日中は暖かくなり、春の装いを体感的に欲するようになりました。
見頃を迎え、葉の存在が目立つようになった河津桜(カワヅザクラ)です。
日本で主流の種であるソメイヨシノよりも花弁の色が仄かに薄く、早咲きである事が特徴です。
大島桜と緋寒桜(ヒカンザクラ)の自然交配種で、緋寒桜(ヒカンザクラ)よりもやや落ち着きがあり、エレガントな印象を受けます。
まだ少しも花びらが舞い散る気配はなく、桜としては安定した咲き方をしている印象が否めませんが、この咲き方こそが河津桜(カワヅザクラ)の特筆すべき点です。
個体にもよりますが、約1ヶ月間は葉を茂らせたまま安定して花を咲かせているのが特徴で、その生態は、ソメイヨシノが僅か数日間で大変貌を遂げる様子から感じ取れる儚さとは裏腹に、毅然とした逞しささえ感じます。
強風に嬲られてもほとんど花びらを舞散らす事の無い様子から、淡い色合いの桃色の花と若々しい柔らかい葉を永久保存しているかのような錯覚に襲われる事が有ります。
そして、この河津桜(カワヅザクラ)からは、寄せては引く波のような動的なものではなく、外敵の侵入の恐れがない事が予め判っていて、動きのほとんど見られない澄んだ湖のような安定感を感じるのです。
自然界に生息する桜としては、不自然なほど脆さの見られない品種で、「清」と云う表現が似つかわしい様子を感じ取りました。
【本日のピアノの練習について】
・バッハ インベンション第1番 ハ長調(暗譜済)
・バッハ インベンション第2番 ハ短調(暗譜済)
・バッハ インベンション第3番 ニ長調(暗譜済)
・バッハ インベンション第13番 イ短調(暗譜済)
・バッハ インベンション第9番 へ短調
・バッハ インベンション第4番 ニ短調 (暗譜済)
・バッハ インベンション第7番 ホ短調(暗譜済)
・バッハ インベンション第8番 ヘ長調(暗譜済)
・バッハ インベンション第12番 イ長調(暗譜済)
・バッハ インベンション第5番 変ホ長調
・バッハ インベンション第15番 ロ短調
・バッハ シンフォニア第11番 ト短調(暗譜済)
・ショパン 幻想即興曲 嬰ハ短調(暗譜済)
・ショパン エチュードOp.10-4 嬰ハ短調(暗譜済)
・ショパン エチュードOp.10-12(革命) ハ短調(暗譜済)
(※ここまでそれぞれ1~2回通しただけ)
・ショパン エチュードOp.10-3(別れの曲) ホ長調
・ショパン ノクターン第5番 Op.15-2 嬰ヘ長調
・その他(スケール、アルペジオ、半音階、その他)
ショパンのエチュードやノクターン、ワルツの楽譜については複数の版を所有しているのですが、ノクターンのヘンレ原典版を見てみました。
昨日言及していた、バスが不鮮明な音形と云うのは、ノクターン第5番 Op.15-2 嬰ヘ長調の第55小節から第57小節にかけての下記添付画像のような箇所です。
朧げに、この音だろうと云う音符は幾つか有るのですが、第57小節の左手部分にバスに該当するか否か不鮮明な音が有ります。
Op.9-2のようなバスのありかが鮮明に判別できる曲ならば、この点に於いては苦悩する箇所は無いのですが、今の私が見て不鮮明な音が散見される曲だからこそ、曖昧さや途中出現する内声との調和により、ショパン独特の抒情的な音楽が成立しているのかもしれないとふと思います。
ノクターン第5番 Op.15-2 嬰ヘ長調をはじめとした、ショパンの楽曲から無意識のうちに感じ取っている繊細さは、装飾音や連符の存在に加え、内声が出現する事により危うさを同時に感じ取っている事に由来するのではないかと私は考えます。
リボンを用いた新体操の演技に於いて、演技する者が操るリボンが弧を描いたり何度もしなやかに回転したりしつつも、最終的には絶対に演技する者の手にリボンが存在するように、一見脆さを感じつつも、芯には毅然とした逞しさや確実性が存在するかのような概念に近いです。