの


彼氏彼女愛人皆鼻息を荒らし桜キレイな春に
どれだけの団子が串刺しになったの


運営来客数接客態度商品提供の是非を求めて
一体母親の喪主は誰が務める気なの


食欲が無くなり職歴が増えて面接にも慣れて
お菓子の城暴いた子供達は元気なの


姪を溺愛し姪とのロマンス我慢できない人は
その手の話が舞い込むと媚薬使うの


その手の話が来たらすぐに我先にとなる人は
その手の話の闇に染まり鴉になるの


その手の話が来たらその手の話だけ聞く人は
両手から愛が零れても気付かないの


恋人と別れもせず会おうとすらしない僕らは
一体恋をする資格があったというの


二人でちゃんと話さなきゃいけない時なのに
その手の話が気になる僕は哀れなの

『マシンガントーク』


学園長は少女の死より己の対応に落ち度がないか心を砕いた


壁際に列ぶ歴代骨董品の学園長達は刑事二人を睨みおろした


隙を見てスーツの中身を透かし見た生の学園長は鼻を広げた


まだ若い女警部補に学園長は初めて気が付いた風の顔をした


その夜学園長の娘は街で数万円の値段で身体を叩き売りした


綺麗な月夜に娘を買った獣はとうに名前と住所を売っていた


新しく名前手に入れる者より署長は自分の名前が大事だった


店長はそれに倣って部下よりも上司の名前だけを大事にした


待ち望んだ森の小鳥達は当然店長の名前などは知らなかった


まだ知らない未開発の商品に開発部は眠れない日々を送った


僕達の愛情はいつも永遠のルールに守られたまま眠りついた
『アルイル』


詩してみたい言葉がある

言葉にならない思いがある



星の数ほど人がいる

課長にまたがる秘書がいる

社長に抱かれる部長がいる

嫌味な口調の上司がいる

ドス黒くよれた店長がいる

それを言えない部下がいる

気持ちの分からぬ人がいる

円滑にこなす人がいる

それを妬んだ人がいる

それを支える妻がいる

人妻がブれる闇がある

おあずけにされる正義がある

聞かなくていい噂がある

引き裂かれるタイツがある

力の篭らぬ瞳がある

味のしらけたガムがある

ドラえもんのポケットがある

持ち込まれた価値観がある

安易に産み落とす不道徳がある

生まれ変わりの痛みがある

浴衣の君の宿がある

桃に染まった頬がある

桜にすがった二人がいる




荒く揉まれた波がある

虹を拒んだ空がある

頂きの見えぬ峰がある

つまり生きてくだけの価値がある

だから

何度も会いたい君がいる