好みと適性との不一致は、職業を含む生活様式全般に於いて見られる悩みの原因となる現象だと言えるでしょう。
或る化粧品ブランドのBAさん曰く、「口紅は似合う色を探すより、自分の好きな色を選んで着けるのが一番良いです」とのことです。
詳しい理由を追究する事はしませんでしたが、意図する事は察知できました。
以前、台湾人のブライダル業界の知人が言っていた非常に印象的な言葉を思い出したのですが、
「日本人はお色直しのカラードレスを選ぶ時、似合う色やデザインを優先して自分の着たい色やデザインが有ったとしても試着した段階で着用を控える傾向にある」
との事でした。
余談ですが、台湾の結婚式では、お色直しの衣装が新郎新婦共に高校の制服である事が珍しくありません。
結婚写真のアルバムにも高校の制服を着用した写真を掲載する事は全く珍しくないのです。20代や30代の大人が、10代の時に実際に自分が通っていた高校(高級中学)の制服の現物(本人の学籍番号が縫い付けられている物)を取り出して着用し、撮影するのです。ナンバースクールの出身の場合、それが顕著に見られます。
写真撮影を行う場所がお互いの通っていた高校の敷地内である事はよくあることなのです。
長年続いている風習として学校側も認識しているので、卒業生たちの結婚写真撮影のために敷地を貸す事に協力的だそうです。
新郎新婦共にナンバースクール出身の場合、日本統治時代の制度をそのまま引き継ぎ、お互い男女別学の出身ですから、特定の1校のみに根付いている風習ではないようです。
前置きが長くなりましたが、以前私が写真撮影を趣味としていた頃、幅広いジャンルの装いに広く浅く興じていたのですが、ドレスについては似合う色やデザインよりも着たい色やデザインを積極的に選んでいました。
写真からは想像も付かないと思いますが、1月の気温12~13度の中撮影に挑みました。
約6年前の事ですが、この時期は一番このロケ地の場所取りをしやすいのです。
ブルー系の衣装は好きではあるのですが、あまり私には似合わないので私服を購入する時に避けがちでした。
撮影では躊躇なくそのようなカラーも選んでいきます。
この日は晴れ間が見えたものの、強風に煽られながらの撮影となりました。
上記添付画像の衣装は色合いが青紫に見えると思いますが、今回添付した2枚とも全く同じドレスです。
実際に衣装を用意した時、目視ではこの青紫に見えたので、1枚目に掲載したブルーの仕上がりを見た時、私は驚きました。
撮影に使用したカメラは同一の物で、特に照明などを変えてはいないとの事でしたが、何を主となる背景として選ぶかにより、衣装の色合いの見え方が異なってくるのです。
室内と自然光の下の場合とでも異なる場合が多く、場数を踏むと、この事情を計算した上で仕上がりを予測しながら撮影に挑む事ができるようになります。
国内の有名ロケ地として写真愛好家から知られている場所の中でも、撮影する側にとって、建造物の色合いや材質によりテクニック的に難しい場所というのは存在します。
ピアノの発表会や演奏会に着用する衣装を選ぶ時にも、照明や会場の壁の色について事前に情報を得ておくと、舞台の上での魅せ方について戦略を練ることが比較的容易になるかもしれません。
撮影と云う過去に取り組んだ趣味の中で、他の趣味に活かせる経験が有るとは新たな発見でした。
「好き」、この感情が迸る中で取り組み続けていた事が、気付かない間に後々の人生の役に立つ、案外物事とはそのようなものなのかもしれません。
【前日(1/9)のピアノへの取り組みについて】
※昨日は早めに就寝したため、投稿が起床後になりました。
・バッハ インヴェンション全15曲
・バッハ シンフォニア第11番 ト短調
(ここまで各1~2回ずつ通しただけ)
・ショパン ノクターン第5番 Op.15-2 嬰ヘ長調
・ショパン ノクターン第9番 Op.32-1 ロ長調
・ショパン ノクターン第20番(遺作) 嬰ハ短調
・ショパン エチュードOp.10-4 嬰ハ短調
・シューマン 幻想小曲集Op.12 飛翔 へ短調
・その他(スケール・アルペジオ・半音階)
昨日は、最初にスケールのハ長調→ホ長調→…と取り組んでいき、バッハのインヴェンション全15曲→シンフォニア→…と練習を続けていったのですが、スケールのホ長調の粒が普段と比較して揃っており、明らかにそれまでとの違いを感じていました。
コンタクトレンズを着用せず、裸眼であまり鍵盤が見えない状態でスケールの練習をした結果、視覚以外の感覚器官に頼らざるを得ないため、打鍵の加減に集中できるのではないかと考え始めました。
そして、ショパン ノクターン第5番 Op.15-2についてですが、中間部のテクニカル的な著しい欠如を実感していたため、オクターブ部分の音を省いて第25小節から第28小節までを何度も繰り返し練習してみました。
上記添付画像の赤枠で囲んだ音の鍵盤に触れるか触れないかの状態になるように手を広げ、シューマン 幻想小曲集Op.12 「飛翔」の変ニ長調の右手アルペジオの連続箇所の音形が少し変化したものだと捉え、練習を進めていきました。
この曲についても、私には適性が無い事は選曲時点から解っていた事で、だからこそ苦手分野を克服する為にレッスンを受けたいと思い、先生と一緒に選曲を行い、レッスンを受けるお約束をしたつもりだったのですが、結局演奏については全くレッスンを受けることができず、私の練習成果を見て頂く事すら叶いませんでした。
私には、苦手分野を克服する必要などなく、好きな事を好きなように本能の赴くままに生きるのが望ましいと云う事をピアノの先生が私に1年4ヶ月間かけて態度で示して教えてくださったのだと解釈しています。
先生ご自身も、ピアノの演奏指導ができない事を自覚しながら約30年間以上克服する事なく退職する事は全く考えずにそのまま生きてこられたようですので、「好きな事しかしない」、「好きな事しかしなくても一生生きていける」このスタンスで生きている先生と生徒とが引き寄せ合ったと考えれば合点がいく話です。
私も、遠慮なく好きな曲に着手していこうと思います。