「木を見て森を見ず」と云う言葉をよく聞くと思います。
この添付画像に関しても、背景から具体的な場所の特定に至る事を回避する目的もあり、全体像の一部だけ切り取っています。
常に全体像を意識しつつ細部に気を配る事ができるのが理想ですが、枝葉という細部に拘りだすと、ついつい森という全体像の存在を忘れてしまい、森の中に不釣り合いな枝葉の剪定をしてしまいがちです。
ただ、何の前情報も無しに自分が森を見て、明らかに目を惹く木の枝葉が存在する場合もあります。
自分でピアノ曲を選ぶ際、その枝葉に初見で瞬間的に着目する事ができるか、自力でこれができなければ、選曲ミスを誘発する因子となります。
技巧的な面に於いて、意外に難儀するという事は、見る眼が甘かったと云う事でもあると思います。
【本日のピアノの練習について】
・バッハ インベンション第1番 ハ長調(暗譜済)
・バッハ インベンション第2番 ハ短調(暗譜済)
・バッハ インベンション第3番 ニ長調(暗譜済)
・バッハ インベンション第9番 へ短調(暗譜済)
・バッハ インベンション第4番 ニ短調(暗譜済)
・バッハ インベンション第7番 ホ短調(暗譜済)
・バッハ インベンション第8番 ヘ長調(暗譜済)
・バッハ インベンション第12番 イ長調(暗譜済)
・バッハ インベンション第13番 イ短調(暗譜済)
・バッハ インベンション第5番 変ホ長調
・バッハ インベンション第10番 ト長調
・バッハ インベンション第11番 ト短調
・バッハ インベンション第15番 ロ短調
・バッハ シンフォニア第11番 ト短調(暗譜済)
(※ここまでそれぞれ1~2回通しただけ)
・ショパン エチュードOp.10-4 嬰ハ短調(暗譜済)
・ショパン エチュードOp.10-12(革命) ハ短調(暗譜済)
・ショパン ノクターン第5番 Op.15-2 嬰ヘ長調
・ショパン バラード第1番 ト短調(ほんの一部のパートだけ)
・その他(スケール、アルペジオ、半音階、その他)
2日前から「再考の余地が有る」と書き続けてきたショパン ノクターン第5番 Op.15-2 嬰ヘ長調の第57小節の運指を再考した結果、前半部分は煮詰まってきています。
3日目で何度も運指を迷っているのは久々の事で、意外に手強い箇所だったのが誤算だったかもしれません。
運指を考える際、
1.フレーズ全体を両手で弾いてみる
2.場合によっては、前のフレーズから通してみて不自然さは無いか確認する
3.迷う箇所を特定する
4.迷う箇所のみ片手で試行錯誤する
5.幾つか挙げた候補の中で自分にとって最適だと思われる方法を試行錯誤する
6.仮候補を決定した後、前後のフレーズも含めて弾いてみて前後(特に後)が弾きにくい事が無いか確認する
7.問題なければ決定
上記の手順を踏んでいました。
この第57小節の運指については、上記1.~6.を3~4回繰り返し、6.の時点で3日目にしてまだ「迷い」が生じています。
バッハのシンフォニアの最適運指を模索しているような気になります。
最初の右手箇所3音については、3日前まで何の迷いもなく155を採用しており、3日前から疑問を抱いて再考、昨日までの間は145で迷いは無かったのですが、本日155に変更して決定しました。
黒鍵右オクターブ1-4はやはりこの場合私の手には不適切で、最初の譜読みの際に何の疑いも無く決めた5にすべきではないかと、一周回って落ち着きました。
5連符の箇所は、45455で仮決定中。
昨日の候補2通りとも採択せず、やはり3日前までの方法に落ち着いています。
8度超の左手部分(上記添付画像の水色で囲んだ箇所)の高速アルペジオの箇所は、532(+右のすり替えFis1)で最初とって右5連符中に5(バス部分)を離す→321でとった和音をFisの左1部分→右1にすり替え中、41に再び左をすり替え、2拍目へ入ると云う方法を何の迷いもなく譜読みの段階から毎回行っています。
もっと効率的な方法が有りそうですが、この方法に慣れてしまったので、暫く様子見とします。
青枠で囲んだ部分に関しては、結局制限時間内に終わらず、明日左右分担の時点から考え直す事にしました。
この第57小節の運指に何度も迷う理由として、その前の小節以前から世間ではイレギュラーな運指(私にとっては自然な事なのですが)ばかり採択しており、ここまで外れた事をするのは許容されるのか、etc.不安になり始めるからではないかと私は思います。
実は、3日前までは何の不安も迷いもなく、譜読みの時点の運指を継続していた或る意味珍しい箇所でもあるのです。
様々な情報に振り回され、自分の判断力を信じる事ができなくなっているのは、中間部の完成度が低すぎる事が一番の原因です。
それ故、中間部克服に真摯に取り組めばよいのですが、ここでもまだ運指への迷いが生じてきました。
旋律部分(赤枠で囲んだ箇所+黄色で囲んだ箇所)について、当初は右5のみ、途中から右4を混在させていたのですが、やはり当初の右5のみにすべきか、練習しながら試行錯誤しています。
昨年12月頃、別の曲内で、オクターブを右4でとるのはサイズ的に無理があるのではないか、と云う先生のご指摘を思い出して、分散していてもやはり避けた方が良いのか、5のみで挑むのはテクニック的な難易度が上がるのではないか、などと戸惑いが生じています。
青枠や紫枠で囲んだ部分に関しては、右1で練習中。
結局、一度決定に至った運指への迷いが生じる一番の原因は、他の箇所の出来が芳しくないなど、自分に自信が無くなった時に湧き起こる感情で、自分で自分の決定について疑い始めると振出しに戻る事が多いので、決定後は変更不可にした方が賢明なのかもしれません。
考えてみると、私の今までの生き方の指針に関しても、他人に何と言われても全く動揺する事が無かったのは、自分の判断力を疑う事が全く無かったからです。
他人に相談してみよう、他人に質問しよう、などという発想が全く有りませんでした。
そして、私と異なる判断を下し実行している人に対し、比較せずに済んだのも、自分の判断力を疑う事が無かったからです。
細かい箇所ばかりに着目していると、最初のパートの音すら危うくなって外してしまいがちなので、第57小節に囚われず、全体を見るよう心掛けて日々の練習に励みたいと思います。