私が習っているバレエのお教室の中で以前起こったお話です。

 

 レッスン開始3分前に、レッスン室にて或る生徒が「始まる前にストレッチしたかったけど来るのが遅かったから今日は出来ない」と嘆きの言葉を発していたのに対し、先生はまだあと3分あるじゃない」と仰いました。

 すると、その生徒は、「あと3分しか無いから今日は出来ない、諦めるしかない」とネガティブな返答。

 それに対して、先生は、「こうして嘆いているうちにあと2分45秒になった。今から2分45秒で出来る事なんて一杯あるでしょう」と呆れたかのように発し、自らストレッチを始められました

 

 それを暢気に横目で見ていた私は、国際舞台でプロのバレリーナとして活躍していらっしゃった方と一般人との物事の捉え方の違いをひしひしと痛感したのでした。

 3分間をどう捉えるか。

 3分間で出来る事が世の中には数多存在し、一流の方々や物事の習得の早い方々は、切羽詰まった状況であっても3分間を貴重な時間として大切にし、可能な限り出来る事を実行に移しています。

 一方、現状に甘んじてネガティブな台詞を吐くだけの人物は、理想論を唱え続け、実際に努力する事は有りません。

 

 この現実を目の当たりにしてからは、朝出勤前の時間、一通り練習が終わり、あと3分間余裕が有る時にはピアノの指練習をするなり、苦手箇所の部分練習をするなりし、3分間と云う短い時間を侮らず有効活用するようにしております。

 

 3分間有ればショパンのEtude Op.10-12(革命)を通して演奏出来ますし、Etude Op.10-4を通した後に苦手箇所の部分練習さえも可能です。

 

 

 そのバレエのお教室でお稽古が始まる前の3分間、私は何をしていたかと言えば、先生と上述の生徒とのやり取りを静観し、先生のストレッチ法を凝視しておりました

 これで約2分半でストレッチの要所を押さえる事が出来ると認識した事は大きな収穫だと言えます。

 

 バレエのお稽古前、30分以上前に教室に入り、持参したスーパーボール等を用いて熱心にストレッチに励んでいる生徒もおりましたが、現在コロナ禍と云う事情も有り、お稽古開始10分前からの入室しか認められなくなってしまいました。故に、早目に教室に入る事すら出来なくなっておりますので、上述の状況から大きく条件は変化しておりますが、3分間であれ1分間であれ時間を有効活用する事が大切で、その積み重ねが結果となって表れると云う事実を常に思い出し、残された時間と置かれた環境と云う条件下に於いて出来る事を探し、積極的に取り組もうと日々励んでおります。

 

 ピアノの練習に於いてペダルを踏み続けておりますので、右足が凝り固まってしまい、本日はピラティスに通い、足も含め左右の身体の歪みを矯正すべく講師の方によるレッスンを受講して参りました。

 このピラティスが体幹を強く形成しバレエにもピアノにも生きてくるので、月1回は受講したいところです。

 

 

 予てより感じていた事なのですが、大人でバレエを長く(7年以上)続けている人の中で、声楽を習っている人の割合が非常に高いと思うのですが、バレエ声楽に親和性が有るのでしょうか。ピアノを習っていて再開する人よりも、声楽を習い始める人の方が多いのです。

 尤も、私の通っているバレエ教室の先生は宝塚音楽学校受験スクールの講師でもあり、実際声楽の先生を紹介して頂く事も可能なのですが、声楽に明るくない私は、声楽が大人に人気の習い事だと云う実態についてバレエを習い始めて初めて認識しました。

 少し考えてみれば、どちらもクラシックと云う共通点が有るのでさして不思議ではないので合点がいく話ではあります。

 

 

 

 本日、帰りに繁華街で見かけたクリスマスを意識したオブジェです。

 

 

 直線と曲線とを上手く融合させ、ゴールドと赤を主眼の色調とする事により、クリスマスを意識した作風が感じられ、季節の移ろいを感じる機会を享受出来ました。

 

 創作物であっても舞踊であっても、当然音楽であっても、芸術の分野に於いて、珠玉の作品を創り上げるには、まず目前の3分間を有効活用する事から始まると認識しておりますので、貴重な時間を箱入り娘のように大切に、時には厳しく、使いこなしていきたいと思います。