繊細な印象を受ける紫陽花です。

 6月も本日で幕を下ろす日となり、紫陽花も見納めの時期が訪れたような気がしてなりません。

 

 

 ラベンダー色のガクアジサイが連なっている様子は可憐そのもの。

 

 

 雨天や曇天よりも陽の光を受けている光景の方が似つかわしいとさえ感じます。

 

 

 昨日記載した、ピアノを習う事を決意し、某大手楽器店へお問い合わせした対応内容から思う事を記します。

 

 【ピアノを習おうとしている動機】

 昔、子どもの頃習ったはずのJ.Sバッハのインベンションやシンフォニアの奏法を忘れており、音と拍だけが合っていてインテンポで音を鳴らしている状態を改善しようと思った。

 また、ハノンツェルニーなどを利用し、日々基礎練習に取り組んでいるものの、基礎的な部分で取りこぼしが有る気がしてならないので、根本的な改善方法を教えていただきたいとも思う。

 

 【ピアノを習う際のスタンス】

 具体的にショパンの楽曲に取り組むのではなく、まずはJ.Sバッハのインベンション2~3曲、丁寧に楽曲分析しながら教わる。

 また、継続して数年間通うのではなく2~3ヶ月の短期受講とする。

 

 【某大手楽器店を選んだ理由】

 短期受講コース(月2~3回×3ヶ月など)を積極的に設定しており、私自身のスケジュールに合わせて曜日教室の場所を選べる可能性が高い

 J.Sバッハのインベンションような有名な基礎教材を扱い慣れている講師の方が多いのではないかという推測に基づく。

 

 

 上述の私自身の都合希望推測により、某大手楽器店に早速お問い合わせした訳ですが、意外な結果に終わり、驚愕しております。

 受付の方のご対応は終始丁寧で、私の意図を汲み取ってくださっただけに、現状に愕然としています。

 

 まず、お問い合わせの導入として、

 大人のピアノのレッスンについて、自分で任意の1~2曲選んで短期間(2~3ヶ月間)で退会する前提で入会する事は現在受け付けているのか」

 との主旨から入って、私自身のスケジュールの都合の理由により長期通う事は難しい旨をお伝えし、受付の方と電話でやり取りしました。

 その際、最寄り駅通う事が可能な沿線・地域を具体的にお伝えしています。

 

 この時点で、受付の方から快諾されました。

 続けて、受付の方から会社のシステムとして1曲のみに特化したレッスンを受ける際のスケジュールや3ヶ月コースの件、集団レッスンのシステムなどのご案内があり、希望のコースを選ぶ事が可能、体験レッスンを受けるのなら該当希望コースで選ぶ事など、詳しくご案内していただきました。

 

 私自身、1曲のみに特化したレッスンであれば、幾ら短い曲だとはいえ、インベンションを2~3曲習う事は出来ないのではないかと思い、1~2分の曲を2~3曲教わる事は可能なのかお尋ねしたところ、

 「そのようなレッスン形態もございますので、詳しくお話を伺います」

 と、受付の方からのご返答。

 

 そして、次に驚愕のお言葉を耳にしました。

 

 

 受付の方「集団レッスンでしたら、待ち時間に電子ピアノで練習が可能ですが、個人レッスンの場合、レッスン時間外にご自分で練習が必要です。ご自分でキーボード電子ピアノなどを用意して練習していただくか、弊社のスタジオを利用していただく形になります」

 

 「…電子ピアノ…ですか…。アコースティックピアノで毎日練習しています…」

 

 受付の方「…子どもの頃から大体いつ頃まで習っていましたか?」

 

 「中学校卒業まで習っていて、大人になってからも少し習っていたのですが、ブランクが有り、習っていたはずの曲の弾き方をもう忘れてしまったので再び同じ曲を習おうと思っています

 

 受付の方「ブランクは大体どれくらいですか?」

 

 「ピアノ自体のブランクは○年ぐらいで、再開して約1年◎ヶ月です。

   ただ、有名なJ.S.バッハのインベンションをレッスン希望なのですが、ショパンやベートーヴェンの曲ばかり独学で勝手に練習していたらバッハの弾き方を忘れてしまいました。

   バッハは昔インベンションやシンフォニアを習った記憶が有るのですが、中学校卒業以降全く触れていません」

 

 受付の方から、過去に具体的にどのような曲を先生について正式に習ったのか、詳細聴取され、私自身のレッスンに求める事をお伝えすると、集団レッスンはお勧めしない旨と併せて、

 「難しい案件ですので、弊社で担当できる講師を探し、手配が整いましたら体験レッスンのご案内を致します」

 とのご返答をいただき、連絡先をお伝えして終話する事となりました。

 

 最初に受付の方から丁寧に説明していただいた「1曲のみに特化したレッスン」とは、会社作成テキストに掲載された曲や、「鬼滅の刃」で有名な「紅蓮華」「炎」、その他J-POP1曲全くの未経験者が弾けるようになる事を意図して設定されたコースだとの事でした。

 

 大人の趣味のピアノ(正確には、中学生や高校生も含む)とは、このようなスタンスで臨まれる方が非常に多いとの事、電子ピアノどころかキーボードで練習している受講生も居る事、それ以前にわざわざレッスン時間外にご自分で練習が必要です」注意喚起が必要だと云う事。

 

 これは講師の方々も相当苦労なさった結果、受付の方が入会前にこのような「当たり前の事」を告知せねばならないマニュアルが存在するとしか思えません。

 

 「好きな1~2曲に絞ってレッスンする」と一言で表現しても、クラシック曲は人気に翳りがみられ、J-POPを弾き易くアレンジしたものをレッスンする傾向にあるようです。

 

 私が子どもの頃、90年代に教わっていた、ハノン、ツェルニー、ソナタ、バッハなどのフルセットは今では敬遠されがちなのか、未経験者に積極的に流行の曲をレッスンするコース主流になっているのかもしれません。

 

 その他、お問い合わせの中で気になった点ですが、

 「(バッハのインベンションは)何かお仕事に必要な曲なのでしょうか」

 「どこかで披露する予定ですか」

 などと訊かれました。

 

 通話中、バッハのインベンション有名曲ピアノを学習した者なら誰でも教わるのだから、平均律なども当然全員習得しているはずの音大を卒業されたピアノ講師の方であればこのインベンションのレッスン「難しい案件」であるはずがなく、婉曲的に入会をお断りされているのではないかと思ったのですが、その後にJ-POPの件含め、様々なお話を伺い、理由として納得がいきました。

 

 今のニーズに合わせて運営されている会社だと思うので、世相を反映しているのだと思います。 

 スケジュールの都合により少々難しい部分も有るのかもしれませんが、講師の方々が多数いらっしゃるので、バッハのインベンションの指導歴が長い方も星の数ほどいらっしゃると認識していたのが甘かったのかもしれません。

 

 

 

 先程まで、この件について、趣味としてドラムを演奏する友人と話していたのですが、今は基礎からコツコツ物事を習得する事は敬遠される傾向にあるようです。

 友人も強く主張しているのですが、楽器の習得に時間や根気強い練習が必要なのは言うまでもありません。

 YouTubeでよく見かける、見た目が派手なパフォーマンスの中にも、基本的なメソッドの習得が必要で、動画を視て真似事をするだけでは演奏になりません

 

 楽器であっても、ダンスであっても、基礎的なテクニックの習得には、時間と根気強いたゆまぬ練習を要し、先生に教わる必要が有ります。

 友人の見解では、基礎的なテクニックの習得を飛ばして模倣に走る図式YouTubeの影響が大きいのではないか、との事でした。

 

 大人が職場の忘年会の余興などの場で一発芸の感覚でして披露するのならばそれで構わないのかもしれませんが、基礎的なテクニックを全く習得しないまま模倣に走る行為は、芸事と呼べるのか疑問を抱いています。

 

 現段階では、某大手楽器店からのご連絡をお待ちする事にします。

 親身になって対応してくださった受付の方には感謝しております。