元カレはなんだか今週中(金曜日まで)に納品しなきゃいけないものが複数あるらしく、忙しい中、花火のためだけに抜けてきてくれていたらしい。
メチャクチャ暑かったし、しかもこの人はギックリ腰・・・・
本当ならば、私は「ありがとう」と言いたい。
感謝の言葉だけを言いたいのに、実際はそれが言えないでいる。
信じたいけど、信じるということは裏切られたときに大きな痛手をこうむる。
それがわかっているから、常に「疑わなくちゃ」と自分に言い聞かせている節があるのが実態だ。
花火大会が終わって、小島よしおが出てきたけど、私たちは会場をあとにした。
まだコントLIVEがやってるってのに、駅に向かう人はたくさんいた。
何も食べてない私たち・・・
この後、ゆっくりゴハンにでも行くのかなと思いきや・・・・
「おれ会社戻らないと・・・りりはどっちの駅の方がいい」
なんだ・・・
もう帰るのか・・・・
「ほんとはゴハンでも行けたらいいんだけど・・・ごめんね」
「私はどっちの駅からでも帰れるから、大通りでタクシー拾って帰ったらここでバイバイしよう」
「えそれはありえないでしょ・・・一緒にいくよ」
「いいって・・・仕事あるんでしょみてみな?この混雑・・・時間かかるから、早く会社戻りなよ」
「何言ってんの一緒に行くって・・・表参道の方いってみるか」
そういって、いつものように私の手を引いて歩き出した。
隅田川の花火大会に行ったときも、こうやって彼女の手を引いて歩いていたんだろうな・・・
そう思うと、一刻も早く人になりたかった。
そうじゃなければ、私は決定的な一言を吐いて、カレを傷つけてしまいそうだったから。
私は一時的な感情でカレを傷つける言葉を吐いてしまいそうな自分が怖かった。
「にゃんたろうは、いつも手つないで歩くね・・・」
「そりゃ、りりのこと大好きだもん。いつだって手つないでたいじゃない」
ワタシのやさぐれモードに火がついた
「よく言う・・・ホステスも、いつも手つないで歩くって言ってたよ」
「してないよ・・・りりだけだよ」
「うそ・・・ワタシだけなんてありえない・・・」
「してないって・・・」
「いいよ、もうここでバイバイしようって。こっからタクりなよ。私は空いてる方の電車で帰るから」
「だめだってだったらりりも品川までタク乗ってきなよ」
交通規制のしかれた中、車道に出て、怒られながらタクを捕まえた。
乗り込んでからも私のイライラはおさまらない。
「これ見て」
昼間、怒りに満ちた私は「いつまでも二股よくないし、今日はっきりさせましょう」とカレにメールしてた。
カレからソッコーで「どういうこと」と返事が来てたけど、私は返事をしなかった。送りはしなかったけど、ちゃんと返事は書いていたの。それを見せた。
もう消しちゃったからよく覚えてないけど、確か・・・・
「拒否しないと言ってたアドレスも結局拒否されて、何を信じていいのかわからない。私を失いたくないと言ってたことも、もしかしたらウソなんじゃないかと思ってしまう。。恋にはいろんな形があって、たとえば不倫を例にとれば、お互いがお互いの私生活に踏み込まないという暗黙の了解があるから続いてくんだと思う。要は
人の目指す方向性が合致してないと、男女の仲は続かないと思うよ」
という内容だったと思う。
「・・・・・」
黙って私のケータイを返す元カレ。
大きなため息をついた。
「なに?」
私には不愉快になられる理由がわからなかった。
「・・・またかって思ってさ・・・・」
は!?誰のせいだよ・・・・
「だってさ・・・・」
「仕方ないけど!仕方ないですけど・・・」
そう言って私の言葉をさえぎった。
私は、耳に優しい言葉なんかを期待してはいない。
ただ本心が知りたいだけ。
それによって私のとるべき行動を正しい方向に持っていきたいからだ。
「ねぇ、ちゃんとルールを決めない約束したのにメール拒否するなら、土日や夜は私もメールしないよ。その代わりあなたも平日は私を優先するとか
そうしなかったら、両立なんてできないよ
」
↑いま思うとこれは結構 効いた発言かも・・・元カレが、はなから私と彼女の二股を継続するつもりだ思い込んだ発言だから・・・
「おれは両立なんてする気ないよ・・・」
「現にしてるじゃない・・・」
しばらく沈黙・・・・・
どうして本当のことを言ってくれないんだろう・・・
やっぱり話してもムダなのか・・・
そんな思いで流れていく車窓の風景に目を落とすワタシ。
右の方から元カレのため息が聞こえる。
ワタシだってさ、「楽しかった!また今度ね」って楽しく別れられたらいいなって思うよ。それはあなたと同感だよ。毎回毎回こんな風にもめたくなんかないよ。。。
けど問題が目の前にあるのに、目を背けられないじゃない・・・・
仮に見ないフリをしたって、解消させるまでは、問題は永続するんだから・・・・
そんなことして表面上だけ楽しくたって、偽りの喜びでしょう・・・
せっかく仕事が忙しい中、腰が痛い中、大汗かいてきてくれたカレ・・・
こんな風にイヤな思いさせたくない。。
本当なら、カレの思いに応えて、「楽しかった」って、ただ喜ぶ姿だけを見せてあげたいのに・・・
どうして二股状態を継続するの・・・・??
景色を見ながら私の心の中に渦巻いてた思いは、そんなことだった。
元カレは明らかに うんざり といった様子・・・
そうだよね・・・
ごめんね・・・・
でもこの状態では、たとえ会っても、私はあなたの望むように、ただ笑ってあなたを受け止めてあげることはできないよ・・・
「ねぇ・・・にゃんたろ・・・ 会うのやめよっか・・・」
「・・・・」
黙って私の目を見る元カレ。。
「私に会ってもさ、結局こうやってイヤな思いするでしょ。。このままじゃ会わない方がいいんじゃないかと思うよ?」
意を決して言った。
えらかったと思う。
「・・・・」
カレは無言で目をそらした。
「・・・ね、そうしよ」
と言って、カレの手に触れた。
「イヤだよ・・・会えなくなる方がいやだ・・・」
このワガママ野郎め・・・・
それ以上、ワタシは話をしなかった。
品川駅について、私だけが降りて、彼はそのまま会社に向かう。
「ありがとう。すごく良い席だった。楽しかった」
それだけ言って降りるワタシ。。。
「りりっ」
降りかける私を呼び止める・・・・
「なに」
カレは無言で身を乗り出してキスをせがむ。
私は「しょうもないヤツ・・・」と思いながらもカレのキスを受けた。
「気をつけて帰るんだよ」
「ん・・・じゃあね・・・」
前は手を振ってカレのタクが見えなくなるまで見送って駅に消える私だけど、最近は振り向かずに行くようにしている。この日もおなじように、降りたらただ前を見てまっすぐ改札へ・・・
そんな私を、カレはどんな風に見ているんだろう・・・と思ったりする。
家についてからもカレとのことを考えていた。
結局、何がホントなんだろう・・・ どうするつもりなんだろう・・・・
また今日も素直になれずに強がっちゃったな・・・
ほんとは泣きたくて仕方ないのに・・・
たまには素直になってみようかな・・・・
そんな風に思った私は、カレにメールすることにした。
いつも「どうするつもりなの」と追い詰めるような切り口でしか話ができないから、今日は思い切って正直に思ってること伝えよう。
私は営業としては順調にいってるし・・・おんなじように提案すればいいんだ
「本当はありがとうって言いたいのに、“遊ばれてるのかも?”って思う気持ちが、“都合のいい女になんかなるものか!”って働いて、素直なコトバが言えなくなってる。 私はホントはにゃんたろうが大好き。秘密の恋は色々制限が多くて、会いたいときに会えなかったり、行きたいところに一緒に行けなかったりする。平日時間の恋じゃもう足りないよ。何でも
人で一緒にできるようにならない
そういう風に私と
人でやってみない
」
メールはアドレスに送った。
この日はまだ家に帰ってないせいか、ちゃんと届いたようだった。
でも返事は来なかった。
そりゃそうかもしれない。
結局、言ってることは「早く別れて、私と付き合いなさい」ってことだもの。
「それができてりゃそうしてるさ」ってのがカレの率直な感想だったかもしれない。
多分、このままいいけば、またカレからは返事が来ないまま、週間でも
週間でも過ぎてしまうのだろう。
でも、「そんなのできない」という人を愛しても、私に幸せはこないのだからそれでいいと思う。
私はやるだけのことをやった
それでいいんだと思う
たくさん(4年も)待ったし、たくさん思いも伝えた。
理解しようと努力もした。
何度も何度も向き合った。
これ以上、ワタシにできることは、もうナイものね
終わっちゃう・・・
そう考えると切なく悲しくなるけれど、
終わらせなくちゃいけないときもある・・・
ワタシ、間違ってないよね?
きっとだいじょぶこれでよかったんだよ