この記事内容に興味を抱き、こちらに私自身の率直な感想を記載致します。

 最初に目に入った文章

 

 「薬学部に進みたいなら、国立は受けたくない子がいっぱいいます。」

 

 この時点で衝撃を受けました。

 これは、通常、国立薬学部の方が卒業まで廉価で済むのだから、自宅付近もしくは配点の相性の良い国公立の薬学部を受験するのが得策だと云う私自身の経験に基づく「常識」に由来します。

 ただし、国立大学薬学部に入学すると、国家試験の対策よりも大学院進学を前提としたカリキュラムに則して教育が施される為、学部卒業後薬剤師という進路を考えている場合、国家試験対策に強い私立大学を当初から志望する受験生が多いと云う事情も考えられます。

 また、今の入学生は四年制+修士で国家試験受験権を得る制度が施行されていない為、他の事情が有るのかもしれません。

 このような事が瞬時に頭の中に浮かびました。

 

 しかし、上記引用文の真意は私の推測の域を大きく逸脱しておりました。

 

 「学部も場所もどこでもよいから」

 「しつこく強要される高校がほとんど」

 

 此処まで読んで、唖然としてしまいました。

 学部がどこでも構わないのであれば、もはや進路選択の意味が無いのではないか。

 

 記事全文を読むと判りますが、薬学部志望者(将来「薬剤師国家試験」の受験資格を得る事を確固たる目的として進学を志す者)に対し、高校教師が「薬剤師国家試験」の受験資格が得られない国立大学の不特定学部の受験を強要している、との事です。

 

 私立専願を選択肢として視野に入れている生徒に学費の件を配慮して国立大学薬学部挑戦校として受験するよう教師が叱咤激励しているのではなく本人の将来進みたい道を阻害してまで「国立大学」であればどのような専攻でも構わないから受験を強要している、と云う訳です。

 

 理由として考えられる一つに、単純に勤務高校の「国立大学合格者数」を増やしたい事が挙げられると思います。

 また、私の邪推に過ぎませんが、合否関係無く出願させてしまえば、定員割れしている国立大学であっても「出願者数」が確保され、「人気のある大学」「需要のある大学」だと世間に認識させる事が出来ます。

 当日入試を欠席した理由については公表されませんから、体調不良自信が無くて自ら欠席した、etc.解釈は受け手に都合よく繰り広げられる可能性が有ります。

 

 国立or私立、の一義的理解、国立大学至上主義に関する事はさておき、このような横暴な進路指導が現在も行われているとしたら、人権問題として取り上げてよいと思います。

 今後の人生の責任を一切負う事の無い、高校を卒業したら会う事も無いかもしれない赤の他人が、一人の人間の法に抵触しない行動について強要する事自体理不尽な話だと思います。

 

 受験する方々も、進路の方向性を明確に定めた後は、学費負担者今後の人生の責任を負う可能性の有る人物以外からの阻害行為に対して、毅然とした態度で断る姿勢が必要です。

 他者からの提案をお断りする事は、他者の人格を否定する事でも他者に失礼に当たる事でも無いと私は考えます。

 自分自身の人生の方向性を定めたのならば、正攻法による自己主張は非礼行為には当たりませんので、相手が恩師であれ、明確な理由付けをした上で遠慮なくお断りする事をお勧め致します。

 

 この執筆者様の記事は的を射ている内容が多く、非常に参考になります。

 諸々の情報を網羅されているようですので、受験をお考えの方には頼りになる存在だと思います。

 

 (つい先日、30代半ばの方々の「高校時代担任教師から志望校以外の所謂滑り止め校を沢山受けさせられた人の体験談」や、「私立に進学すると決めたにもかかわらずどこの学部でも構わないから受かりそうな国立大学を受験させられた人の体験談」を生で聞いただけに、一部の地域や教師に限定せず、全国的な問題としてこの進路指導への対策を練る必要が有ると思います。

 何よりも先に、教員への「進路指導の指導」をすべきだと私は考えます。)