成人の日ということで、各地の報道機関が成人式について報道しています。
成人式と関連し、改正民法が施行され、成人年齢が18歳に引き下げられる旨の報道が相次いでおりますが、成人すると自分だけの名義でローンを組む事が可能になります。
先日から、お金の話ばかり記載しているので、定期的に本ブログへアクセスしてお読みいただいている方は呆れていらっしゃるかもしれませんが、年齢的に成人であるにもかかわらず、自己の支払い能力を超えた欲望を満たすためにローンを組み、結果として返済に苦慮している方々や、ローンの仕組みについて知識不足であったが故、よく解らない書類に直筆でサインしてしまい、自分で意図していない契約を成立させてしまった方々が大勢いらっしゃいます。
前者はともかく、後者については、金融機関と提携しているエステ業界や美容整形に携わる大人たちが、20歳になったばかりの方々を標的としているケースも多いです。
10年以上前のケースで恐縮ですが、当時20歳の方が、外見コンプレックスを解消しようと、自分から広告を見て、施術を受けるためのカウンセリングを受けに行ったところ、500万円以上のローンを組む契約を締結してしまい、締結後も自らがサインした書類の意味が判らず周りに解決法を相談していた事が有ります。
私は、当時、交流していた人数が多かったと云う事もあり、この類の金銭トラブルに関する相談を受ける事も有りました。
この方が組んだ書面上の契約によると、本人は年収が500万円の正社員だという事になっていました。
本人の直筆で「20歳 年収500万円」と記載されていた控えを見て、何故このような記載をしたのか、本人に問い質してみると、
「カウンセリング担当スタッフから、
『施術を受けたいのなら、定期的に通うことが必要。定期的に通うには、一括払いではなく、ローンを組む必要が有る。ローンを組む為の書類手続きはこちらです』
との流れで、言葉巧みに誘導されてしまい、住所・氏名記載欄を埋めた後、実際の年収を訊かれ、本人は180~200万円だと思うと回答したところ、
『もう少し多い金額を書かないとローンが通らない』
とスタッフに言われたため、250万円ぐらいと記入した方が良いのか、本人がスタッフに質問したところ、
『それでも足りない。400万円か500万円と記入してください』
との返答を受けたため、言われた通りに記入してしまった」
との事でした。
勿論、言われるがまま事実と異なる記載をしてしまった本人にも、立件の仕方によっては、詐欺罪や、有印私文書偽造・同行使罪に抵触するなど、非が有りますが、この場合、誘導したスタッフも、幇助や教唆の罪に問われる事となるのが一般的な法的解釈です。
この方から詳しくお話を伺ってみると、法人経営として至る処に違法行為が有ると判断し、私自身も解決に向け、少し協力する事にしました。
本人が弁護士や警察に相談しても、その契約は覆る事が無いと断言されていた案件ですが、私が僅か10分間ほど本人の携帯電話端末機をお借りして代理人を名乗り、完全に匿名で代表電話番号宛に電話しただけでこの契約は「無かった事」になりました。
30~40分/5,000円の有料の弁護士相談に行ったのは何だったのかと、本人も不思議がっていましたが、会社としての契約を取るノルマや、会社がマニュアル化した契約締結までの違法フローが有り、社内で不法行為がまかり通っており、少し「匿名のお問い合わせ」をしただけで、これ以上深く踏み込まれると法的制裁を受ける事となるため、責任者は契約を解消する方向へ話を持っていくのが約10年前のこの類の会社の傾向です。
この会社の所在地が私の居住地と飛行機の距離だったと云う事もあり、完全に匿名でのやり取りで全て解決しています。
上述のような、違法性の有る契約が成立する原因として、
1.本人の無知
2.本人の強いコンプレックス
→違法性が有っても他人に相談しにくい案件であるため発覚する可能性が低い、カウンセリングにまで足を運んで身体の特徴の一部のデータを握られたのだからもう引き返せないと云う強迫観念
3.経営者の利潤追求
4.従業員の無知
→自らが不法行為に加担しているという自覚が無い、会社のマニュアルを音読するだけで理解していない営業トークが常態化
上記4点が挙げられます。
当時、「有料の弁護士より頼りになります。あなたに感謝します」と言われましたが、一見純粋な一般人を標的にしたビジネスがまかり通り、弁護士も警察も動かす事が出来ない世の中は深刻だと思いました。
これは、「真の意味で他人の役に立つ」とはどういう意味か、深く考えさせられた一件でした。
今ではマイナンバーカードが普及し、上述のような例は稀少になったのかもしれませんが、軽い気持ちで書類に直筆のサインをしたり、約款を読まずに電子媒体上で「同意する」にチェックを入れて「次へ」を押下する行為は慎んだ方がよいと思います。
成人すると、あらゆる意味での責任が問われます。
「あの人に相談すれば全て解決してくれる」
「500万円以上の借金すら無かった事にしてくれる」
「300万円以上の未払い給料も取り立ててくれる」
「不払い分給料だけでなく商法に基づく遅延損害金の請求もしてくれた」
「弁護士よりも司法書士よりも使える」
「しかも相談料は無料」
「動いてくれなければ『困っている人を見捨てるとは、あなたは冷たいですね!』とゴネればいい」
善意で以て行動すると、このような概念が蔓延ってしまう為、士業の方々は、敢えて相談料を設定しているのかもしれません。
他人に言いにくい事を打ち明けやすい相手だと周りに認識されるのも自己責任と云う結論を導き出し、今に至ります。
【本日のピアノの練習について】
・バッハ インベンション第1番(暗譜済)
・バッハ インベンション第2番(暗譜済)
・バッハ インベンション第3番(暗譜済)
・バッハ インベンション第13番(暗譜済)
・バッハ インベンション第9番
・バッハ インベンション第4番 (暗譜済)
・バッハ インベンション第7番 (暗譜済)
・バッハ インベンション第8番 (暗譜済)
・バッハ インベンション第14番
・バッハ インベンション第12番(暗譜済)
・バッハ シンフォニア第11番(暗譜済)
・バッハ シンフォニア第8番(運指思案中)
・ショパン エチュードOp.10-12(革命)(暗譜済)
・ショパン エチュードOp.10-5(黒鍵)
・ショパン エチュードOp.10-4(暗譜済)
・ショパン バラード第1番(一部のみ)
・その他(スケール、アルペジオ、半音階、その他)
この記事を打っていて、ショパン バラード第1番の内容を理解せずに鍵盤を触るだけの行為をいい加減にやめようと思いました。
人間同士がトラブルを起こす原因の本質の多くが、「内容を理解せずに上辺だけを取り繕っているから」ではないかと予てより感じています。
上述の500万円以上のローンの件を相談してきた方は、私の小学生時代をよく知っており、お互い上辺だけの仲ではなかった為、帰省した際、困った事を打ち明けやすかった(打ち明けざるを得なかった)のだと思います。
弁護士の「絶対に覆る事が無い」という回答よりも素人の私を頼りにしてきた行動が不可解でしたが、今になって考えると、この方は、意外に人を見極める眼を備えていたのかもしれません。
と言うのも、その後、この方は、遠方で起業し、経営が順調で、今では成人後に知り合った人を従業員として複数名雇っているのです。
人柄が良いから手を差し伸べたくなるのか、人柄が良いから付いていきたくなるのか、判りませんが、今後も経営状況を遠くから見守る事にします。