昨日の夕方、近隣の中学校の生徒達が体操着姿で10人以上集団で移動しているのを見かけました。

 恐らく部活動関連の生徒達だろうと推測したのですが、緊急事態宣言が発令されている中、学校関連の種々の行事や授業の自粛について少し思う事が有ります。

 

 学校に通う意義について。

 この情勢下、オンライン授業でほぼ代替している教育機関が多いようです。

 健康第一だと思いますので、感染症に罹患しない事が最優先事項と判断された場合、種々の行事や授業がオンライン化される事はやむを得ない事だと思います。

 しかし、義務教育も含め、中等教育や高等教育に於いてその本質を学ぶ機会が多く得られた手段は、同級生と関わる事で以て成されたものが非常に大きいと思います。勿論、上級生や下級生、教員との関わりも大切ですが、同じ年度に生を受け、同じ授業や講義を受け、同じ試験を受け、異なる家庭環境で育った人達と関わりながら生活する、この行為は学校生活でしか体験出来ない事だと思います。

 要約してしまえば「切磋琢磨する友人は大切」と云う事ですが、現在のオンライン授業では友人を作る機会が乏しく、ツールを工夫する必要が有ると思います。

 

 義務教育の場合、授業そのものよりも同級生との関わりの中で人間的に成長していく事が多いと思います。

 年齢が低ければ低い程、生の触れ合いが大切なのではないかと云うのが私の見解です。

 故に、部活動や各種学校行事の自粛について私の立場から安易に意見する事に躊躇しております。

 

 部活動も学校行事も全て廃止し、座学の授業のみオンラインで配信するのならば、個別指導塾に通っている状態と何ら変わりは無いと思います。

 

 高等教育(一般的に「大学」と云う教育機関)についても同様、講義だけでなく、同じ分野を専攻している同級生との関わりから学ぶ事が非常に多かったと思います。細分化された科目のうち特定の分野を得意とする同級生の生活や、思考、同じ講義を聴いた時の反応、これらも全て「勉強」「学ぶ事」であったように今となっては実感しています。

 専攻によっては、個人宅では用意出来ない設備を利用して学ぶ必要が有ると思います。

 多くの理系学部に於ける実験がこれに該当します。

 

 私の大学時代、専門科目の或る教授が仰っていた事ですが、

 「学んだ事を他者に伝えなければ大学に通っている意味が無い。自分が学んだ内容を誰にも伝えず、ただ話を聴いて専門書を読んで、試験を受けて完結している人は、何の為に大学に通っているのかよく考えてほしい。それはどこにも所属せず自分で専門書を読んでいるだけの状態と何が違うのか、と。」

 

 「同じ分野を学んでいる人と一言も会話せずに講義室を出入りしている人は、自分が内容を理解したと思い込んでいるだけではないのか。今のこの環境をどう捉えているのか。隣の席の人と学問の話を出来る機会は滅多に無い。

 

 「今この講義を受けていない人、例えば、他の学部の友人や、親でも構わないから、誰か一人に今日学んだ事を伝えてみてほしい。ただ、その一人というのは真面目に貴方に向き合ってくれる人を選びなさい。ネットで出逢った素性が判らない人では駄目。そこでどのような反応が得られるか。恐らく専門用語の意味自体通じないでしょう。そこで、相手が無知だから悪いと切り捨てずに、自分の伝え方が悪かったと捉え、多くの言い換え表現を用いたり、身近なものを例に出して、解り易く話す事。それによって自分の理解もより深まると思う」

 学部3年次の有機化学系の座学のみの科目でしたが、毎週重量級のレポートが課され、有機化学系の学問自体は勿論、学ぶ事の意義について考える事が多かったです。

 

 大学生にもなると、今では種々のオンラインツールが発達し、座学の講義だけであればオンラインでも構わないのではないかと思いますが、独り善がりになってしまわないよう、やはり他者との関わりは必須でしょう。

 

 道を踏み外さない程度の遊びアルバイトもその年代の人生経験に於いて非常に重要だと思います。

 そう考えると、緊急事態宣言が出されている今、多感な時期の学生に完全なる外出自粛を要請する事について、全面的に賛成する事に躊躇してしまいます。

 

 

 そこで、今、私自身がピアノを習い始めて思うのですが、個人レッスンの場合、上述の大学の講義と同様、1曲完成させたのであれば発表会等の形で先生以外の第三者にも「成果」を「披露」しなければ、習っている意味がないのでは…と云う考えが脳裏を過ります。

 誰にも披露しない「作品」は、自己満足として捉えて差し支えないと思いますが、「独学」していた頃の「独力学」と云うより「独善学」に近い方向性で、わざわざ習っている意義を突き詰めると習う意味が無いのではないかとも感じます。

 発表会が無いのであれば、動画に収める事や友人の前で演奏する等、何か目的を作る事により、学ぶ内容も多いと思うので、様々な方向性を検討中です。