昨日は二十四節気では大雪の日で、私の居住地に於いては降雪こそ見られないものの、日中も冷え込みが激しくなりました。

 毎朝ピアノの鍵盤に向かう前、凍えそうな手をほぐすところから始める季節が本格的に到来しております。

 

 昔、小学校時代、学芸会等でピアノ伴奏に選ばれた時、11月頃の底冷えのする体育館の寒気に晒されながらピアノを弾く前に手を温めたりほぐしたりしていたのを懐かしく思います。

 

 そこで、このピアノ伴奏の決定方法ですが、先程web上を巡っていると、今は立候補者達による「ピアノ伴奏オーディション」なるものが開催されている事を知り、当時を思い起こしました。

 

 現在30代の私の小学校時代は、オーディションと云う洒落た命名はなされておらず、選抜方法は様々でした。

 私は、小学校を複数回転校しております。

 その中でも印象深いのが、小学校5年生時点での転校先の学校の学芸会に於けるピアノ伴奏者の選抜方法です。

 

 ピアノ伴奏を希望する人は音楽室に集まるよう学年全体規模の立候補制として、まずは本人の意思が有る事を前提とされた訳ですが、そこで行われたのが、本番で演奏する曲を初見で教師達の前で一人一人弾く事でした。

 私も伴奏者に立候補して音楽室へ赴いたので、初見演奏をした訳ですが、演奏技術の割に初見が得意だったので、その時の周囲の反応が、「この人に先に楽譜を渡して練習する時間を与えた、不公平」「これが初見の訳が無い、不正だ」と云った、事前に私だけに楽譜を渡していた事を疑う内容のものでした。

 同級生達はまだ子どもですから、そのような反応を示す人が居るのも不思議では有りません。

 

 問題は教師の皆様で、他の立候補者には途中までで演奏を止めさせていたのですが、私には弾き始めてからは最後まで続けるよう指示し、演奏が終わった後、「君は転校生だから、前の学校でこの曲を弾いた事が有るよね?」と口々に問われる事になりました。

 私は本当に初めて目にする楽譜でしたので、前の学校でその曲を弾いた事は無い事を嘘偽り無く申告したのですが、「先生に嘘を吐いても判ります。いい加減本当の事言わないと本気で怒るよ」等と恫喝され、そのような状況に追い込まれても私は尚、事実として初見だと主張しました

 結果的に、「嘘を吐く最低な人間」「貴女は先生達を騙してまでして代表になりたいと云う事は判った。そこまでしてやりたいのなら貴女がやりなさい」と言われ、最後まで信じて頂けませんでした。

 

 私としては、正々堂々と事実を主張しただけですし、何も負い目は無かったのですが、当時の教師達の認識の低さに落胆しておりました。

 自分がそれまでの経験上目にした事が無い状況は全て受け容れられず、児童の申告を虚偽だと信じてやまない、教師としても人間としても思考が止まっている大人が数名存在する…この事実に失望しました。

 

 私は、第二次ベビーブームの後の世代で、教員が大量採用された時代の後ですので、多方面に於いて未熟な教師が多かったのかもしれませんが、小学生の申告を全否定する教育は改善すべきだと切に願います。

 

 ピアノ伴奏者を初見力で決める方法にも数多問題が有ると思うのですが、web上を見ているといつの時代もこの種の問題にはあらゆる立場の方々からの不平不満が生じているようで、教員の指導力の重要さを改めて実感します。

 後から判明したのですが、当時の教師達はあまりピアノについて理解しておらず、初見に強い人が必ずしも演奏が得意だとは限らないと云う事実すら把握していなかったようです。

 

 ちなみに、これは転校1週間以内の出来事でした。

 当時の私は積極性に溢れていたのか、無邪気だったのか、今となっては明確には判りませんが、教師達の認識の低さに愕然とした事を今でも克明に憶えております。暗に転校生は立候補するなと云うメッセージが込められていたのかもしれませんが

 

 私がこの土地から歓迎されていなかっただけなのかもしれませんが、不登校になる事も無く友人も出来、最初の学校や周囲の大人の印象は最悪極まりないものでしたが、義務教育でしたので仕方なく通っておりました。

 

 自分がそれまで遭遇した事が無い事象についても、頭ごなしに否定せず、本人の申告をまずは受け止め、どのような事態なのか確認する事が指導者に求められると私は考えます。

 

 それが出来ない教員が多いが故に公立の小学校は信用出来ないと云う思考に至り、所謂お受験が普及しているのではないかとも思います。

 

 

 話の本質ですが、寒い時期にピアノに向かう際、通常通り手を使えるようにコンディションを整える件については、小学校時代から今まで困難を極めていると云う事です。

 今では、ハノンの代替として手の柔軟性を高める為にショパン Etude Op.10-1の最初の10小節のみを2~3回繰り返してから練習に取り組む事も有ります

 

 ピアノについては、恐らく、練習時間が十分有れば演奏自体は私より上手な同級生が居たであろうと推測されます。

 当時の初見力が今も備わっているのか、単に当時の曲が簡単なだけだったのか、今となっては判りませんが、当時初見力が付いた一因として、ツェルニー40番を毎週課題として出されていた事が考えられます。