曇天や強雨の日が続くと、酷暑の青空が恋しく思えてくるので不思議です。

 

 

 一度覚えたはずの事を環境が変わるとふと忘れてしまう、このような経験のある方は多いと思います。

 動作にせよ、知識にせよ、あやふやだった事ではなく、普段は難なくできていた事が環境が変わった途端に何故かできなくなってしまう、この理由について少し考えてみました。

 

 私は大学時代やたらと暗記量が多い定期試験や小テストを乗り越えてきた経験から、机上の試験に於いてド忘れしてしまう事が無いよう対策するのは割と得意でした。

 実は、起床後にすぐピアノの練習の一部に取り組もうとしたのは、反復練習として効果的なのは起床後家を出る前である事(記憶の定着化と云う観点で言えば布団から出る前)身を持って知っているからです。

 

 それでは、ピアノを弾く時、自宅では毎日一度も暗譜が飛んだ事が無い箇所について、ストリートピアノなどの別の場所に置かれたピアノで弾くと暗譜が飛ぶ事が有るのは何故なのか、原因を追究し、対策を講じたいと思います。

 

 まず、自宅ですら暗譜が不完全だと云う状態ではない事を前提とします。

 

 

 「ショパン エチュードOp.10-12(革命)」

 ピアノを再開してからこの曲をほぼ毎日1年半以上暗譜で最低1回は通して練習しているのですが、先日、ピアノが変わると暗譜が飛んでしまうと云う失態に至ってしまい、困惑していました。

 更に言うと、日程と場所を変えてピアノを弾いてみても2回暗譜が飛んでいるのです。

 

 それでは、具体的にどの部分の暗譜が飛んでしまうのか。

 2回とも全く同じ箇所です。

 

 第15小節赤枠で囲んだ右手の音です。

 

 

 この音を全く弾かずに左手だけ弾いていると、負の連鎖が始まり、同小節の青枠の左手の部分の暗譜も飛んでいくと云う流れです。

 その後、何事もなかったかのように第16小節以降を弾き始めるのです。

 自宅では絶対に起こさないような事を環境が変わると起こしてしまう、そしてそれが今月に入って2回も有ったという事は、もはや偶然ではないと考えるのが妥当でしょう。

 

 自分でも何故このような結果になるのか考えてみたところ、心当たりのある事を思い出しました。

 

 Op.10-12(革命)自体、三部形式の曲で、再現部である第55小節について、約1年半前にそれまで適用していた運指を試行錯誤した結果、約1ヶ月間定まらなかった時期が有ります。

 

 

 上記添付画像の赤枠で囲んだ部分なのですが、どのようにオーバーラッピングするか、再開後にふと考え直していました。

 

 ちなみに、再現部の暗譜が飛んだ事はなく、暗譜が飛ぶのは主部の第15小節赤枠で囲んだ右手の音なのですから不思議なものです。

 

 ここで考えた事ですが、過去の運指の迷いが影響して一時的な旋律の記憶喪失を引き起こしているのではないかと云う事です。

 

 左手の練習曲であるにもかかわらず、右手の暗譜が飛ぶのは非常に奇怪ですが、現実に起こった事です。

 

 ちなみに、ピアノを再開した後習いに行った先生の前ではこの第15小節赤枠で囲んだ右手の音が自分でも驚く程上手く出せて困惑していました。 

 自宅で練習している時よりも上手くいく事自体、実力が定着していないと云う意味なのかもしれません。

 

 昨日記載したショパン ノクターン第5番の件についても思うのですが、無意識のうちに軽視している音過去に運指について試行錯誤した影響潜在的な自信の無さに繋がり、環境が変わると暗譜が飛ぶと云う結果になって顕在化しているのではないかと私は考えています。 

 

 解決法としては、

 1.運指について長期間迷う練習の仕方を避ける

 2.意外に技巧を要する箇所よりも軽視している箇所の暗譜が飛びがちなので、曲全体を通して相対的に軽視している箇所を無くす

 

 上記2点が挙げられるのですが、今まで運指について考えていた時、音を聴く事を軽視して指使いについて着目していたので、意識の向け方を変えて練習しなければ、環境が変わった時にその練習方法の影響が出るのではないかと云うのが現時点での私の見解です。

 現在、様々な分野に関して手探りの状態なので、練習の仕方の積み重ねが暗譜が飛ぶと云う結果を招くとは意外でしたが、環境を変えてみて気付いた事が沢山あり、今後の練習法を考える良いきっかけともなりました。

 

 

 【本日のピアノの練習について】

 

 ・バッハ インベンション第1番 ハ長調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第2番 ハ短調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第3番 ニ長調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第9番 へ短調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第4番 ニ短調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第7番 ホ短調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第8番 ヘ長調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第12番 イ長調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第13番 イ短調(暗譜済)

 ・バッハ インベンション第5番 変ホ長調

 ・バッハ インベンション第11番 ト短調

 ・バッハ インベンション第15番 ロ短調

 ・バッハ インベンション第14番 変ロ長調

 ・バッハ シンフォニア第11番 ト短調(暗譜済)

  (※ここまでそれぞれ1~2回通しただけ)

 

 ・ショパン エチュードOp.10-4 嬰ハ短調(暗譜済)

 ・ショパン エチュードOp.10-12(革命) ハ短調(暗譜済)

 ・ショパン ノクターン第5番 Op.15-2 嬰ヘ長調

 ・ショパン 幻想即興曲 嬰ハ短調(暗譜済)

 ・その他(スケール、アルペジオ、半音階、その他)

 

 バッハのインヴェンションも暗譜が飛びそうな箇所が多々有ります。

 トリルの入れ方を迷った箇所が真っ先に候補として挙げられます。

 

 肝心な、ショパン ノクターン第5番 Op.15-2中間部克服法についてですが、昨日言及した通り、中間部のみ左手のみ通し練習を3回行ってから中間部自体の練習に入る事にしました。

 

 今一番考えなければならないのは時間配分で、数曲維持しておきたい欲求と、1曲を強化したいという欲求との釣り合いを図るべく基礎練習に割く時間を軽視しがちなので、今月末まで様子を見て9月以降の練習法を考えてみます。